編集部イチ押し! 11月の新作映画をチェック

 辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじとともに注目の新作を紹介 ! レイティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。
 

ザ・ドロップ
The Drop
    ドラマ/TK

今月のムービー・レビュー

11月13日公開予定 満足度★★★
隊長が観た!

ここ最近注目している俳優のトム・ハーディ。イギリス出身で、クリストファー・ノーランの『インセプション』や、『ダークナイト・ライジング』の悪役、ベイン役などでも有名だが、先日公開された『Locke』では、彼1人が車を運転し、その車から電話をするというだけの極めてシンプルな作りの映画で、改めて彼の演技力を確信した。ライアン・レイノルズが生き埋めにされる『リミット』や、ロバート・レッドフォードの、ヨットが遭難するストーリーを描いた『オール・イズ・ロスト 〜最後の手紙〜』などのように、限られた舞台設定の中で、登場人物は1人だけ、さらによく練られた脚本と撮影で、グイグイと映画に引き込むタイプの映画だ。ただし、ここに挙げたほかの作品と『Locke』の違いは、究極の状況ではなく日常のひとコマ(とは言っても、彼にとっては大事な1日でもあるが)を描いているという点。そんな何気ないシチュエーションの中で、彼の作り出すキャラクターにどんどん魅入られてゆく。運転中ということで、ほとんど声のトーンと表情でしか演技ができない、それでも十分に楽しめた。

さて、そこで今回紹介するのが、そのトム・ハーディ主演のクライム・スリラー。共演は、TVシリーズ「ザ・ソプラノズ/哀愁のマフィア」で有名なジェームズ・ギャンドルフィーニなのだが、彼は昨年6月映画祭に出席するため滞在していたローマで、心臓発作のため51歳の若さで急死ししており、そんな彼の遺作でもある。

主人公は、前科持ちのボブ。彼は従兄のマーヴが経営するバーで、バーテンダーとして働いている。そのバーは、表向きは普通のバーだが、裏では犯罪組織がらみの黒い金をドロップ(落とす=集金)する場所となっていた。深夜、バーの仕事が終わって家に向かうボブは、ある家のゴミ箱に捨てられた子犬を見つける。そして、その家の住人のナディアとともに、その犬の手当をするのだった。ナディアと親しくなるボブだが、ある夜、バーが強盗に襲われ金を奪われてしまったことから、警察と裏社会の双方から睨まれ、彼の平穏な生活が次第に壊れていく。そして、捨てられていた犬は自分のものだと主張する男も現れ…。

かなりダークな映画だが、かわいい子犬のシーンでは思わずホッとし、その子犬を通して近づくボブとナディアの、ちょっとぎこちないラブ・ストーリーも、暗くなりがちな映画のいいアクセントとなっている。しかし、やはり一番の見どころは、ジェームズ・ギャンドルフィーニ!「ザ・ソプラノズ」では、人間味あふれるマフィアを演じた彼だが、今回扮するのはマフィアに使われるという不思議な役。同じく裏社会の人間でありながら、これまでの役柄とは異なるキャラクターを、相変わらずの巨体で、存在感抜群に演じ抜いた。本当に急死したことが悔やまれる。また、トム・ハーディの相手役のノオミ・ラパスも、『ミレニアム・ドラゴン・タトゥーの女』の気の強い女性のイメージを一新し、何とも幸の薄そうな不幸顔全開で、しっくりと役に馴染んでいた。
 原作は短編小説の「アニマル・レスキュー」で、その作家デニス・ルヘイン自らが初めて脚本を書いている。『ミスティック・リバー』や『ゴーン・ベイビー・ゴーン』の原作者でもあるデニス・ルヘインだが、初の映画脚本としては、そつなくまとまっている。

とまあ、本作はジェームズ・ギャンドルフィーニの遺作としても見る価値はあるし、今が旬のトム・ハーディを目当てに見るのも良い。ちなみに、このトム・ハーディ、あの『マッドマックス』シリーズのリブート作品となる来年公開の『マッドマックス:フューリーロード』の主演の座を掴んだばかり。さらに、エルトン・ジョンの伝記出演や、双子のギャングスターの2役を1人で演じたりと、ほかにも多くの話題作が控えている。


ドラキュラ・アントールド
Dracula Untold
     ファンタジー/M

今月のムービー・レビュー

公開中 期待度★3.5

「イモータルス」などで一躍人気となったルーク・エバンス主演の新作ファンタジー映画。舞台は、トルコからの侵略を受けている最中のルーマニア。ルーク・エヴァンス演じるヴラド・ツェペシュ王は、祖国と家族を守るために自らの魂を売って闇の存在と戦いに挑むが、その引き換えに夜の生物として一生を送らなければならなくなる。有名な「ドラキュラ」の物語の基ともなっているこの伝説を、ゲイリー・ショア監督が、アクションとドラマたっぷりに描く。


フューリー
FURY
     ドラマ/M

今月のムービー・レビュー

10月23日公開予定 期待度★3.5

ブラッド・ピット主演のアクション戦争ドラマ。第2次世界大戦の終戦間近、1945年4月のドイツを舞台に描かれた作品。鍛練戦士であるブラッド・ピット演じるウォーダディー軍曹は、わずか5人で構成された極小部隊で敵陣、ナチス・ドイツの中心部を攻撃するという決死のミッションを敢行する。数でも勢力でも敵軍には及ばないウォーダディーと部下たちは、祖国への使命を胸に、わずかな可能性に立ち向かう。


タスク
TUSK
     ホラー/MA15+

今月のムービー・レビュー

公開中 期待度★★★

ケヴィン・スミス監督・脚本の話題の異色ホラー。ストーリーは、ジャスティン・ロング演じるジャーナリストのウォレス・ブライトンがマニトバ州の奥地で、ミステリアスな船乗りにインタビューをしている間に行方不明となるところから始まる。親友のテディ(ハーレイ・ジョエル・オスメント)や、ガールフレンドのアリソン(ジェネシス・ロドリゲス)は、元警官と名乗る者とともに彼を探しに出掛けるが…。 思えず笑えるシーンが満載のブラック・コメディでもある。


ザ・リトル・デス
The Little Death
     ロマンス/MA15+

今月のムービー・レビュー

隊長が観た! 3月6日公開予定 満足度★★

恋愛と性とリレーションシップをテーマにつづる、現代感覚のラブ・コメディ。一見平和な郊外の各家庭の閉ざされたドアの向こうで、カップルたちがどのような愛の営みを行っているのかを、それぞれの恋愛事情とともにカメラが同時に追っていく。レイプ願望や涙フェチなど、他人にはなかなか言えないような願望や性質などのタブーにも踏み込みながら、仕上がりは爽やかに笑って鑑賞することのできるコメディー作となっている。

 

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