編集部イチ押し! 3月の新作映画をチェック

 辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじとともに注目の新作を紹介 ! レイティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。
 

イースタン・ボーイズ
Eastern Boys
    ドラマ/TK

今月のムービー・レビュー

2月26日公開予定 満足度★★★★
隊長が観た!

シドニーで、2月20日〜3月8日にかけて行われる、ゲイ&レズビアンのイベント「シドニー・ゲイ&レズビアン・マルディグラ」。特に、イベント終盤で行われる「パレード」は、オックフォード一帯が大きな歓声に包まれ、世界的にも有名なイベントの1つになっている。そこで、今回の映画は、ゲイ映画。まあゲイ映画と言えば、2005年のアン・リー監督作品『ブロークバック・マウンテン』を思い浮かべる人が多いと思うけど、今回紹介する映画『イースタン・ボーイズ』は、ラブ・ストーリーを主軸に置いた叙情的な『ブロークバック・マウンテン』とは違って、現代のフランスを舞台とした、かなりサスペンス色が強いドラマ。

主演は、ちょっとケヴィン・スペイシーが入ってる、フランスの俳優オリヴィエ・ラブルダン。まるで、ドキュメンタリー映画のようだった『パリ20区、僕たちのクラス』で脚本・編集を手がけたロバン・カンピョの監督作品2作目だ。今作は、第70回ベネチア国際映画祭で、オリゾンティ部門の最優秀作品賞を授賞している。


パリの北駅、そこで中年男のダニエルが、駅にたむろする東欧の少年の1人マリックに声をかける。彼と会うことを約束し、翌日、彼がダニエルのアパートメントにやって来る。しかし、ドアを開けると、駅にたむろする東欧の少年たちが次々に入ってくる。そして、彼の家の家具からコンピュータまで一切合切を持ち出してしまう。1人でその集団に立ち向かうこともできず、呆然と立ち尽くすダニエル。しかし、数日後にマリックが再び訪ねてくる、「50ユーロで、やらない?」と…。

結局マリックを受け入れたダニエル。2人は頻繁に会うようになるのだが、もうまったく映画の先が読めなくて、その後は、2人のラブ・ストーリーを描いていくと思ったら、意外な方向へ進んでいき、後半は『火曜サスペンス劇場』も真っ青な展開。当然ゲイ映画なので、ダニエルとマリックの絡みのシーンなんかも出てくるけど、ヨーロッパで大きな問題となっている移民の実態や、彼らの生い立ちなど、社会的なメッセージも込められていて、正直、かなり驚いた。特に、今回の悪役となる、移民少年たちのリーダー的存在の少年なんて、ほんと憎々しいんだけど、それが、彼も彼なりの状況があってのことという、キャラクターの背景をちゃんと描いているので、平板でただの悪い奴になっていないところも良かった。

ただ、主人公のダニエル、ちゃんと思慮分別のある大人の男性だけど、そんな彼が駅で男を買うというのは、ちょっとリアリティーがないかな? 半信半疑のままとはいえ、後日訪ねてきたマリックを家に招き入れるのも、考えられないかな? ほとんど家の中の物を強盗されたようなものなのに…。まあ、でもそんなことはあまり気にならないぐらいスリリングな展開で、ハラハラドキドキと楽しめた1本。


ア・モスト・バイオレント・イヤー
A Most Violent Year
     ドラマ/M15+

今月のムービー・レビュー

2月26日公開予定 期待度★★★★

編集部員が観た!

1980年代前半のニューヨークという激動の舞台でアメリカン・ドリームを実現する主人公の挑戦と葛藤を描いた犯罪ドラマ・スリラー。一見、ノンストップで銃撃戦が繰り広げられる暴力映画を想像しそうになるが、実際には各キャラクターの心情にじっくりと迫り、それを抑制の効いたタッチで繊細に描いた良作に仕上がっている。男前な主人公もさることながら、彼とはまた違ったベクトルから粋を極めようとするジェシカ・チャステイン演じるその妻、オスカーのイイ女っぷりにも注目。


フォーカス
Focus
     コメディ/M15+

今月のムービー・レビュー

3月5日公開予定 期待度★★★

編集部員が観た!

ウィル・スミス演じるベテラン詐欺師ニッキーが、南米はブエノスアイレスで一世一代の大仕事をたくらむというまるで『●パン三世』のようなストーリー設定に加え、そこへ登場する爆裂セクシー系女詐欺師のジェスが、これまたまるで峰不●子ちゃんそのもの! このジェスを演じるのは『ザ・ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』で一躍注目を集めたマーゴット・ロビーで、ニッキーの計画をいたずらに狂わせるこの悪女役に、彼女以上の適任はいないと思えてしまうほど。


愛は妙なり
Love is Strange
     ドラマ/M

今月のムービー・レビュー

3月19日公開予定 期待度★★★★

編集部員が観た!

昨年1月のサンダンス映画祭で封切られて以来、世界の映画祭で好評を得ている本作。ゲイ・カップルのベンとジョージはニューヨークのウエスト・ビレッジで幸せな暮らしを送っていたが、ある日音楽教師のジョージがゲイであることを理由に解雇されてしまう。収入の激減に伴い、彼らは住み慣れたアパートを出てブルックリンへと拠点を移すが…。マンハッタンとブルックリンの微妙な生活感や文化の違いがいちいち見事に表現されていて、ニューヨーク好きにはついうなずけてしまう。


プロジェクト・アルマナック
Project Almanac
     サイエンス・フィクション/M

今月のムービー・レビュー

2月26日公開予定 期待度★★

この秋、さまざまな理由から注目を集める問題作がこちら。ジェイソン・パガンとアンドリュー・スタークの新人脚本家コンビが執筆した原作を、同じく新人監督のディーン・イスラエライトが映画化したSFスリラー映画だ。テスト試写での観客からの反響が予想以上に良かったことから、大幅に公開時期とプランを見直し、延期——と商業的にも大きく銘打っているものの、ありふれたタイムマシン・ネタを実際に彼らがどこまで面白おかしく作り込めているのかにはかなりの不安が残る。

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