編集部イチ押し! 4月の新作映画をチェック

 辛口コメントで映画を斬る、映画通の日豪プレス・シネマ隊長と編集部員たちが、レビューやあらすじとともに注目の新作を紹介 ! レイティング=オーストラリア政府が定めた年齢制限。G、PG、M、MA15+、R18+、X18+があり、「X18+」に向かうほど過激な内容となる。作品の評価は5つ星で採点結果を紹介。
 

‘71
‘71
    アクション/MA15+

今月のムービー・レビュー

3月19日公開予定(シドニー・メルボルン・キャンベラ・ホバート)
4月16日公開予定(ブリスベン・アデレード)
満足度★★★★

隊長が観た!

今年のアカデミー賞は特に大きな番狂わせもなく、ほぼ事前に予想されていた結果通りとなった。ただ、最優秀主演男優賞にマイケル・キートンではなく、エディ・レッドメインが受賞したのはちょっと驚きだった。個人的にも大好きな『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』は、最優秀監督賞、そして最優秀作品賞と主要部門で授賞し、今回のアカデミー賞の中心的な作品となっていた。司会を務めたニール・パトリック・ハリスも、同作から白ブリーフ・シーンを再現し、会場を大いに湧かせた。これで今年の映画賞のシーズンも終わり、これからは北米のサマー・シーズンに向けてのハリウッド系の娯楽大作の上映が続くことになると思うけど、今回紹介するのは、イギリス映画、それも北アイルランド紛争を描いた作品。

1971年、北アイルランドのベルファストでは紛争が激化し、そこにまだ新米のイギリス軍の若者・ゲイリーが送り込まれる。街は、プロテスタントと敵対するカトリックによって分断。犯罪者を逮捕するためにカトリック地区に向かう警察を護衛する最中、地元民の群衆と衝突し、少年に武器を奪われてしまう。その武器を取り返そうとゲイリーともう1人の兵士が群衆の中に入り込み、1人は目の前で射殺されてしまう。身の危険を感じたゲイリーはそこから走って逃げ出すのだが、暴動が激化し軍隊が引き上げてしまって、彼はカトリック地区に1人取り残されてしまう…。

最初に映画のポスターを見た時にはよくある戦争映画だと思っていたけど、これが大間違い。舞台は紛争の激戦区となったベルファストの街なのだが、紛争と言っても当然、そこには普通に暮らしている人がいるわけで、子どもも外で遊んでいたりする。しかしその地がやがて、主人公ゲイリーにとって戦場以上に恐ろしい場所となる。このギャップが見ていてすごく怖かった。例えば、道にイギリス兵の車が止まると住人の女性たちがゴミ箱の蓋を地面にバンバン叩き付けて威嚇するなど、具体的な表現がリアル。ちょっと前まで日常生活の行われていた場所が、急に異常な世界へと変わってゆく模様が如実に描かれている。また、すべての住民がイギリス兵を敵視しているのではないところもポイント。普通に生活し、イギリス兵に対する暴力を心良く思わない人もいる。このあたりも、誰が敵なのか味方なのか一瞬では分からず、サスペンスを盛り上げている。


主演のジャック・オコンネルは、話題になった『アンブロークン』でも主役を演じているけど、今作では、気さくなお兄ちゃん的な描かれ方。この地獄のような環境の中での逃走劇を、つい一体となって応援してしまうのは、彼に素直に共感できる何かがあるからこそ。70年代のファッションはもちろん、キャスティングも成功している。

ストーリー的には、北アイルランド紛争のことを少しでも知っていればもっと楽しめるけれど、知らなくても全然OK。ある意味、良くできた脱出劇で、背景を知っていなくても十分ドキドキハラハラできる作品。内容が内容だけに、娯楽作品と呼んでしまうのは語弊があるけれど、お金をバンバン使ったハリウッドの娯楽大作よりも楽しめた1本。


ビッグ・アイズ
Big Eyes
     ファミリー・ドラマ/M

今月のムービー・レビュー

公開中 満足度★★★★★
編集部員が観た!

実在した人気画家、ウオルター・キーン。しかし彼の作品はすべてゴースト・ペインターの妻、マーガレットによるもので…。『チャーリーとチョコレート工場』では、メルヘンを奇妙なタッチでシニカルかつドロドロに描いたティム・バートン監督。今作では、スキャンダラスな愛憎劇を、独特のユーモアを炸裂させながら、後味すっきりと仕上げている。狡猾に立ち回り、名誉と手柄を食い物にしていく非情な夫に立ち向かう妻、マーガレットの勇姿をエイミー・アダムスが好演!


テスタメント・オブ・ユース
Testament of Youth
     ドラマ/CTC

今月のムービー・レビュー

4月23日公開予定 満足度★★★

編集部員が観た!

第1次世界大戦で恋人を失った後、さらにその次に結婚しようと決めた人までも亡くすというとんでもない悲劇に見舞われた実在の女性、ベラ・ブリテインによるベスト・セラー「Testament of Youth」が原作。主演は今最も注目される女優の1人、アリシア・ヴィキャンデル。ストーリーはまさに、“嗚呼、絶望!”といった感じなのだが、そんな悲しい運命にも凛と立ち向かうベラの姿をアリシアが透明感にあふれた演技と美貌で表現し、ただただうっとり。


サンバ
Samba
     ドラマ/M

今月のムービー・レビュー

4月2日公開予定 満足度★★★★
編集部員が観た!

『最強のふたり』のオリヴィエ・ナカシュ監督とエリック・トレダノ監督が、主演のオマール・シーと再タッグを組んで話題に。アフリカからフランスへ移住し、料理人への道を目指す青年サンバの“移民問題”と、大都会パリで仕事に忙殺され、心を病んでしまったアリスの“燃え尽き症候群”が2大テーマ。2人はぶつかり合い心を通わせながら、それぞれの観点からどのように働くべきか、生きるべきかを考えていく。何も大げさでない、リアルでさりげない演出につい共感!


ディオールと私
Dior And I
     ドキュメンタリー/CTC

今月のムービー・レビュー

4月2日公開予定 満足度★★★★
編集部員が観た!

数々の伝説に彩られたメゾン、クリスチャン・ディオールが、オートクチュール・コレクションの舞台裏を初公開! 2012年、アーティスティック・ディレクターに就任したラフ・シモンズにスポットを当て、通常短くとも半年の準備期間を要すると言われているコレクションを、わずか8週間で仕上げるまでの壮絶なドラマを描いたドキュメンタリーとなっている。苦労をいとわず、職人たちとともに情熱的かつ献身的に仕事に取り組む彼の姿とチームの絆は観る者を圧倒する。

 

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る