vol.15 CDの値段の謎

メルボルン・ロック・シティ

メルボルン・ロック・シティ
vol.15

CDの値段の謎

 皆さんがこのコラムを読んでいるころ、筆者はちょうどMONOとLAURAのツアーの真っ最中でしょう。このMONOをはじめ、最近は日本のインディー・アーティストが頻繁にオーストラリア・ツアーにやって来ます。
 では、日本のメジャーなアーティストがどれくらいオーストラリアに来ているかと言えば、残念ながらほとんどゼロというのが現状でしょう。一昔前までは、海外ツアーは、メジャー・アーティストのするものという感じがありましたが、日本のアーティストに限って言えば、全く逆転してしまった感があります。
 さて、前回の話の続きです。20年前に比べて制作費が10分の1程度になったCDというメディアが、どうしていまだにほぼ同じ値段で売られているのか ? ちょっと考えると不思議な気がしませんか ? 例えば、コンピュータの値段は、大量生産と技術革新によって毎年のように大幅に下がっています。それでは、同じ技術革新の恩恵を受けているCDの値段は、どうして下がらないのでしょう。
 それは、実は、CDの値段に含まれているのが純粋な制作費だけではないからです。特に大きいのは宣伝費でしょう。つまり、より多くの人に気に入られそうな曲を作り、多額の宣伝費をかけて売ることによって制作費を回収する、というのが20世紀の終わりまでのレコード、CD産業のビジネス・モデルだったわけです。さらにそこには、メジャーな会社ならではの経費(社員の人件費、オフィスやスタジオの家賃など)も入っています。
 さて皮肉なことに、メジャー・レーベルの経費回収のために長年据え置かれてきたCDの値段によって一番恩恵を受けたのは、インディー・アーティストたちでした。メジャーの採算ラインが数千枚だとすると、制作費は自宅録音でほぼゼロ、インターネットを駆使して宣伝費もほとんどかけないインディー・アーティストたちは、その10分の1の数百枚やそれ以下でも何とかプラスマイナスゼロ、うまくいけば僅かながら儲けが出るようになったのです。
 最後に宣伝です。今年5月に来て大好評だった大阪のバンドVampilliaが、12月から1月にかけて再来豪します(1/9 Tote, 1/16 Summertones at Corner Hotelほか)。ぜひお見逃しなく。
■Vampillia Website: www.myspace.com/vampilliaofficial


NAOプロフィル
本名は安齋直宗。キーボーディスト、アレンジャーとしてTHE BOOM、坂田おさむなど数多くのミュージシャンのツアーやレコーディングに参加。テレビ・コマーシャルやベネッセの「しまじろう」シリーズなどの子ども向けの楽曲も多く制作している。2003年メルボルンに移り、バンドLAURAのプロデュースで「Beat Magazine Single of the year 2004」を受賞するなど、地元のインディーズ・シーンに欠かせないエンジニア・プロデューサーとして多忙な日々を送る。
■NAOウェブサイト:web.mac.com/nao24db

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