広大な雪上を速く、 滑らかに


SBX世界選手権大会でオーストラリア人として初優勝のアレッ クスさん(Photo: Oliver Kraus)

■インタビュー

スノーボーダー、 アレックス・プリンさん

広大な雪上を速く、 滑らかに

VIC州北東部に広がるハイ・カントリーと呼ばれる一帯は、その雄大な山々 の景色とともに、世界レベルのスキー・リゾートとしても知られている。そ の中の1つ、マンスフィールドで生まれ育ったチャンピーこと、スノーボー ダーのアレックス・プリンさんは、オーストラリア人で初めて、スノーボー ド・クロスの世界選手権大会で優勝を飾った。親日家のチャンピーととも に、スノーボード・クロスはますます注目を集めているスノー・スポーツだ。

冬は近くのマウント・ブラーでのスノー スポーツ、夏は川や湖でのフィッシング やボートなどで年間を通して旅行者でに ぎわうマンスフィールド。そんな風光明 媚な土地で生まれ育ったアレックスさん のスノーボードとの関わりは ?

——いつ、どんなきっかけでスノーボードを始 めましたか ?

ぼくの両親はマンスフィールドでスキーとス ノーボードのショップを経営しているんです。 子どものころからほとんどの週末は家族でス キーをしていたんですが、小学生のころ、両親 とマウント・ブラーへ行った時にスキーの代わ りにスノーボードをくれたのが最初です。

——ほかのスノー・スポーツではなく、スノー ボードを続けてきた理由は ? やめようと思っ たことはありませんか ?

初めてスノーボードをした時から、山を滑り 降りる新しい方法を見い出すことが好きなんで す。それはとても創造的で心地も良いのです。 だから、やめようと思ったことはこれまで一切 なかったですね。

日本ではまだあまり馴染みのないス ノーボード・クロス(以下SBX)という競技は、2006年のイタリア、トリノの冬 季五輪の正式種目として採用されたばか り。アルペン、フリースタイル、そして SBXと大きく分けて3つの競技がある。

——ほかの競技ではなく、あえてSBX を選んだ理由はありますか ?

ぼくが初めてSBXのコースを滑ったのは12 歳の時。その時のスピード感、バンク・ターン やジャンプでの飛躍感が大好きでした。それ に、速くゴールに着いたものが勝ちというシン プルな競争が楽しかったからです。


SBXはスリルとスピード感溢れる競技だ (Photo:Oliver Kraus)

——この競技の魅力は ?

広大な雪の上を速く、スムーズに滑るところ です。世の中で一番快適だと思いますよ。

——普段はどのようにコンディション作りをし ていますか?

ほとんど年間を通して、マウンテン・バイ ク、サーフィン、ウエイト・リフティングなど でのフィットネスは欠かしません。

——海外へのツアーも多いと思いますが、その 間はどうやって体力維持をするんですか ?

シーズン毎に、南半球と北半球で2回ずつ冬 を過ごします。だから、フィットネスも含めて スノーボードの練習もいつでもできます。11 月に北半球での冬が始まると、4月初旬まで世 界ツアーに出かけたままですね。

——今までで一番心に残っている大会は何 ?

もちろん、今年1月のスペイン、ラ・モハー ナでのスノーボード世界選手権大会です(※編 注・オーストラリア人として初めて優勝した大 会)。ぼくにとっては初めての大きな賞で、そ れはもう、言葉にできないような驚きでした。

日本の文化や食べ物、そして何よりフ レンドリーな人たちが大好きという親日 家のアレックスさん。初めての来日は3歳 の時だ。父親がメルボルンから大阪への ヨット・レースに参加したのをきっかけに 家族で訪れている。

——それ以降、日本へは行きましたか ?

19歳の時にスノーボードを楽しみました。 その翌年、ぼくが初めてワールド・カップのメ ダルを取ったのは岐阜県の郡上でした。

——日本の雪とオーストラリアの雪は、スノー ボーダーから見てどう違いますか?

日本のようにスノーボーダーを飛び切り楽し ませてくれるような雪は、ほかの“惑星”を探し てもないでしょうね。オーストラリアの雪とは 違うけど、樹木は少し似ているかな。日本の雪 はよりパウダー状なので、フリー・ライディン グには最高ですが、パークやジャンプでは、 オーストラリアの方が良いかもしれませんね。

ところで、スノーボードを始めたのと 同じ時期に手にしたというギター。レゲ エ・バンド “LOVE CHARLI” ではリード・ ボーカルとギター、作曲まで手掛ける音 楽活動をしている。ほかにもサーフィ ン、映画制作と趣味も広い。

——それぞれの趣味は互いにどんな共通性があ り、アレックスさんにとってどんな意味があり ますか ?

どれも、ぼくをハッピーな気分にさせてくれ るものですね。ぼくはスノーボードを通して、いかに自分を奮い立たせるか、クリエイティブ とは何かを学びました。そして楽しんでいるか らこそ、上手でいられるのだと思います。音楽 と映画制作は、ぼくがクリエイティブであるた めの手段ですし、同時にそれぞれの作品を通し て、人生の思い出を残すことにもなります。

一番身近に迫る大会は、8月のスズキ SSA(Ski & Snowboard Australia)オー ストラリア全国大会。ここではタイトル を守ることを目標に、国内から来るジュ ニア・ライダーたちと会うことを楽しみに しているという。

——将来の目標を教えてください。

できる限り多くの大会で、世界最高のSBX ライダーになることですね。

——最後に、日本人スノーボーダーにメッセー ジをお願いします。

自分のスノーボードのスタイルを見つけて、 創造的に滑ってください。そしていろいろな土 地を体験してください。


スノーボード・クロス(Snowboard cross)とは、国際 スキー連盟(FIS)の競技の1つで、旗門、カーブ、う ねり、ジャンプなどが設置された全長1キロのコース を、複数の選手が同時に滑って順位を競う。予選のタ イム測定により、本選に進む上位選手が選ばれる。本 選はトーナメント方式で各回4〜6人の選手が競い、最 初にゴールした2〜3人が次のラウンドへ進む。スピー ドはもちろんのこと、接触や転倒、規制違反などによ る順位の入れ替えも見どころ。スノーボーダーとして の技術のほか、決勝戦まで勝ち抜く持久力も要求され る。2006年のイタリア、トリノ冬季五輪より正式種目 に採用。


アレックス・プリン(Alex Pullin)プロフィル

◎VIC州マンスフィールド出身のスノーボーダー。23歳。 今年1月のスペイン、ラ・モリーナでのSBX世界選手権大会でオースト ラリア人として初優勝。14歳で海外遠征を始め、Topolino Children’ s World Cupでオーストラリアのジュニア・チームとして5位に。2010 年のカナダ、バンクーバーの冬季五輪では1位で予選通過する。成績 は17位。2007年、SBX世界トップ30位にランキング、FIS Junior World Championshipでオーストラリア人初のブロンズ・メダルを獲得。同 年はシーズン世界ランキング、オーストラリア国内ランキングとも に2位となる。2008年からはWinter X Gameにも出場。レゲエ・バンド LOVE CHARLIでの音楽活動も行っている。 lovecharli.com



アレックスさんのコメント付き

ビクトリアの4大スノー・フィールドで冬を満喫


州内では最もアクセスがしやすいマウント・ブラー Photo: Tourism Victoria

マウント・ブラー Mount Buller
子どもと一緒に日帰りで

メルボルンから車で約3時間と、アクセスしやすいた め、日帰りや週末でのスキーヤーに人気。カフェ、レスト ラン、バーのほか、子ども向けアクティビティーなども充 実。スノーボーダー用の大型専用ゲレンデが3カ所あるほ か、国内唯一の高速6人乗りチェアー・リフトも設置。

・メルボルンからの距離:248km
・駐車料金:$36
・リフト:22台。大人$104、子ども$57、用具レンタル、レッスンとのセットなどの特別割引料金あり ★毎週火曜日は大学・専門学校生は通常の半額
・ゲレンデ:3(300ヘクタール以上)、クロス・カントリー・トレイル(9キロ)
・コース:82(最長3キロ)
・利用者レベル:初心者20%、中級者45%、上級者35%
・人工雪:78ヘクタール以上
・そのほか:ナイト・スキー、スノー・チューブ、スノー・シューイング、アルペン・スパなど
Web: mtbuller.com.au

素晴らしいエリアにある素晴らしいゲレン デに恵まれた、ぼくのホームタウン。

 



雪が豊富なマウント・ホッサム Image supplied Courtesy of Hotham Alpine Resort

マウント・ホッサム Mount Hotham
パウダー・キャピタル

オーストラリアン・アルプス国立公園の中心に位置す る。国内では最も標高が高いスキー場の1つで、その高さ は1,861メートル。国内最多の降雪量の記録を持ち、“パウ ダー・キャピタル”と呼ばれている。年間平均積雪量4メート ル。国内スキー場初のプリペイド制スキー場入場料金シス テムの採用で待ち時間短縮。

・メルボルンからの距離:350km
・駐車料金:$39.50
・リフト:13台。大人$106、子ども$53、用具レンタル、レッスンとのセットなどの特別割引料金あり ★毎週金曜日は大学・専門学校生は通常の半額
・ゲレンデ:3(245ヘクタール、スノーボード含む)、クロス・カントリー・トレイル(35km)
・コース:40(最長3キロ)
・利用者レベル:初心者20%、中級者40%、上級者40%
・人工雪:25ヘクタール
・そのほか:ナイト・スキー、レイル・パークなど
Web: mthotham.com.au

急勾配で広々としているのが特徴です!

 



クロス・カントリーの中心地フォールス・クリーク ©2010 FALLSCREEK IMAGE USE

フォールス・クリーク Falls Creek
クロカンのメッカ

州内最大のスキー・リゾート。クロス・カントリーの中心 地、国内初のスノー・バイクのコースとしても有名。バン ジー・トランポリン、そり、スノー・チュービングなど、子ど も用アクティビティーが充実。毎年8月には南半球最大の国 際的なクロス・カントリー大会、カンガルー・ホペットが開催 されることでも知られている。

・メルボルンからの距離:350km
・駐車料金:$35
・リフト:14台。大人$106、子ども$53、用具レンタル、レッスンとのセットなどの特別割引料金あり
・ゲレンデ:4(450ヘクタール)、クロス・カントリー・トレイル(65km)
・コース:90(最長3キロ)
・利用者レベル:初心者17%、中級者60%、上級者40%
・人工雪:110ヘクタール
・そのほか:ナイト・スキー、スノー・シューイング、スノー・チューブ、スノー・モービル・ツアーなど
Web: fallscreek.com.au

新しい発見がたくさんある所ですよ !

 



初心者や家族連れにお薦めのマウント・バウ・バウ Photo: Tourism Victoria Gavin Hansford

マウント・バウ・バウ Mount Baw Baw
初心者にやさしい

メルボルンから約2時間半で行かれる最も近いリゾート。 犬ぞりツアーや、ウォーキング・ツアーなど、スキー以外で の屋外アクティビティーが充実しているので、特にスキー 初心者や家族にお薦め。昨年からはフリー・スタイル・エリア も新設。眼下に眺めるラトローブ・バレーやモーニントン半 島の景色は最高。

・メルボルンからの距離:120km
・駐車料金:$33(平日)
・リフト:7。大人$65(平日)、子ども$45(平日)
・ゲレンデ:6(30ヘクタール)、クロス・カントリー・トレイル(10km)
・コース:16(最長1キロ)
・利用者レベル:初心者25%、中級者64%、上級者11%
・人工雪:5ヘクタール
・そのほか:スノー・シューイング、スノー・チューブ、レイル・パーク、ガイド・ウォークなど
Web: mountbawbaw.com.au

ここで滑ったことはないけど、初心者には最 適だと思うよ!

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