メルボルン・カップ観戦&必勝ガイド2014

154th Melbourne Cup Carnival 2014

メルボルン・カップ観戦&必勝ガイド

ストップ・ザ・ネーション(Stop the Nation)、“国家を止める競馬”の愛称を持つ「第154回メルボルン・カップ」(賞金総額620万ドル)は毎年11月の第1火曜日、今年は11月4日にVIC州メルボルン近郊のフレミントン競馬場(芝3,200m、フルゲート24頭)で開催される。

日本馬が出走するなど今年は見どころが多く、勝ち負けを別にして初心者でも賭けやすく楽しめる競馬になる。競馬開催日が祝日となるのは世界でメルボルン・カップだけであるが、これはメルボルン・カップが単なる競馬レースではなく、ファッション、歴史、文化などを含んだメルボルン最大のビッグ・イベントであるからである。

VIC州では毎年10月、11月にスプリング・レーシング・カーニバルと呼ばれるG1重賞レースが集中して開催される。メルボルンの長く寒い冬が終わり、楽しく華やかな春夏シーズンの始まりを告げるのがスプリング・レーシング・カーニバルだ。コーフィールド・カップ(10月18日)、ジローン・カップ(10月22日)、コックス・プレート(10月25日)、ビクトリア・ダービー(11月1日)、メルボルン・カップ、オークス(11月6日)、VRCステークス(11月8日)の7戦を主に指す。メルボルン・カップは女性の華やかなファッションに注目が集まるが州内のいずれのレースも正装に身を包んだ紳士淑女が見られる。VIC州各地でご当地自慢の競馬が開催される。この2カ月間に競馬場に足を運ぶ人は延べ100万人を越え、派手な帽子と華やかファッションの女性が街に溢れて、VIC州は競馬とファッションに包まれる。

今年の見どころは?


観客であふれるフレミントン競馬場

メルボルン・カップはハンデ・キャップ戦と言われ、出走馬の戦績により主催者が決めた重量を背負って走る。馬ごとに重量が違い、成績を大きく左右する。重いほど不利であるので馬券購入の参考にしたい。

昨年の優勝は本紙でも本命に挙げたアイルランド馬のフィオレンテ。調教師ゲイ・ウォーターハウスは、シドニー出身の元女優であり、メルボルン・カップで優勝した初めての女性調教師となり一躍時の人となった。有名調教師であった父トミー・スミスもメルボルン・カップで2回優勝している調教師父娘である。豪州競馬界で注目の人物となったゲイ・ウォーターハウスの調教するジ・オファー(ハンデ56.5kg)に今年も期待がかかる。

2011年優勝馬グリーンムーンを調教したロバート・ヒックモット(Robert Hickmott)も注目の調教師だ。昨年はヒックモット厩舎から6頭が出走したが、上位入賞ならず惨敗。

ヒックモットはAFLオーストラリアン・フットボールの名門メルボルン・デーモンズの元選手。クラウン・カジノの創設者でありギャンブル界や豪州の新聞、テレビ・メディアにも影響力を持つ経済界の大物であるロイド・ウィリアムズに見出された。ロイド・ウィリアムズは、メルボルン・カップを過去最多の4回、勝ち取っている有名馬主でもある。このコンビではフォークナー(Fawkner、57kg、昨年8着)、グリーンムーン(Greenmoon、57kg、同10着)、シームーン(Seamoon、56.5kg、同7着)で優勝を狙っている。

シドニーの新進女性調教師ゲイ・ウォーターハウス対メルボルンの大物馬主ロイド・ウィリアムズおよび若手調教師ロバート・ヒックモット・コンビの戦いも注目のポイントだ。

日本馬の活躍に期待しよう


女性の華やかなファッションにも注目

 


子どもたちもパレードに参加

地元競馬専門紙のオッズでも高い評価を得ている日本からの出走馬、アドマイヤラクティ(Admire Rakti、58.5kg)にも大いに期待したい。この馬は、10月18日のメルボルン・カップの前哨戦といわれるコーフィールド・カップ(芝2,400m、1着賞金150万ドル)で見事優勝。コーフィールド・カップとメルボルン・カップの両レースで優勝するとカップス・ダブルと呼ばれ名誉なこととされる。アドマイヤラクティの活躍には大いに注目したい。

2006年には日本馬2頭、デルタブルースとポップロックが1、2着を独占した。メルボルン在住の日本人では連勝複式馬券でこの2頭を買って大金を手にした人は多く、日本馬の独占は当時のマスコミでも話題になった。今年も夢の再来なるだろうか。

英国馬では昨年2着のレッドカデュー(Red Cadeaux、57kg)、ニュージーランド馬ではサイレント・アチーバー(Silent Achiever、56.5kg)、ルシア・ヴァレンティナ(Lucia Valentina、53kg)も人気が高い。この辺りを念頭に置いて、直前のオッズを見比べて勝負しよう。

実は英国のエリザベス女王が、所有する馬エスティメイトの出走を予定されていた。英国王室は歴史あるアスコット競馬場を所有するなど競馬とは深い関係がある。メルボルン・カップもたびたび、英国王室ファミリーを貴賓として迎えるなど王室との関係は深い。フレミントン競馬場の隣にはアスコットの名を冠する町もある。今年は残念ながら出走が取り消されたが、ぜひ来年の参戦を期待したい。

■ファッション
 メルボルン出身の老舗デパート・マイヤーが開催するファッション・コンテストは、豪州ファッション界の最高峰でもある。全国各州で予選を行うが、VIC州ではダービーなどで予選を行い、優勝は、オークスデー(11月6日)に決定する。
 メルボルン・カップの前哨戦であるコックスプレートはムーニーバレー競馬場で行われるがこちらのファッション・ショーの主催はシドニー出身であるデビッド・ジョーンズ。いずれの競馬でもファッション・ビジネスの最先端舞台として、各社が熾烈な戦いを行っている。
 女性の派手な帽子は、メルボルン・カップの代名詞と言えるほど有名だ。女性用の帽子はマイヤーをはじめ大手デパートや市内のどこでも買えるが、男性用となると数少ない。メルボルンきっての名門店はフリンダース駅ドーム口隣りにあるシティー・ハッターズ。メルボルンカップの公式帽子店である。1910年にフリンダース駅が開業された際に開店したという名店。オーストラリアを代表するブッシュ・ハットであるアクーブラなど思い出に残る名品を買ってみよう。

 

■バラとメルボルン・カップ
 メルボルン・カップに合わせて世界中から選ばれた200種類以上、数万本のバラがフレミントン競馬場を豪華に飾る。バラも英国王室と深い関係がある。英国王室紋章にはバラが配され、かつてバラ戦争などもあり英国王室はバラを一族の花としてきた。メルボルン・カップでは英国伝統のバラを競馬の象徴としている。
 メルボルン・カップは黄色のバラ、オークス・デー(女性の日:牝馬戦)はピンクのバラ、VRCステークスは赤いバラなどに特徴づけられ、このバラの色が女性のファッションにも関係している。

 

■レース
 メルボルン・カップ・デーにはメルボルン・カップを含め10レースが行われる。第1レースは午前10時20分出走。メルボルン・カップは第8レースで午後3時出走。
 一般観客席(芝生席)には、臨時馬券売り場が設けてあるので、馬券の買い方がわからない場合は、馬券売場のおじさんが気軽に馬券の買い方を教えてくれる。複勝(Place)とEach Wayは当たる確率が高いのでこれを数レース試してみるのがお勧め。競馬専門新聞は無いが、当日朝のThe Age紙またはThe Herald Sunには特集ページが組んであるので最新情報を入手できる。

 

■メルボルンカップへはおしゃれして行こう
 メルボルン・カップは、メルボルン最大のお祭り。早朝から人々が競馬場へ着飾ってして出かける。一般入場者にはドレス・コードはないが、正装に準じる服装が主催者から求められている。着物や浴衣姿の日本人も最近は増えている。

 

■交通
 ワインなどアルコールを楽しむ機会が多いこともあり、多くの観客は電車を利用する。フリンダース駅(8番、9番ホーム)は、9時頃から着飾った男女で混雑が始まり、できるだけ午前中の早い時間に出発しよう。11時を過ぎると日本のラッシュアワー並みとなる。サザンクロス駅(14番ホーム)にも停車するが列車は超満員で乗り込むには勇気がいる。トラムは、エリザベス通りとフリンダース駅から57番トラム。クラウン・カジノ前からチャーター・ボートで出かける人々もいて風情がある。

 

■競馬場
 一般入場券($74)は、ネットやフェデレーション・スクエアの特設売り場(10月27日より当日まで開設)、フリンダース駅、サザンクロス駅などで購入しておくこと。フレミントン競馬場では購入できないので注意が必要だ。
 また会場へはアルコール飲料や危険物は持ち込めない。会場でアルコール飲料を買う場合には免許証などの証明書を見せてリスト・バンドを入手すること。
 会場に着いたら、まずレース・コースのすぐ前に陣取るのがコツ。メルボルン・カップ会場は大きなパーティ会場と化しており、思い思いに芝生の上に場所を陣取ってパーティーを始めている。
 メルボルン・カップのレースがスタートするとほぼ全員が立ち上がるので芝生席では、最前列付近以外ではレースがまったく見えない。昼過ぎにはレース・コース前の良い場所はふさがってしまうので、午前中の早い時間にできるだけレース・コース近くの場所を確保すること。
 家族連れのエリアもあり、子供たちが楽しめる施設もある。身障者も入場可能。アルコール禁止区域なので安心して楽しめる。開場は午前8時半。

馬券購入ガイド
競馬場、フェデレーション・スクエア特設馬券売り場、クラウン・カジノ、ネットなどいろんな方法で馬券は買える。オージーはあまり複雑な馬券は不得意のようで、大半は賭け方が簡単なWinとPlaceを買っている。

●Win(単勝)…選ぶ馬は1頭。1着の馬を当てる。ジ・オファー、フォークナー、グリーンムーンなどの有力馬でオッズが低く配当が高い場合は買ってみよう。

●Place(複勝)…選ぶ馬は1頭。3着までに入る馬を当てる。当たる確率は高いが配当金は低い。これもオッズが低く配当が高い馬がお勧め。配当が低い有力馬を買ってもリターンは少ない。

●Each Way(単勝と複勝の組み合わせ)…選ぶ馬は1頭。1着に入ればWinの配当、3着までに入ればPlaceの配当というお得な馬券。

●Quinellas(馬連複)…選ぶ馬は2頭。1着、2着を当てる。ジ・オファーなどを一着馬として定めて、フォークナー、グリーンムーンなどを2着予想馬としてなどの流し買いする。1着、2着は逆でもOK。高配当かつ当たる可能性もそれなりに高いので、お薦め。日本馬アドマイヤラクティは思い出になるのでぜひとも買いたいところ。

●Trifectas(3連単)…選ぶ馬は3頭。1着、2着、3着を着順通りに当てる。超高額配当であり、お遊びで数枚買ってみるのも面白い。1ドルの馬券に対して約4万ドル以上の配当もあった。

 

■Melbourne Cup 2014
会場:Flemington Racecourse(400 Epsom Rd., Flemington VIC)
日程:11月4日(火)3PM出走
Web: www.melbournecup.com

文・写真=イタさん(板屋雅博)
日豪プレスのジャーナリスト、フォトグラファー、駐日代表
東京の神田神保町で叶屋不動産(http://kano-ya.biz/)を経営


プロの馬乗りが教える メルボルン・カップ見どころ情報

日本馬、メルボルン・カップも制覇なるか

11月4日に開催されるオーストラリアの国民的イベント、メルボルン・カップ(G1、芝3,200m、フレミントン競馬場)。154回目を迎える今年の注目馬は、日本からの遠征馬アドマイヤラクティ(梅田智之厩舎、牡7)です。日本馬にとっては、2009年のトウカイトリック(12着)以来5年ぶり、日本馬として初出走した2005年のアイポッパー(12着)から数えて5頭目の出走、そして何と言っても日本馬2頭でワン・ツーを決めた2006年デルタブルース(1着)、ポップロック(2着)以来の快挙達成に期待がかかっています。

アドマイヤラクティは東京競馬場で2週間の検疫を経て、帯同馬のアドマイヤイナズマ(梅田厩舎、牡5)とともに、9月21日にVIC州のウェリビー競馬場に到着。現在、本番のメルボルン・カップに向けて調整が進められています。

 

前哨戦で見事優勝、悲願のG1ホースに

10月18日の前哨戦、G1コーフィールド・カップ(芝2,400m)に鞍上ザック・パートン騎手で出走したアドマイヤラクティ。トップハンデの58キロを背負い出走したスタート直後、後方に下げ、3コーナー辺りから進出を開始。4コーナーで大外に回すと、直線では、抜け出したライジングロマンス(ドナ・ローガン厩舎、牝4、父エクラー)を捕え、後方から追い込んできたルシアヴァレンティナ(クリス・リース厩舎、牝4、父サヴァビール)を抑え優勝(1着賞金175万ドル)、オーストラリアで悲願のG1ホースになりました。この勝利によりTABでの前売りのメルボルンカップ単勝オッズが4倍の1番人気(10月19日現在)になり、メルボルン・カップ制覇が現実味を帯びてきました。

その一方で、残念なニュースも発表されました。アドマイヤラクティとともに、コーフィールド・カップ、メルボルン・カップに向けて調整されていたバンデ(矢作厩舎、牡5、父オーソライズド)が、コーフィールド・カップの前日17日に右前脚の腱に熱を感じたため、無念の出走回避となりました。また来年以降に挑戦してほしいと思います。

 

アドマイヤラクティの特長は?

アドマイヤラクティ(梅田厩舎、牡6、父ハーツクライ、ノーザンファーム産、26戦6勝)の主な戦績は、昨年のG1天皇賞春(3,200m)4着、G3ダイヤモンドS(3,400m)1着、G1ジャパンカップ(2,400m)4着などがあります。この馬は、日本のトップクラスとしてはワン・パンチ足りないのですが、魅力はコース適正と安定した末脚。また、日本で一番フレミントン競馬場に似たコース形態の東京競馬場を得意としています。日本で一番メルボルン・カップに近い条件のG3ダイヤモンドS(3,400m)で優勝している点や、非常にハイレベルなG1ジャパンC(2,400m)で4着に入っている点があげられます。

血統的にハーツクライを父に持つこの馬は、あのディープインパクトを2005年G1有馬記念(芝2,500m)で国内唯一土をつけた名馬。種牡馬としても非常に優秀で、代表産駒のジャスウェイは今年3月にドバイで行われたG1ドバイデューティフリー(芝1,800m)で優勝しています。ハーツクライ自身がサンデーサイレンス産駒と言うこともあり、快晴の良馬場での瞬発力勝負が望ましいと思われます。万一、レース前に雨が降り、馬場が重くなるような事があれば、若干の割引は必要です。脚質も、比較的後方からの競馬になるので、コーフィールド競馬場から、さらに長いフレミントン競馬場の直線、コーフィールドカップ同様に大外から強襲してくる展開を期待したいです。なお、アドマイヤラクティの鞍上にはコーフィールドカップ同様に、香港ベースのオーストラリア人騎手のザック・パートン騎手(31歳)が予定されています。

 

ライバルになりそうな馬は?

アドマイヤラクティの強敵になりそうな馬を何頭かご紹介します。まずは今年のG1シドニーC(3,200m)の勝ち馬ジ・オファー(ゲイ・ウォーターハウス厩舎、セン6、父モンジュ-)、10月4日に行われたG1ターンブルS(2,000m)の勝ち馬ルシア・ヴァレンティナ(クリス・リース厩舎、牝4、父サヴァビール)、英国から参戦するプロテクショニスト(アンドレアス・ウォーラー厩舎、牡5、父モンズン)などが強敵になりそうです。

また、10月20日にはハンデ・キャップが発表されました。アドマイヤラクティがコーフィールド・カップで勝利したことにより、当初の58キロから0.5キロ増え、58.5キロの斤量を背負うことが決定しました。当初の58キロも日本ではG1未勝利のアドマイヤラクティには少し見込まれた感じではありましたが、近年の日本馬の海外での活躍を考えると仕方がないと思います。しかし、それを乗り越えて優勝した今回のコーフィールド・カップ。この馬にトップ・ハンデを課したオーストラリアのハンデ・キャッパーには敬意を表したいと思います。

 

街全体がお祭りムード一色に

レース当日は、普段レースに興味の無い人たちも巻き込んで、街全体がメルボルンカップ一色になります。アメリカのケンタッキー・ダービー、イギリスの英ダービー、フランスの凱旋門賞など、レースの格やレベルなど、メルボルンカップよりも高いレースは世界中にたくさんありますが、ここまで国を巻き込んで行われる競馬はメルボルンカップが1番だと思います。当日は、ぜひ日本馬を応援しつつメルボルン・カップをお楽しみください。

村田優馬◎Royal Randwick競馬場所属・攻馬手(Trackwork Rider)。2004年からブリスベンEagle Farm競馬場にて競走馬の育成に従事。05年からシドニーRoyal Randwick競馬場、09年からシンガポールKranji競馬場、12年からカナダWoodbine競馬場勤務を経て、13年よりRoyal Randwick競馬場に復帰。星G1シンガポール・ダービー、加G1ウッドバインオークス勝ち馬など、多数の重賞勝ち馬の騎乗調教に携わる。

 

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