豪州ゴルフ発祥の地、ボスウェル

タスマニア再発見
No.84 豪州ゴルフ発祥の地、ボスウェル
文=千々岩健一郎

毎年7月に開催されるゴルフの全英オープンの舞台は、その発祥の地といわれるスコットランドのセント・アンドリュースだが、オーストラリアのゴルフ発祥の地がタスマニアにあるのはご存知だろうか。ホバートから北に車で約1時間、中央部の山岳台地に向かって5号線のハイウェイを上っていくと、牧草地の中にぽつんと存在するボスウェル(Bothwell)の町がそれだ。

小さな町だが、19世紀初頭の建物が田園風景の中に点在し、静かで歴史を感じさせる。町ができたのは1823年、スコットランド出身の入植者が多かったこともあり、スコットランドはグラスゴーの近くにある同名の町からボスウェルと名付けたそうだ。

この町の通りの一角にゴルフ博物館がある。観光案内所を兼ねた小さなコテージには、古い木製のクラブなどの道具が展示され、当時の写真や、過去に活躍した豪州のゴルファーなどについての解説もある。入り口に掲げられたパネルに、この町のゴルフの歴史について次のような文章があった。「エディンバラの港町から1821年10月、入植から間もないバン・ディーメンズ・ランド(Van Diemens Land、タスマニアの旧称)に向けて1隻の帆船が出港した。長い航海を通じて知り合った同じ出身地の人々は、ホバートから内陸に入ったこの地をともに植民の場所に定めた。入植者の1人、Alexander Reid氏はこの地をやはりスコットランドの故郷の村にちなんで“Ratho”と名付け、本国から持参したロング・ノーズのクラブと羽根のボールを用いてゴルフを始めた。世界のゴルフ発祥の地からやってきた人々は、将来ここがオーストラリアのゴルフ発祥の地として知られるようになるとは考えてもみなかった」

ゴルフ博物館内の展示の様子
ゴルフ博物館内の展示の様子

彼らが最初にゴルフを始めたこの古いゴルフ・コースは、町の中を流れるクライド川のほとり、5号線のハイウェイ沿いに存在する。当時のゴルフ場は牧場と一体化したもので、牧草地の草を羊に食べさせてフェアウェイとした。四角形のグリーンの回りには羊が入らないようフェンスが設けられている。そしてこの原始的な形のゴルフ場が現在まで引き継がれ、「豪州最古のゴルフ場」として存在しているのだ。入植当時の邸宅もそのまま残ってクラブハウス(Ratho Farm)となり、宿泊や食事が可能。タスマニアを訪問するゴルフ好きの方はぜひ一度この地を訪ねてみては。


タスマニア再発見

 

千々岩 健一郎 プロフィル

1990年からタスマニア在住。1995年より旅行サービス会社AJPRの代表として、タスマニアを日本語で案内する事業の運営を行うとともに、ネイチャー・ガイドとして活躍。2014年代表を離れたがタスマニア案内人を任じて各種のツアーやメディアのコーディネートなどを手がけている。北海道大学農学部出身。

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