No.41 ダブ湖サーキットは花の季節

タスマニア再発見
ダブ湖展望台のティーツリー

タスマニア再発見

No.41 ダブ湖サーキットは花の季節

文=千々岩健一郎

1月のタスマニアはツーリスト・シーズン。中でも一番人気のクレイドル国立公園はワイルド・フラワーが咲き乱れる最も良い季節だ。今回はこのクレイドルのダブ湖周遊サーキットを歩いて、ここに咲く季節の花を紹介しよう。

このウォークはダブ湖展望台を出発して湖を1周する6キロ、2時間半のコースで、平坦かつよく整備されたボード・ウォークがほとんどなので、誰にも楽しんでもらえる。ただし、いったんスタートすると途中で中止することはできないので、雨具や防寒着などの携帯をお勧めする。

この時期、展望台の周辺にはティーツリーの白い花が咲き乱れる。日本では魚柳梅と呼ばれる5弁の花で、トラックの中でもいくつかの種類が登場するおなじみの植物。同じところに、ピンクや白のメラルーカもある。この2つはユーカリと同じ仲間のフトモモ科だ。

これらを見ながら時計回りでサーキットをスタートすると、数百メートル先に巨大な氷河岩が見える。この辺りは日当たりの良い草原地形で、ここに咲く2つのボロニアを見落とさないように。4弁のピンクががかった花「レモンの香りのするボロニア」はレモンタイムの別名もあり、葉っぱを指で擦り合わせると強い柑橘系の香りのするミカン科の植物である。氷河岩の辺りから登場する6弁の下向きに白い花を付けるバウエラは「愛のかんざし」の和名がある可憐な花だ。

サーキットはこの先から森歩きの道に変化する。日の当たらないレインフォレストの中には花は少ないが、南極ブナに混じって立つ、タスマニアにしか存在していない杉の仲間のキングビリー・パインやペンシル・パインなどの固有の樹木を見ていくのも楽しい。

まるでヤシの木のようなパンダニが登場するのも湿り気の多い森ならでは。これはスコパリアなどと同じヒースの仲間で、2月ごろになるとピンクの花を付ける、世界一高いヒースと言われるユニークな植物である。

森を抜けると北向きの日当たりの良い庭園のような場所。休憩のベンチに座って見上げるとクレイドルの主峰がもうすぐそこに見える。もう少し早い時期であればタスマニアの代表花、赤いワラタの花も見られる。ウォークはこの先、桂岩の露出した岩盤にせり出して取り付けられたボード・ウォークを渡り、ボール・ルームの深い森を抜け、氷河地形モレーンが作る丘を越えて進んでいく。キングビリーで造られた歴史的なボート小屋までやって来ると終着点はもう間もなく。途中でオレンジ色のユリの仲間クリスマス・ベルが見つかれば、上出来だ。


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千々岩 健一郎 プロフィル

タスマニア在住21年。1995年より旅行サービス会社AJPRの代表として、タスマニアを日本語で案内する同社の運営を行なうとともに、ネイチャー・ガイドとして活躍。特に植物関係の造詣が深く、その専門知識をもとに各種の自然観察ツアーやメディアのコーディネートなどを手がけている。北海道大学農学部出身。

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