姉妹都市~交流の軌跡(その3)~/タスマニア再発見

タスマニア再発見
No.94 姉妹都市~交流の軌跡(その3)~
文=千々岩健一郎

「交流の軌跡」の3回目として、北部の中心の町ロンセストンと大阪府池田市との姉妹都市交流について取り上げる。実は、タスマニアの4つの市の日本との姉妹都市交流の中で、この池田市との関係がもっとも古く、昨年でなんと50周年を迎えた。日豪間で現在109の姉妹都市があるそうだが、その中でも2番目に古い歴史を持つ。そんな両市の関係が始まったのが、それぞれの市に住む2人の高校生の文通がきっかけであったというのがユニークなところだ。

歴史あるロンセストンの市役所
歴史あるロンセストンの市役所

1962年の夏、池田市に住む当時高校生の吉住准一さんが、聞いていたラジオの英会話番組でペン・フレンドの募集に興味を持ち、文通を始めた相手がロンセストンの高校生ウェンディ・バトンさんだった。手紙の内容は家族のことや身近な出来事などの報告が中心だったが、やがて両市は町の中に川があったり、空港が近く、また人口の規模も似ているなど共通点が多いことに気付く。吉住さんは当時ユネスコ部というグループに参加していて、そこで南米移民やアジア関係、姉妹都市について学んでいたとのこと。まだ日本では姉妹都市というものについて知る人は少ない時代だったが、2人の高校生がそれぞれの市に働きかけたことで、両市も前向きに検討することになった。

かくして65年、ロンセストンからタンブル市長率いる使節団が池田市を訪問し、11月1日に池田小学校の講堂にて調印式が行われた。以来、各市の使節団の相互訪問、先生や子どもたちのホームステイなどさまざまな交流を行ってきたが、中でも特徴的なものは、動物の相互交流だろう。ロンセストンからは、タスマニアのユニークな有袋動物カンガルーやワラビーなどが数回にわたって贈られた。提携25周年の90年には3頭のウォンバットが初めて海を渡った。同じ年に、映画『タスマニア物語』が封切られたこともあり、このウォンバットは日本で大きな人気を呼んだようだ。2年後の92年には、このウォンバットの受け入れを行った五月山動物園において日本で初めてのウォンバットの赤ちゃんが誕生する。逆に、池田市からはニホンザルが送られている。

ロンセストンを訪れたら、市の中心部にあるシティー・パークを訪ねてみてほしい。公園の一角に日本でおなじみのサル山があり、今でもたくさんのニホンザルが見られる。


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千々岩 健一郎 プロフィル

1990年からタスマニア在住。1995年より旅行サービス会社AJPRの代表として、タスマニアを日本語で案内する事業の運営を行うとともに、ネイチャー・ガイドとして活躍。2014年代表を離れたがタスマニア案内人を任じて各種のツアーやメディアのコーディネートなどを手がけている。北海道大学農学部出身。

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