100周年のマウント・フィールド/タスマニア再発見

タスマニア再発見
No.96 100周年のマウント・フィールド
文=千々岩健一郎

ホバートから北西に64キロ、州都に最も近く位置するマウント・フィールド国立公園は今年でちょうど100周年を迎える。数多いタスマニアの国立公園の中で、フレシネと並んで一番最初に国立公園の指定を受け、非常に人気の高い名所だ。100周年を契機に改めてこの国立公園の楽しみ方を紹介しよう。

国立公園上部の、枯れたユーカリの古木が美しいハイキング・トラック
国立公園上部の、枯れたユーカリの古木が美しいハイキング・トラック

まず、ここはその訪問目的によって大きく2つのセクションに分かれる。1つは公園の入り口周辺の、標高の低いエリア(標高約180メートル)。ビジター・センターがある所を起点に、タスマニアで最も人気のラッセル滝までの森歩きを楽しむのが一般的だ。この滝は、およそ2億年前の堆積岩が何段も横たわった断崖を水が流れ落ちる迫力のあるもので、抜群の人気を誇る。ほとんどの人はこのラッセル滝を主目的に訪問し、そこに至る散策路の高木ユーカリやうっそうと茂る木生シダの林を楽しむのだ。タスマニア原生の自然を非常に手軽に味わうことができるので、夏のシーズンにはホバートに入港する客船の観光客も大挙してやって来る。

もう1つのセクションは、入り口から曲がりくねった未舗装道路を標高1,000メートルほどまで登りきった所にある、ドブソン湖を起点とする山岳地域。この道路は狭く、大型バスは入れないので大きなグループの人びとには縁のない所だが、山歩きの好きな人にとっては魅力的な場所だ。氷河で形成された無数の湖やターン、チルク、公園最高峰のマウント・フィールド・ウエスト(標高1,435メートル)などを巡る素晴らしいウォーキング・ルートが設けられている。また、冬季には積雪も多く、昔からタスマニア南部で唯一スキーの楽しめる場所としても知られている。ゲレンデには、簡単なリフトや山スキー・クラブの歴史あるハットなども。ちょっと本格的な山歩きをしてみたい人には、この公園上部のエリアまでぜひ一度足を踏み入れて頂きたいが、思った以上に険しい部分もあるので十分な時間と装備が必要となる。

世界遺産タスマニア原生地域は2013年に面積拡大がなされた。意外に知られていないことだが、この拡大によりマウント・フィールドも世界遺産指定地域に含まれることになった。ここはタスマニアで最も古い国立公園であると同時に、おそらくホバートから最も近い世界遺産の国立公園でもあるということだ。


タスマニア再発見

 

千々岩 健一郎 プロフィル

1990年からタスマニア在住。1995年より旅行サービス会社AJPRの代表として、タスマニアを日本語で案内する事業の運営を行うとともに、ネイチャー・ガイドとして活躍。2014年代表を離れたがタスマニア案内人を任じて各種のツアーやメディアのコーディネートなどを手がけている。北海道大学農学部出身。

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