もう1つの100周年「フレシネ半島」/タスマニア再発見

タスマニア再発見
No.97 もう1つの100周年「フレシネ半島」
文=千々岩健一郎

前回のマウント・フィールドと並んで、タスマニアで最初に国立公園の指定を受けたフレシネ半島を今回は取り上げよう。タスマニアの山側の国立公園として人気があるのがマウント・フィールドやクレイドルとすれば、フレシネは海側の国立公園として最も人気のある場所だ。東側のちょうど真ん中あたりでタスマン海に突き出した半島のほぼ全域が国立公園になっている。

東側の海岸線はタスマニアでは最も気候の穏やかな場所である。雨が少なく冬場でも穏やかな環境であるためか、かつてはタスマニア・アボリジニーの生活の場でもあった。彼らは主に海岸で捕れる牡蠣などを食べて生活していたので、現在でも各所に貝塚が残っている。19世紀の初めにはフランスの探検隊が周辺の海域を航行してフランス由来の地名を残した。英語ではなじみのない「フレシネ」は、この探検隊のフランス人の海軍大尉の名前から取ったものらしい。

フレシネ半島国立公園の中央部にある、ワイングラス・ベイの展望台
フレシネ半島国立公園の中央部にある、ワイングラス・ベイの展望台

この国立公園の特徴は、半島中央部に存在するハザードと呼ばれる赤い花崗岩の岩山の連なり。左からダブ、エイモス、メイソンの3つの岩山が並んで存在する、なかなかユニークな地形だ。そしてエイモスとメイソンの間を登った所にあるのがワイングラス・ベイの展望台。年間約27万人のこの国立公園訪問者のほとんどが、この展望台を目標にやって来る。スタート地点の駐車場から、ピンク色の巨大な花崗岩の岩肌を横目に見ながら30分ほど登ると、ようやく半島の反対側を望む場所に到達。そこからワイン・グラスのような曲線を描く白砂のビーチを、タスマン海に面したブルーの入り江と共に展望できる。旅行雑誌で「世界のトップ10ビーチ」と謳われる場所だ。訪問客の数が年々増加していることもあり、この数年で出発点の駐車場が拡張され、展望台までの登山道路も全面的に整備された。

ところで3つの岩山の連なり、ハザードだが、この展望は国立公園の中に入ってしまうとなかなか難しい。国立公園の手前にある町コールス・ベイの船着場周辺、あるいは国立公園ビジター・センターの裏にある海岸まで出てみると、手前の入り江越しに素晴らしい眺望が。特に日の入り頃には、岩山に夕日が当たりちょっとした感動の風景を見られるかもしれない。

もう1つ、国立公園からはかなり距離が離れるが、3号線のハイウエイの途中のデビルズ・コーナーのワイナリーの中に新しい展望施設が建設された。ここからは、ブドウ畑とグレート・オイスター・ベイの彼方にはるかなハザードとフレシネ半島の全体が遠望できる。


タスマニア再発見

 

千々岩 健一郎 プロフィル

1990年からタスマニア在住。1995年より旅行サービス会社AJPRの代表として、タスマニアを日本語で案内する事業の運営を行うとともに、ネイチャー・ガイドとして活躍。2014年代表を離れたがタスマニア案内人を任じて各種のツアーやメディアのコーディネートなどを手がけている。北海道大学農学部出身。

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る