「客船」シーズン到来!/タスマニア再発見

タスマニア再発見
No.99 「客船」シーズン到来!
文=千々岩健一郎

今年のタスマニアは客船ブームで沸いている。その中心となるホバート港に客船専用ターミナルが完成し受け入れが容易になったこともあるが、最近はホバートのみならず、クレイドル・マウンテン国立公園に近いバーニーや、囚人史跡で名高いポート・アーサー、更には東海岸のワイングラス・ベイまで訪問する客船があるらしい。

今年のシーズンの訪問予定数はなんと94隻で、前年比60パーセント・アップとのこと。昨年の訪問客数は16万人で、その経済効果は3,000万ドル。これには、乗船客が上陸して支払う金額に加えて、乗船クルーが上陸中に使う金額や、客船の燃料や食糧の補充費用なども含まれる。10万トン・クラスの大きな船では1日の燃料だけでも150トン以上、1週間分の食料が20トンというから尋常ではない。

ホバート港に停泊中の客船クイーン・ビクトリア号
ホバート港に停泊中の客船クイーン・ビクトリア号

なぜ、こうした客船ブームがタスマニアにやってきたのだろうか。確かに世界的にもクルーズ船旅行の人気が上昇中との話は聞いたことがある。ホバートに関して言えば、南半球でも随一の水深があり容易に町の中心地に着岸できるというメリットは大きいだろう。下船したらその足でサラマンカ・プレイスなどの町の散策スポットまで歩いて行くことができ、1時間程度のドライブで世界遺産に指定された原生の自然を訪問することも可能だ。過去の訪問客へのアンケートでもタスマニアの評価は高く、ツアーの販売も好調とのことだ。

こうした客船の乗客に人気の訪問スポットの1つに、ボノロング野生動物公園がある。ここではウォンバットやタスマニア・デビルなどのユニークな動物たちと出合い、園内を自由に歩き回っているカンガルーなどと触れ合う体験ができるのだ。大きな客船が入ろうものなら、何台もの大型バスが列を成してこの野生動物公園を訪問することになり、普段は静かに昼寝を楽しんでいるカンガルーたちに、数百人がエサを片手に押し寄せるから大変だ。客船が1日の滞在を終えて港を出て行く夕方ごろには疲れきった動物たちの姿も散見されることになる。

かつてホバート港では客船の入出港に合わせて、市長が伝統の礼服で出迎えたり、地元の学校の女声合唱団が演奏したりして歓迎の行事が行われた。現在これだけの客船が入ってくる中でそういった特別サービスは難しいかもしれないが、市が手配する60人のボランティアが交代で地図を配ったり、道案内を行う体制が出来上がっている。


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千々岩 健一郎 プロフィル

1990年からタスマニア在住。1995年より旅行サービス会社AJPRの代表として、タスマニアを日本語で案内する事業の運営を行うとともに、ネイチャー・ガイドとして活躍。2014年代表を離れたがタスマニア案内人を任じて各種のツアーやメディアのコーディネートなどを手がけている。北海道大学農学部出身。

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