ウォンバットの草原、ロニー・クリーク/タスマニア再発見

タスマニア再発見
No.101 ウォンバットの草原、ロニー・クリーク
文=千々岩健一郎

前回に続きクレイドル国立公園から、今回はロニー・クリークを取り上げよう。公園内を運行しているシャトル・バスに乗ると、終点ダブ湖展望台の1つ手前の停留所がロニー・クリーク駐車場だ。ここは、クレイドル山頂直下の山岳台地を源として流れてきた川(Ronny Creek)が、ダブ湖から流れ出たダブ・リバーに合流する地点で、黄金色のボタン・グラスが茂る草原地帯だ。

氷河の痕跡モレーンが横たわる左側の彼方にはリトル・ホーンの頂、右手斜面の上にはうっそうと茂るウェインドルファーの森。景観的にすばらしい場所だ。ワルドハイムに代わるオーバーランド・トラックの出発点には、玄武岩の柱が3本立てられ、5泊6日の長丁場の旅にスタートする人びとを鼓舞するモニュメントがある。

草原の中へ伸びる木道は、1日歩きの各種ハイキング・コースの出発地点でもある。オーバーランドのルートをたどり、クレーター湖を経てマリオン展望台(1,230メートル)に至るコースや、途中でオーバランドのルートを離れリラ湖を経由してダブ湖展望台に抜けていく簡単コースもある。また、反対方向に下っていく、クレイドル・バレーボード・ウォークのコースもお薦めだ。

このように、ハイキングの起点として重要なロニー・クリークだが、同時に野生動物探しの場所としても隠れた人気スポットになっている。タイトルに「ウォンバットの草原」と謳ったが、この小川沿いの辺りには、あの愛嬌のある有袋類ウォンバットが多数生息している。1日のハイキングを終えた後、あるいは夕食前のひと時にここを訪れてみて欲しい。運が良ければほんの数メートルの近くで、時には親子連れ、更に運が良ければお尻のところから赤ん坊が顔を出している姿などにも出合う。野生のウォンバットが容易に観察できるのはなんと言ってもクレイドルが一番だが、中でもここは格別のポイントなのだ。

ウォンバットの親子
ウォンバットの親子

更に、ここはなかなか姿を拝むのが難しいカモノハシの出現する場所でもある。ロニー・クリーク上流で大雨が降ると、この駐車場周辺の草原一体が水浸しになる。そんな時には、本流に住むカモノハシが餌を求めてこの草原の水溜りまで出かけてくる。散策に出かけたら、間近にこの希少動物に出合うという思わぬ幸運に恵まれるかもしれない。


タスマニア再発見

 

千々岩 健一郎 プロフィル

1990年からタスマニア在住。1995年より旅行サービス会社AJPRの代表として、タスマニアを日本語で案内する事業の運営を行うとともに、ネイチャー・ガイドとして活躍。2014年代表を離れたがタスマニア案内人を任じて各種のツアーやメディアのコーディネートなどを手がけている。北海道大学農学部出身。

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