象の峠のパンケーキ屋さん/タスマニア再発見

タスマニア再発見
No.110 象の峠のパンケーキ屋さん
文=千々岩健一郎

今月もタスマニアの「喰い処」をテーマにお届けしよう。

我が家がロンセストンにあった当時、日本からの友人が来ると1時間半のドライブをして食べに行った人気の場所がある。

ロンセストンから南に1号線、4号線のハイウェーを乗り継いだ所にセントメリーの町がある。この町から東海岸に抜けていくのに2つの峠道があり、この1つがエレファント・パス。曲がりくねったユーカリの森の峠道を8キロほど上り詰めた所にあるのが、人気の「パンケーキ・バーン」。正式名称は「Mt Elephant Pancakes」。幾つかの旅行雑誌で「Best Pancakes in Australia」として紹介された知る人ぞ知るレストランだ。

目印となる「パンケーキ・バーン」の看板と有名なパンケーキ
目印となる「パンケーキ・バーン」の看板と有名なパンケーキ

行ってみると分かるが、回りは鬱蒼(うっそう)と木々が茂る森の中で、知らないとうっかり通過してしまうような場所だ。大きな町から遠く離れた、こんな環境で30年以上続いているだけあって、ウェブサイトのゲスト・ブックを覗くとオーストラリア各州、あるいは世界各地のお客さんの賞賛コメントが多数寄せられている。

パンケーキと言うと日本の人はアメリカン・スタイルのホットケーキのようなものを思い浮かべるかもしれない。このお店の物はヨーロッパ・スタイルでクレープのような料理と思ってもらえば良い。メニューには主菜型の物とデザート型の物があり、いずれも捨てがたい。主菜型の人気メニューは、「Smoked Salmon & Camembert」や「Curried Chicken」など。今の季節には旬のアスパラガスを使ったものも良いだろう。

どれも皆おいしそうなので、選択に迷ったら2種類を注文して連れの人と半分ずつ交換して食べるのも良い。主菜はかなりボリュームがあるが、デザート・タイプの「Cinnamon Sugar」や「Lemon Sugar」などは、あっさりと添えられたアイス・クリームとのコンビネーションが楽しめる。

象の峠の名前の由来は、近くにあるマウント・エレファントの姿が象が横たわる姿に似ているからということらしいが、遠くからそれが見えるような場所ではないので真偽のほどは定かではない。場所的にははっきり言って辺鄙(へんぴ)かつ中途半端な所にあるので、タスマニア旅行の行程にここでの昼食を含めるのはなかなか簡単ではない。

ロンセストンから東海岸のフレシネ半島国立公園の訪問をする場合、少し遠回りになるが早めの昼食をここで取るか、逆に東海岸をビチェノからセントヘレンズ方面に北上して行く場合、これも多少遠回りになるが立ち寄ることにしたら良いだろう。訪問の価値は十分にあるスポットだ。


タスマニア再発見

 

千々岩 健一郎 プロフィル

1990年からタスマニア在住。1995年より旅行サービス会社AJPRの代表として、タスマニアを日本語で案内する事業の運営を行うとともに、ネイチャー・ガイドとして活躍。2014年代表を離れたがタスマニア案内人を任じて各種のツアーやメディアのコーディネートなどを手がけている。北海道大学農学部出身。

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