西の果てストローンの「海鮮ビュッフェ」/タスマニア再発見

タスマニア再発見

No.112 西の果てストローンの「海鮮ビュッフェ」
文=千々岩健一郎

タスマニアの西部は特別な場所。ホバートやロンセストンの都市から数百キロ離れた遠隔の地。偏西風に乗った低気圧が多量の雨をもたらす森と原野の広がる地域。ストローンはそんな西部の中心にある小さな港町だ。

ワイルド・リバーズ国立公園のゴードン・リバー・クルーズの出発地であり、かつてクイーンズタウンで採れた銅を運んだウイルダネス鉄道の終点でもあるが、今回は食のテーマの一貫としてこの町のホテルの食事を取り上げよう。

レストランから展望するストローンの港
レストランから展望するストローンの港

この町で最大の部屋数を有する「ストローン・ヴィレッジ」は港を見下ろす丘の上に建つ歴史のあるモーテルで、ここのレストランは眼下にマクワリ・ハーバーと鮮やかな彩りの船舶が停泊する船着場を見下ろすすばらしい場所にある。レストランとその手前のラウンジ・ルームは、ほぼ真西に面し、夕食時間には湾の彼方はるかな南氷洋に沈む夕焼けのシーンにも遭遇する。今回のテーマは、こんなすばらしいシチュエーションで楽しめる海鮮のビュッフェ。もちろん景色のみならず料理の内容もお薦めできる。

海鮮と謳(うた)ったのは、前面で目に付くのが冷菜の水産グルメだから。眼下の湾で養殖されたサーモンが巨大な1匹丸のままを蒸し上げて大皿にどんと据えられ、更に剥きたての牡蠣、そしてムール貝に殻付エビがその横に並ぶ。ビュッフェのレストランは他にもあるけれど、好きなだけ牡蠣を食べられる場所はここが最高だ。こんな生鮮シーフードにとどまらず各種のニブル・アイテムも充実している。イカの入った海鮮サラダ、魚のすり身のコロッケなどなど。もちろん海鮮料理のみならずホテルの夕食に不可欠の暖かいロースト系の肉料理もある。メインの後は伝統的なパブロバを中心に各種のデザートも充実。少量多品種を楽しみたい日本からのツーリストには大変喜ばれる構成になっているのである。

海鮮ビュッフェの一部
海鮮ビュッフェの一部

西海岸で人気のあるゴードン・リバー・クルーズには最低6時間、ウイルダネス鉄道を楽しめば更に半日が必要となる。ゆっくりとこの最果ての町に連泊して、2晩共ここの夕食を頂くことになっても、恐らく満足できる充実ぶりではないかと思う。近くには、南氷洋に面し長大なスケールで続くオーシャン・ビーチや、偏西風に吹き寄せられてできた広大なヘンティ砂丘もある。またリバー・クルーズが発着する船着場の近くには、タスマニアの南西部にしか存在しない針葉樹ヒューオン・パインの製材所と木工品のギャラリーなどがあり、観光にも決して退屈しない特別な場所だ。この夏チャンスを見つけてぜひ一度足を伸ばしてみて頂きたい。


千々岩 健一郎
1990年からタスマニア在住。1995年より旅行サービス会社AJPRの代表として、タスマニアを日本語で案内する事業の運営を行うと共に、ネイチャー・ガイドとして活躍。2014年代表を離れたがタスマニア案内人を任じて各種のツアーやメディアのコーディネートなどを手がけている。北海道大学農学部出身。

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