最果ての町の朝食バー「Moby Dicks」/タスマニア再発見

タスマニア再発見

No.114 最果ての町の朝食バー「Moby Dicks」
文=千々岩健一郎

スタンレーはタスマニアの北西の端にある人口が500人にも満たない小さな町だ。最果ての町と言っても良いだろう。バス海峡に向かって北側に突き出た半島の先に円形の巨大な岩山ナットがあり、町はその麓(ふもと)にこじんまりと存在している。通りに沿って歴史に取り残されたような木造の家屋が立ち並び、どこかしらメルヘンチックな雰囲気を感じさせる。つい最近、ハリウッドの映画会社が20世紀初頭の町の雰囲気を求めてこの町を貸し切り、ある映画の撮影を行ったという話もうなずける。

スタンレーの町の紹介から始めたが、今回のテーマはこの町の「Moby Dicks(モービー・ディックス)」という朝食バー。こんな辺鄙(へんぴ)な場所に朝食専門のお店があるのはちょっと驚く。中に入ってみるとそのメニューの充実ぶりに更に驚く。いわゆるフルブレ(フル・ブレックファスト)的なものだけでも10種類以上、軽めの朝食としても更に10種類以上の選択肢があるのだ。まあ、あんまり多過ぎても朝ごはんにはちょっと困る部分もあるのだが、その味と品質には決して裏切られることはない。価格も町のホテルと比較してずっとリーズナブルだ。

選択に迷ったら「エッグ・ベネディクト」か「フィッシャーマンズ・ブレックファスト」を。両メニューの「オランディーズ・ソース」は絶品との声が多数ある。

店内は小さいので多人数で押し寄せるのは難しいが、店の奥に見渡しの良いデッキ席が幾つかあって、景色を楽しみながらくつろぐこともできる。カフェ・メニューも充実し、私の好みはロング・ブラックだけれど、ミルクの選択枝も多くメニューできちんと案内がある。朝食には不可欠のジュース類は注文してから生絞りする新鮮さにこだわっている。と、こんな具合に朝食バーと謳っているだけのことはある場所だ。

店の近くのビーチから見た朝日の眺め
店の近くのビーチから見た朝日の眺め

タスマニアの北西端、「サーキュラー・ヘッド」の辺りにお出掛けの際は、こちらで朝食を楽しむことをお薦めする。小さな町なので店の場所を見つけるのに苦労はないが、目印は「白鯨」が描かれた看板。時間を掛けて足を運んでも決して裏切られることはないだろう。

夏時間が終了する前のこの時期は日の出の時間も午前7時前後とやや遅くなってくる。「ザ・ナット」の登り口近くにある「ゴッドフリー・ビーチ」はちょうど真東を向いていて、天気の良い日にはすばらしい朝日を拝むことができる。日の出の時間に併せて出掛け、ビーチの散策を楽しんだ後で朝食バーに向かおう。「Moby Dicks Breakfast Bar」の営業時間は午前7時半から午後12時まで。休日なしの週7日の営業だ。


千々岩 健一郎
1990年からタスマニア在住。1995年より旅行サービス会社AJPRの代表として、タスマニアを日本語で案内する事業の運営を行うと共に、ネイチャー・ガイドとして活躍。2014年代表を離れたがタスマニア案内人を任じて各種のツアーやメディアのコーディネートなどを手がけている。北海道大学農学部出身。

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