旧住宅街のベーカリー/タスマニア再発見

タスマニア再発見

No.115 旧住宅街のベーカリー
文=千々岩健一郎

最果ての町から一気に南下して州都ホバートへ。今回はホバートで最も古い住宅地区、バッテリー・ポイントにあるベーカリーを取り上げよう。

バッテリー・ポイントは入植当時、港を守る砲台があったことから名付けられたホバートでも最も古い住宅街。その中心の通りハムデン・ロードとケリー・ストリートの角に位置する歴史的な建物にあるのが「ジャックマン・アンド・マクロス(Jackman & McRoss)」だ。何でもこの場所は入植直後からずっとベーカリーとして存在してきた場所だそうだ。

現在の「ジャックマン・アンド・マクロス」としてオープンしたのがいつのころかは知らないが、周辺に古い館の立ち並ぶこの界隈の景観にぴったりとマッチする雰囲気で存在している。この店の人気の理由は、その豊富な品ぞろえとおいしさ。ペストリーの上に色彩感あふれるさまざまな素材をトッピングしたものがまず目に入る。伝統的な生地で焼いたオーソドックスのパン類ももちろん人気があるが、やはり選択に迷ってしまうほどのカラフルなアイテムが魅力だ。

ベーカリー「Jackma&McRoss」が面する旧住宅街の通りの風景
ベーカリー「Jackma&McRoss」が面する旧住宅街の通りの風景

個人的にはここのクロワッサンが最高である。クリスマス前には予約の人で群れる。ちょっと甘みのあるアーモンド・クロワッサンはアフタヌーン・ティーにもってこい。持ち帰りのフルーツ・ブリオッシュも捨てがたい。

店の左半分は持ち帰り用の陳列ケースが並び、隣には十分な数のテーブル席のスペースがあり、ゆったりとした朝食や昼食を楽しむことができる。少しだけお腹を満たすランチをお望みならば、スモーク・サーモンでラップしたスクランブル・エッグをのせたペストリーや、5種類のマッシュルームがのったブルスケッタはどうだろう。そして忘れてならないのはこの店のコーヒー類。個人の好みで恐縮だが、ここのロング・ブラックは最高だ。かなり濃い目の抽出なので、いつもサイドで頼むホット・ミルクを加えながら楽しむ。

価格も手頃で、コーヒー付きで1皿を食べても20ドルを越えることはまずない。土・日も営業しているので、週末のブランチを気楽に楽しめるお薦めスポットなのだ。店の横のケリー・ストリートは、歴史的な「ケリーズ・ステップス(Kelly’s Steps)」を通じてサラマンカ通りと直接つながっている(ジェームス・ケリーは19世紀初頭に活躍した船乗り兼探検家で、タスマニア入植の歴史の中で重要な役割を担い、この階段を造ったことからこの通りと階段に名前を残す)。

土曜日の朝は、この店で朝食を取り、通りを散策しながらサラマンカ・マーケットの見物に出掛けてみては。あるいはマーケット見物の後でケリーの階段を登って昼食を取り、旧住宅街の散策を楽しんではいかが。


千々岩 健一郎
1990年からタスマニア在住。1995年より旅行サービス会社AJPRの代表として、タスマニアを日本語で案内する事業の運営を行うと共に、ネイチャー・ガイドとして活躍。2014年代表を離れたがタスマニア案内人を任じて各種のツアーやメディアのコーディネートなどを手がけている。北海道大学農学部出身。

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