新設の展望タワーとセラー・ドア/タスマニア再発見

タスマニア再発見

No.118 新設の展望タワーとセラー・ドア
文=千々岩健一郎

前回のフレシネ・マリン・ファームからほど近く、今回は東海岸のA3号線の途中、ヴィンヤードの中に新設された展望タワーとセラー・ドアについて取り上げよう。

ホバート方面から東海岸に沿って北上するA3号線を約2時間走って、曲りくねった丘の道をやっと越えると海側が大きく開けたポイントがある。手前のモールティング・ラグーン越しにフレシネ半島の遠景が展望できる場所で、昔から道路際に狭い展望スポット「Cherry Tree Hill Lookout」があった。ただし見通しの利かない曲がり角にある小さなスペースで停車には危険極まりない所だった。数年前、スポットが閉鎖され、その直下のヴィンヤードの中にすばらしい展望タワーとテイスティングのできる建物が建設された。

ヴィンヤードに佇む展望タワーとセラー・ドアからフレシネ半島とラグーンの絶景を臨む
ヴィンヤードに佇む展望タワーとセラー・ドアからフレシネ半島とラグーンの絶景を臨む

タワーと言っても高さ20m程度だが、周辺に広がるブドウ畑の中に造られた斬新なデザインで、すばらしいフレシネのハザード方面の景色と相まって思わず停まって見たくなる場所だ。実は、この展望タワーにはワイナリーのテイスティング・レストランが併設されている。本当のところは、今タスマニアで人気のラベルの1つである「デビルズ・コーナー」のセラー・ドアに展望タワーが併設されているという表現の方が正しいかもしれない。

デビルズ・コーナーは飲み口の爽やかな白ワインに定評のあるワイナリーだが、数年前にテイマー・リッジと共にVIC州の大手ブラウン・ブラザーズの傘下に入った。そして、大手の親会社がこの絶景ポイントを見逃さず、展望タワー付きのセラー・ドアを新設したというわけだ。

ここでは単にテイスティングのみならず、併設されたカフェのデッキでピザやサラダ、そしてマリン・ファームと提携した新鮮な魚介類も楽しめる。希望で20人ぐらいでフル・コースの夕食予約ができ、貸し切りで雄大なフレシネとヴィンヤードの景色を眺めながらプライベートな使い方もできる。

2015年11月に完成した展望タワー及びセラー・ドア周辺の建物は、金属パネルと木材をうまく組み合わせた現代風のデザインで、緑豊かなブドウ畑の広がりの中でひときわ目立ち、16年度のタスマニアの設計部門で数々の賞を受賞している。

テイスティングの時間が取れなくとも、長いドライブの途中にトイレ休憩を兼ねて少し立ち寄り、展望タワーだけでも見物してみたい。ここから見えるフレシネ半島とその手前に広がるラグーンの景色のみならず、一連の建築デザインにも目を向けて頂きたい。


千々岩 健一郎
1990年からタスマニア在住。1995年より旅行サービス会社AJPRの代表として、タスマニアを日本語で案内する事業の運営を行うと共に、ネイチャー・ガイドとして活躍。2014年代表を離れたがタスマニア案内人を任じて各種のツアーやメディアのコーディネートなどを手掛けている。北海道大学農学部出身。

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