最南端のすしレストラン「Masaaki’s」/タスマニア再発見

タスマニア再発見

No.122 最南端のすしレストラン「Masaaki’s」
文=千々岩健一郎

5年前のヒューオン・バレーのコラムでも紹介したが、改めてタスマニアの食のお薦めスポットとして、「Masaaki’s Sushi」(マサアキズ・スシ)を取り上げよう。このすしレストランは、ホバートから南に向かう6号線のハイウェーを1時間ほど下ったジーベストンという、人口が2,000人に満たない小さな町にある。

タスマニアで今、一番話題のすしレストランだ
タスマニアで今、一番話題のすしレストランだ

同店のオーナー・小山正明さんは、和歌山県の小さな村で育ち、18歳で大阪に出てすし職人の修行を積んだ。日本で知り合ったタスマニア出身のパートナー・ルーシーさんからヒューオン・バレーの特異ですばらしい環境について知り、10年ほど前に彼女と共にこの町に住み着いた。

開店当時は、周辺に住む人も少なくかつ知名度も低かったために閑古鳥が鳴く毎日だった。彼のユニークなところは、店だけにとどまらず積極的に外部のイベントですしを提供していったことだ。ホバートで週末に行われるファーマーズ・マーケットで提供を始めると、やがて行列ができる人気コーナーとなった。

彼のすしの特徴の1つは、色のコンビネーションがすばらしいこと。タスマニアで採れる新鮮な素材を駆使して美しいプレートを作り上げる。味のみならず色合いやプレゼンテーションでも群を抜いた作品として地元の人びとの目を引いた。地元のヒューオン・バレー特産のサーモンにとどまらず、新鮮な魚介類や野菜、中でもタスマニアで栽培されているワサビなども使った。

彼の強みは一度訪れたお客さんの顔は決して忘れないことらしい。いつの間にかホバートからはるかに遠いジーベストンにある同店まで、うわさを聞いた客が来るようになり、他州からも多くの人が訪問するようになった。ヒューオン・バレーのカウンシルのウェブサイトを見ると、グルメ・ファーマーとして知られるマシュー・エバンズなどと並び、彼のストーリーが掲載されている。

開店10年目を契機に現在、彼は新しいことを考えているという。ジーベストンの店の隣にある古い教会の建物を改造し、新しい店をオープンさせる計画なのだ。キッチンの大きさが倍になると共に、関連グッズを販売する小売スペースやすし作りの教室なども設けるつもりだ。早ければ来年にも新しいレストランで彼のすしを味わうことができるだろう。ただし、現時点で彼の店の営業は、金~日曜日の週末3日間に限られている。午後の早い時間に売り切れることも多いので、訪問の前には同店のフェイスブックから予約することをお勧めする。


千々岩 健一郎
1990年からタスマニア在住。1995年より旅行サービス会社AJPRの代表として、タスマニアを日本語で案内する事業の運営を行うと共に、ネイチャー・ガイドとして活躍。2014年代表を離れたがタスマニア案内人を任じて各種のツアーやメディアのコーディネートなどを手掛けている。北海道大学農学部出身。

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