ブッシー・パークのホップ・フィールド/タスマニア再発見

タスマニア再発見

No.127 ブッシー・パークのホップ・フィールド
文=千々岩健一郎

4月のダーウェント・バレーは黄葉の季節。それは河岸に広がる柳とこのエリア特有のポプラの黄葉が目立つ地域だからだ。ポプラは元々、ビールの原料となるホップのプランテーションを守るために植えられた物のようだ。タスマニアでこの特徴あるホップ・フィールドが見られるのは、北部のスコッツデールとダーウェント・バレーのブッシー・パーク周辺に限られる。

ホップ畑の中にオースト・ハウスのある風景
ホップ畑の中にオースト・ハウスのある風景
鈴なりに実ったホップ
鈴なりに実ったホップ

ホバートからマウント・フィールド国立公園に向かって走っていくと、同バレー中心の町ニュー・ノーフォークを通過してすぐ辺りにブッシー・パークのサインが登場する。同時にこの辺りから、パドックの中に木製の杭を立てその上部に鉄線を張り巡らせた特徴のある畑が登場する。これがホップで、垂らしたひもを伝ってつるが空に向かって伸び上がり、秋の季節には実を鈴なりに付ける。ご承知のようにホップは、ビールのフレーバーや苦みを生み出すのに不可欠の物だ。この地域でプランテーションを運営するHPA社は、1864年に初めて生産をスタートし、現在では世界のおよそ26カ国のビール会社の注文に応じたホップを生産し輸出している。植え付け面積は255ヘクタールで1シーズンの生産量は600トン。収穫シーズンは3月の2週間程に限られ、その間は10時間の2シフトで、収穫・乾燥・ペレット製造を絶え間なく行う年間最大の繁忙期となる。

最近は地元のタスマニアでも従来の大手ビール工場に加えて、クラフト・ビールと呼ばれる地ビール会社が多数生まれている。この小規模の新しい醸造所は、大手にはない特徴ある味わいを求めて新しい品種のホップへの要求が強く、そのための新品種開発にも取り組んでいる。

このブッシー・パークのエリアを走るとパドックの中程にオースト・ハウスと呼ばれる木造の古い乾燥小屋が見られる。ホップの畑と並んでブッシー・パークの特徴ある風景を演出する建物だ。残念ながら今年の収穫期は3月末に終了したが、ポプラの黄葉は4月がベスト・シーズン。この季節に合せて4月14日の日曜日には、恒例ダーウェント・バレー・フェスティバルが開催される。ダーウェント河岸沿いのイベント会場では、各種グルメのストールに混じって、ニュー・シーズンのホップで生産された出来立てビールを味わうことができるかもしれない。


千々岩 健一郎
1990年からタスマニア在住。1995年より旅行サービス会社AJPRの代表として、タスマニアを日本語で案内する事業の運営を行うと共に、ネイチャー・ガイドとして活躍。2014年代表を離れたがタスマニア案内人を任じて各種のツアーやメディアのコーディネートなどを手掛けている。北海道大学農学部出身。

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