【インタビュー】製麺業界に風雲児登場!てつじんらーめん

シドニーではここ数年、ラーメン店が乱立し、各店舗がそれぞれ個性を打ち出しながらしのぎを削る、いわゆるラーメン戦国時代が到来している。自店舗でこだわりの自家製麺を作る店もあるが、自家製麺は店主のこだわりを反映でき、コストも抑えられる一方で、クオリティを一定に保つのが難しいという側面もある。多くの店は製麺所から麺を購入しているのが現状だ。

当然、日本では製麺所の数もそれこそ星の数ほどある。その中で例えば札幌の「西山製麺」のように全国的な知名度を誇りブランド化されている製麺所も少なくない。だが、ブームが巻き起こっているとはいえシドニーには製麺所は数えるほど。そのため多くの店で同じ麺が使われるという状況もまた起こっている。

ラーメン・フリークとしては、製麺業界にも競争原理が働くことでさらにラーメン業界全体が盛り上がってくれることを期待したいが、市場規模を考えるとなかなか難しいのだろう。そう考えていたさなか、新たな製麺所が名乗りを上げることとなったのである。その名も「てつじんらーめん」。顧客の細かなニーズに100パーセント答えられる麺づくりをモットーに徐々にシェアを増やしているという。

てつじんらーめんの立ち上げ人である山形氏に話を伺った。

調理場での扱いやすさも考慮した仕上がり

──早速ですが、シドニーのラーメン戦争に一石を投じる今回のチャレンジ、ラーメン・ファンとして嬉しく思います。
「ありがとうございます。実は1年ほど前から、いろいろと試行錯誤しながら麺を作ってきたのですが、ここ最近製麺技術の、クオリティが一気に上がり、自信も出てきたため大々的に売っていこうと考えるようになりました」

 

──1年間のトライアルで特に苦心されたのはどのあたりだったのでしょう。
「麺の美味しさとお店での使いやすさの両立ですね。表面がツルツルで触感がもちもちというタイプの麺を好むラーメン店の方が多いのですが、その場合は加水率を上げる必要があります。しかし、加水率を上げると麺同士がくっついてしまいやすくなるんですね。このあたりのバランスに工夫を重ねました。味や触感が良かったとしてもすぐにべたべたしてくっついてしまうようでは調理の際に扱いづらいですし、お客様に提供した際に麺がほぐれておらず塊のまま出てしまう恐れも最悪の場合あります」

 

──加水率は使う小麦粉によっても結果が変わってきますよね。
「そうですね。加水率が一緒でも粉が違えば全く違う仕上がりになります。20パーセント台に加水率を下げ、中に粉っぽさを残すと硬さが前面に出ます。ただ、すぐにスープを吸ってしまい麺が伸びてしまうので九州のラーメンのようにさっと食べるタイプのラーメンには向きますが、ゆっくり食べる外国人などが多い場合はそのような麺は向きません。逆に加水率を上げてコシを出し、それを生かすためにちょっと太めの仕上がりにすると札幌ラーメンで使われるような麺ができて伸びにくくなります」

1枚に見えるが実際にはレイヤーを幾層も重ねているという。そうすることでコシがしっかりと出るようになるという

ノーマル配合の麺、およびプロテインやグルテン量を調整してコシを強めた麺の2タイプがデフォルトで作られている

 

──シェフのお店での扱いやすさ、美味しさのバランス、そして食べる客層に合わせたアレンジを追及してこられたわけですね。
「人気店ともなれば忙しい時間帯はそれこそ厨房は戦争状態です。麺を都度、冷蔵庫から出し入れできる状況であれば問題ないですが、目が回るように忙しい時に『ベタベタしちゃうから冷蔵庫に必ずしまってください』とはやはり言えないしお店も回らなくなってしまう。やはり麺は素早く取り出せるよう調理場の横に置いておきたい。そういう状況まで想定して調整を繰り返しました」

 

──なるほど。
「うちの工場は規模自体は大きくないですが、その分細かなこだわりに徹底的に応えられる麺作りをしたいと思っています。アイディアは私たちからも提供しますが、対話を通して結果的にそのお店だけのオリジナル麺を作ることができればと思っています」

 

──「てつじんらーめん」の麺が広く展開されるようになり、シドニーのラーメンのバリエーションがよりいっそう広がると嬉しいです。
「やはり皆さんが同じ麺を使っていては面白くないと思うんです。各店が工夫してそれぞれ違う特徴の麺を使うようになればもっと盛り上がると思っています」

生そばにもチャレンジしたい


でき上がったばかりのラーメンの麺を作業しているスタッフに見せてもらった。これで40玉ほど

──現在はどのくらいの数の麺を作っているのですか。
「現状では、さほど多くのお店に卸しているわけではないので1日1,300~1,400玉です」

 

──実際、どれくらいの種類の麺が作れるのでしょう。
「麺を裁断する歯も5種類取りそろえておりますし、ストレート麺や縮れ麺、太さなどといった麺の形状から、粉の種類や配合など作ろうと思えばどんな種類の麺も無限に作ることができます」

 

──オーストラリアの小麦は原料としていかがですか。
「小麦自体は非常に質が良いです。ただ、製粉技術がさほど発展していないのでキメが少々荒いですね。日本で手に入るようなキメの細かい小麦のほうがいい麺ができるという人もいますが、私としてはすべての粉に特徴があるので、どのように使うかを考えることが大事かなと思います」

 

──日本で売られている小麦もオーストラリアからの輸入が多いようですね。
「そうですね。オーストラリア産の小麦でも日本で製粉されるのでキメが細かいのですが、製麺の際はこちらの粉に比べると柔らかくなりやすいので製法や配合を調整する必要が出てきますね」

太麺、細麺、ストレート麺、縮れ麺など多様なリクエストに応じどのような形状にもカットが可能だそうだ

 

──なるほど。ところで「てつじんらーめん」では餃子も作られていますが、やはりこちらもこだわりをもってやられているそうですね。
「私は宇都宮の出身ですので、宇都宮の餃子を目指してやっています。味の改善を繰り返した結果、最近は大きな注文も受けるようになりました」

 

──やはり製麺所としては餃子は欠かせない。
「ラーメンの麺の営業に行った時に餃子はないの?って聞かれることが多いんですよね。皆さん、ラーメンと餃子はセットで買うようです。だから餃子の卸しも一緒にやらなきゃと思ったのがきっかけですね」

餃子で有名な宇都宮出身のオーナーのこだわりが詰まった餃子。麺と一緒によく注文が入るという

 

──ラーメンと餃子を中心に展開しながらその先にどのようなものを描いていますか。
「やはりいろんなラーメン店でいろんな麺が使われるようになって幅が広がっていくといいなと思います。また、今度は生そばにもチャレンジしたいなと思っています。生そばが手に入るところはシドニーではほとんどありませんからね」

 

──それは楽しみです。今後も期待しています。

てつじんラーメン IRONMAN
■問い合わせ
Tel: 0413-158-285
Email: tetsujinramen@gmail.com

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