オーストラリアで話す日本酒のお話【第2回】米の話 その2

オーストラリアで話す日本酒のお話

第2回米の話 その2

灘の銘酒「剣菱」の山田錦が実る稲田
灘の銘酒「剣菱」の山田錦が実る稲田

今回は日本酒の原料自体、「日本酒を造る米」についてご紹介致します。

ご飯のお米、お酒のお米

酒造りの米と、炊いてご飯にする米とは、基本的に種類が違います。これは、良い日本酒を造るために、ご飯米とはまた違った特徴が必要だからです。日本酒造り用の米を「酒造好適米」「酒米」と言い、粒が大きく、粒の中心の白い部分(心白)が大きめでしっかりしていることが重要です。

品質的には、精米する際に割れにくい、造りの過程で吸水率が良く溶けやすい、雑味につながるたんぱく質が少ない、などの条件が挙げられます。その酒米に求められる多くの資質を満たし、二大酒造好適米として人気があるのが「山田錦」と「五百万石」です。特徴は、以下の通りです。

山田錦

元々は兵庫県で誕生し、現在では関西、中国、九州など各地で栽培されています。酒造米として優秀な性質を備え、特に心白の大きさ、たんぱく質分が少ないことなどから吟醸、大吟醸酒造りに最適とされます。お酒の品評会でも非常に多く登場する、酒米の大御所です。

五百万石

新潟県の気候風土に合う酒造米として誕生、今では北陸を中心に東海、東北、関東でも栽培されています。端麗ですっきりとした味わいの日本酒造りに向き、切れが良くエレガントな吟醸好きに好まれる酒米です。

もう1つ有名な酒米で「美山錦」がありますが、それを合わせると、日本の酒米生産量のほぼ70%を占めています。

米の違いは味で分かる?

ワイン好きなら「これはシラーズ?」など、ラベルを見なくとも香りと味覚で品種を言い当てるのはそう難しくはないでしょう。しかし、日本酒の場合、利き酒経験を積んだプロならともかく、注がれたお酒だけで米の種類を予測するのは至難の業。ですから米だけでなく、産地や気候風土、精米歩合、味と香り、料理とのマッチングも含めて、総合的なお酒のイメージを頭の中で作る方が、より自分なりの日本酒の世界が広がっていく気がします。

酒米出羽燦々を使用した「出羽桜」と牡蠣をマッチング
酒米出羽燦々を使用した「出羽桜」と牡蠣をマッチング

三大品種以外にも、地方ならではの個性が感じられる酒米のお酒も人気です。山形県には県が独自に開発した酒造好適米の出羽燦々(でわさんさん)があります。この米を使い、山形で生まれた酵母と地元の清涼な水で醸した純米吟醸酒「出羽桜」はほのかな青りんごのような香り、淡麗な飲み口と優しい酸味が特徴です。和食はもちろんですが、生牡蠣やパスタ、肉料理にもよく合います。「地元の清涼な水」と申しましたが、水質は酒の風味に大きな影響を与えます。次回は、仕込みの水についてお話しします。


雄町稲穂
在シドニー歴20年。日本での仏・独・豪ワインの輸入販売を経て、シドニーのブティック・ワイン専門会社に入社、日本やアジア諸国へ豪州プレミアム・ワインを輸出。現在は豪州食材を世界に広める企業に勤務。日本酒は勉強不足を痛感し、2017年にTAFEのWSET(Wine & Spirit Education Trust)SAKEコースを受講。レベル3を「優」で卒業したものの、テイスティングは「良」に留まったため、スキル・アップのため実技に励んでいる

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