第5回 BÉCASSE オーナー・シェフ ジャスティン・ノースさん

食の仕事人に聞く 私が考える究極の料理
食の仕事人に聞く 私が考える究極の料理

第5回

BÉCASSE オーナー・シェフ
ジャスティン・ノースさん




素材をスターに
   仕立て上げたい



洗練されたモダン・ヨーロッパ料理を提供し、今シドニーで一番活躍しているセレブ・シェフとい えば、ジャスティン・ノースさん。30代半ばという若さでありながら、世界各地で経験を積み、独 自の哲学に基づいて数々のレストランやカフェをオープンしている。れた。 

同じゴールを目指して

食の仕事人に聞く 私が考える究極の料理
モダン・フランス料理の初心者にもお薦めのレシピ本「FrenchLessons」

ジャスティンさんは、早くからシェフとしての キャリアを着実に積み重ねている。ニュージーラ ンドとシドニーで有名シェフの下で働き、フラン ス料理に関心を持つ。ヨーロッパ有数のシェフ、 レイモンド・ブラン氏の「Le Manoir Aux Quat’ Saisons」に職を得て英国オックスフォードへ。 実力を認められ、22歳の時にはブラン氏のセカ ンド・スー・シェフ*に最年少で抜擢された。
その後、パリの有名レストランなどを経てシ ドニーへ戻り、公私ともにパートナーとなる ジョージアさんに出会った。人生をともに歩 もうと決めた2人の新たな夢は、2001年にシ ドニーのサリー・ヒルズで実現。「Bécasse」の オープンとなった。
「Bécasse」はすぐに話題の店となり、数々の賞 に輝く。2003年からは毎年、シドニー・モーニ ング・ヘラルド紙の「グッド・フード・ガイド」誌 で2ハットを獲得。2005年に市内中心部へ移転 し、2007年には同誌のレストラン・オブ・ザ・イ ヤーも受賞した。ジャスティンさんは、2009年 には「グッド・フード・ガイド」誌で、2010年に は男性ファッション誌「GQ」でシェフ・オブ・ザ・ イヤーに選ばれている。
これらの栄光の軌跡を、自身は謙虚に振り返 る。「私自身は光栄にも、オーストラリアで活 躍する才能豊かなシェフの方々と並んで評価し ていただいていますが、「Bécasse」はチームの 努力の結晶です」
ジャスティンさんがシェフの仕事に集中する一 方、ジョージア夫人はフロアやマネジメントを担 当。「私たちは同じゴールを目指しながら、私は 料理、ジョージアは顧客に接するというそれぞれ の仕事を、心から楽しんでいるのです」

食の仕事人に聞く 私が考える究極の料理
フレッシュ・サマー・ベリーを贅沢に使っ た、レモン・クリームとヨーグルト・ソル ベ、ベリー・コンソメの花畑のようなラビ オリ
食の仕事人に聞く 私が考える究極の料理
アスパラガスが彩りを添える、仔牛とホタテの赤ワイン・ソテー
食の仕事人に聞く 私が考える究極の料理
ピーナッツやミルクコーヒー・ソルベとの 組み合わせが絶妙なバナナ・クリーム・ブ リュレ

Bécasseの先に広がる夢
ジャスティンさんは自らの料理のスタイルを 「伝統的な調理法を大切にしたモダン・ヨーロッ パ料理」と位置づける。一方で、自身はスタイ ルに捉われず多様な料理に接している。日本料 理もその1つで、2010年には東京で食の祭典 「シルク・キュリネール」を満喫したそう。近所 のシンガポール料理店や市内のバーなどもよく 訪れては研究を重ねている。また、朝5時半にシ ドニーのフレミントン・マーケットへ出かけて食 材を吟味し、どのような料理を創り出せるか考えをめぐらせるのも最高の楽しみだ。新しいメ ニューを生み出す時に最も大切にしているのは 「素材をスターに仕立て上げること」だそう。 「最高の素材を選び、その美しさと新鮮さを保 ちつつ風味を最大限に生かすことが、本当に楽 しいのです」

食の仕事人に聞く 私が考える究極の料理
ジャスティンさんの最初の著書「Becasse- inspirations and flavours」

ジャスティンさんには、忘れられない究極の料理がある。「Le Manoir Aux Quat’Saisonsで働 いていた時に友人と作った、フランスの伝統料 理――ヤマシギのローストです。この鳥は売買 が禁じられているので、限られた時期に狩猟し ない限りほぼ入手不可能。鳥のフランス名は“ラ・ バカッセ(La Bécasse)”。私のレストランの名 前の由来です」
彼のメニューの中には常に、日本人来店客に お薦めの料理もある。この日のメニューから は、コーヒーとクレイの中で焼いた仔牛肉、 NSW州マックレー・バレーのウサギ肉料理を薦め られた。「デザートには“ゾココ・チョコレート・ カドゥ”も外せませんね」
シドニーのレストラン業界は、変化と競争が 激しい。しかし、ジャスティンさんは変化を ポジティブに捉えている。「才能あふれる若 いシェフが次々に誕生し、能力を発揮してい ます。食を楽しむ人々にとって、よりバラエ ティー豊かで興味深い環境を提供していると思 います。競争は常にありますが、それは私たち にも変化を促してくれます」
ジャスティンさんとジョージアさんの夢も広 がり続けている。2人は2008年、よりリーズ ナブルなモダン・ヨーロッパ料理を提供するレ ストラン「Etch」をインター・コンチネンタル・ ホテル内に開店した。また、「Bécasse」の隣 に「Plan B Cafe」を、市内のアリアンス・フラ ンセーズ内に「Le Grand Cafe」を、ウエスト フィールド・シドニーに「Charlie & Co Burgers」 を、さらに最近ではオペラ・ハウス内のオペラ・ キッチンに「Bécasse Bakery」と「Charlie & Co Burgers」をオープン。2011年4月には、ウエ ストフィールド・シドニーのレベル5、700平方 メートルの床面積に料理学校と食品・高級ワイ ン・ベイカリー売場を併設したレストランも開 店予定。さらに「Bécasse」は高級レストランと なってここに移転する。彼らの作品に出会える 機会が、より身近になりそうだ。


食の仕事人に聞く 私が考える究極の料理
シドニー市内クラレンス・ストリートにあるBécasse

ベカッセ Bécasse
204 Clarence St., Sydney NSW
Web: www.becasse.com.au
Tel: (02)9283-3440
ランチ 月~金12pm~2:30pm
ディナー 月~土6pm~10:30pm

Justin North
プロフィル
◎ニュージーランド出身。15歳で親元を離れ、料理の世界を目指す。NZで数々の新人賞に輝いた後、シドニー の有名シェフの下で働く。フランス料理に興味を持ち、ヨー ロッパの数々の有名レストランで経験を積む中で、その能力 を高く評価される。シドニーに戻り、2001年にジョージア夫 人とともに「Bécasse」をオープン。食の倫理について高い関 心を持ち、フォーラムなどのゲスト・スピーカーや新聞・雑誌の コラムニストとして活躍するほか、テレビ番組やラジオ番組 でも食のあり方や料理について語っている。著書に「Bécasse: Inspirations and Flavours」「French Lessons」がある。

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