幸せワイン・ガイド「シラーズ」

今月の品種:シラーズ

ワインは品種で覚えると簡単

ワインを気軽に覚えるには、まず基本的なブドウ品種と、それぞれの特徴をざっくりと覚えることをお勧めします。

日本でワインの仕事を始めた駆け出しのころ、大阪で小さなワイン・バーを経営するオーナーさんとお友達になりました。その方は創業当時から、バーを訪れるワインの初心者のお客様1人ひとりに、とても分かりやすくワインについて教えていらっしゃいます。今でも忘れられないのが、この方と最初に出会った日のこと。こんなことをおっしゃっていました。

「ワインは産地じゃなくて品種で覚えると簡単。焼酎でも、東北、九州とか言われても味の違いなんかピンとこんけど、麦か芋かって言われたら、だいたいの味がすぐ想像できるやろ?」

こんな風にワインを教えてくださる方は、当時私の周りにはほかになく、まさにその通りだと思いました。ワインをまずボルドー、それからブルゴーニュ…と産地から覚えようとして、難しいと感じたことはありませんか?でも産地のことはいったん置いておいて、品種の名前と味の特徴を1つ2つだけでも覚えてしまえば、ワインは一気に簡単になります。

例えその産地のワインを一度も飲んだことがなくても、品種さえ分かれば「おっ、これはソーヴィニョン・ブランか、柑橘っぽいさわやかな白ワインなんだろうな」「ピノ・ノワールか、軽くてフルーティーな赤ワインなのかな」というように、品種からワインの味をあらかた予想して選べるようになり、ワインはますます楽しくなるのです。さらに興味があれば、産地による違いなどは、後から自然と覚えられるようになります。

オーストラリアのワインの多くには、品種がラベルに明記されています。ワイン・ショップでも品種別に並べられていることが多いですね。なのでオーストラリアにお住まいの皆さんには、品種から覚えるのがことさらお勧めなのです。

オーストラリア・ワインの代表選手、シラーズ

オーストラリアに燦々と降り注ぐ太陽のもとで育つシラーズ
オーストラリアに燦々と降り注ぐ太陽のもとで育つシラーズ

それではまず、オーストラリアを代表するブドウ品種「シラーズ(Shiraz)」から覚えてみましょう。

シラーズは、オーストラリア国内で最も多く生産されている品種で、なおかつオーストラリア・ワインの最高峰とされる「ペンフォールド・グランジ」を生み出す品種でもあり、名実ともにオーストラリア・ワインを代表するブドウ品種です。

ほかの品種(カベルネ・ソーヴィニョン、グルナッシュなど)ともよくブレンドされ、このシラーズを使って真っ赤なスパークリング・ワインやロゼ・ワイン、甘いデザート・ワインなども作られており、オーストラリアで本当に愛されている品種なのだなと感じます。

シラーズの特徴は、ベリー、チョコレート、スパイス

シラーズから作られる赤ワインの多くは、漆黒のような深い色をしています。

グラスから立ちのぼる香りは、まずは黒いベリー系のフルーツ。ブラックベリーやブルーベリーのジャム、カシス・リキュールを思い浮かべてみてください。濃厚で甘い、コクのある果物の香りです。それからチョコレートのような甘い香ばしさや、さらには少しツンと鼻を突くような、黒コショウやシナモンのようなスパイスの香りも、シラーズの典型的な特徴の1つです。

口に含むとじんわりと温かく、渋味や酸味よりもまずは「果実」の味が全面に感じられ、赤ワインの渋味が苦手な方にもお薦めです。芳醇で満足感のあるシラーズは、オーストラリアの自然豊かな大地で、降り注ぐ太陽の下で生き生きと育ったブドウそのもの、あるいはこの美しい国で暮らす、温かくおおらかな人々のようでもあります。

料理にも合わせやすく、特に赤身の肉料理、例えばロースト・ビーフやステーキ、ビーフ・シチューやハンバーグとも美味しくいただけます。鹿肉などの、ちょっとクセのあるお肉に合わせても良いでしょう。

バロッサ、ハンター・ヴァレー、ヒースコートなど、産地による違いなども分かるとさらに面白いですが、それはまたいつか、別の機会にお話したいと思います。

オーストラリア・ワインの代表選手シラーズを飲んでみよう

梅:自宅でルームメイトと

Peter Lehmann `Art’n’Soul` Shiraz Cabernet 14ドル
すき焼き、ハンバーグ、ビーフシチューなど家庭料理のお肉に
Web: peterlehmannwines.com

竹:週末BYOデートに

Spinifex Miette Shiraz Barossa Valley 22.50ドル
牛のたたき、ロースト・ビーフなど
Web: www.spinifexwines.com.au

松:お世話になった方へ

Torbreck The Gask Shiraz Eden Valley 2012 75ドル
アイ・フィレステーキなどの豪華なお肉料理と
Web: www.torbreck.com


<著者プロフィル>

フロスト結子
◎日本人としての合格者はまだ少ないワインの国際資格WSET® Diploma in Wine & Spiritsを取得。日本でワイン関連商社の貿易業務に携わった後、2009年オーストラリア人の夫との結婚を機にシドニーへ移住。現在はオーストラリア国内大手オークション会社であるGraysOnlineのワイン部門でアカウント・マネージャーとして勤務する傍ら、フリーランスとしてライティング、ワイン関連の翻訳、市場調査などで精力的に活動中。ワインのコメントは「とにかく美味しそうに書く」がモットー。

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