幸せワインガイド:スパークリング・ワイン

今月のテーマ:スパークリング・ワイン

日豪プレス読者の皆様、新年明けましておめでとうございます。今年もたくさんの美味しいオーストラリア・ワインをご紹介させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

オーストラリアの“シャンパン”??


さて、パーティー続きのこの時期。お酒の席で「シャンパンはいかが?」と勧められたワインが、実は「シャンパン」ではない、ということがよくあります。オーストラリアでは、「シャンパン」という言葉がスパークリング・ワインの代名詞として誤用されることがまだまだ多いように感じます。また、「シャンパンと他のスパークリング・ワインが違うのはなんとなく知っているけど、何が違うのかはよく分からない」、という方も多いように思いますので、今回簡単にご説明させていただきます。

「シャンパン(Champagne)」とは、スパークリング・ワインの一種であり、フランスのシャンパーニュ地方において、伝統製法に従って作られたスパークリング・ワインのことです。一言で言えば、「シャンパン地方の地酒」です。ですので、当然のことながら、「オーストラリアのシャンパン」というものは存在しません。シャンパーニュ地方では、生産に使用するブドウの品種、栽培、醸造方法等が厳しく定められており、「Champagne」とラベルに表記が許されるのは、これらの条件に当てはまるもののみ。これは、お酒を嗜む大人には、ぜひとも知っておいていただきたい知識。シュワシュワと泡が立つワインだからといって、何でもかんでもシャンパン、と呼んではいけないのです。

「シャンパン」は商標、ブランド名

そもそも「シャンパン」という名称自体が1つの商標、つまりブランドとしての扱いになっていて、フランスのほかの地方、例えばボルドーやブルゴーニュ以上にその名称の使用に関して規制が厳しいことでも有名です。例えば、ワインとは直接関係のない商品の色や味の名称などに「シャンパン」という名前が入ると、それに対して規制が入ることがあります。実際数年前、iPhoneの新機種の色の名称「シャンパン・ゴールド」に、シャンパン委員会から「待った」が入った、という例もあります。

これは「シャンパン」という言葉を、「ルイ・ヴィトン」のようなブランド名だと考えるとイメージしやすいでしょうか。スパークリング・ワインを無差別に「シャンパン」と呼ぶのは、さしずめノー・ブランドのハンドバッグを「ルイ・ヴィトン」と呼ぶようなものなのかもしれません。

オーストラリアのスパークリング

オーストラリアでも、場所を変えてシャンパーニュ地方と同じブドウ品種、製法によるスパークリング・ワインが多く生産されています。お値段は、一部の例外を除きシャンパンよりもずっとお手頃。「Traditional Method(伝統製法)」という表記があり、シャンパーニュ地方でも主力の品種であるピノ・ノワール、シャルドネから作られるものが主流です。ですので必然的にこれらの品種が光るタスマニア、ビクトリア、南オーストラリアのアデレード・ヒルズなど、冷涼な地域が銘醸地として有名です。

上質なものほど繊細な泡が立ち上ります
上質なものほど繊細な泡が立ち上ります

伝統製法で作られたスパークリング・ワインには、パンの生地やブリオッシュ、ヘーゼルナッツなど香ばしい香り、フジリンゴの蜜やピンク・グレープフルーツのような、濃密かつ酸味のある果実の香りがします。上質なものほど泡が繊細で、細く長く立ち上ります。牡蠣や美味しいチーズなど、いつもよりちょっと豪華なおつまみと合わせていただきましょう。

一方で、「タンク方式」という別の生産方法で作られるスタイルもあり、モスカートやプロセッコなどがこれに当たります。「Traditional Method」と明記のない安価なスパークリング・ワインも、たいていこの製法と思って良いでしょう。こちらは前者よりも、爽やかでフレッシュなフルーツやお花のような香りと味が特徴で、泡も粗めで勢いよく立ち上ります。こちらはよりカジュアルに楽しめるスタイルで、甘酸っぱいフルーツ・タルトなどと一緒に。

それでは2016年も、読者の皆さまがたくさんの素晴らしいワインと出合えますように!

今回は伝統製法で作られたスパークリング・ワインをご紹介

梅:休日のランチに

Yarraburn ‘Premium Cuvee’ Brut NV Yarra Valley/16.67ドル
BBQ、フルーツ・サラダ、ピザなどと
Web: www.yarraburn.com.au

竹:屋外シネマやBYOデートに

Jansz ‘Premium Cuvee’ NV Tasmania/22.95ドル
チーズ、タパス、スモーク・サーモンなどと
Web: www.jansz.com.au

松:贈り物、記念日など特別な日に

House of Arras Grand Vintage Tasmania 2005/70ドル
生牡蠣、シーフード・プラッター、炙りサーモン寿司などと
Web: houseofarras.com.au


<著者プロフィル>
フロスト結子
◎日本人としての合格者はまだ少ないワインの国際資格WSET® Diploma in Wine & Spiritsを取得。日本でワイン関連商社の貿易業務に携わった後、2009年オーストラリア人の夫との結婚を機にシドニーへ移住。現在はオーストラリア国内大手オークション会社であるGraysOnlineのワイン部門でアカウント・マネージャーとして勤務する傍ら、フリーランスとしてライティング、ワイン関連の翻訳、市場調査などで精力的に活動中。ワインのコメントは「とにかく美味しそうに書く」がモットー。

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