幸せワイン・ガイド@オーストラリア「ハンター・ヴァレー」

ワインの産地、ブドウ品種名などの表記は、オーストラリア連邦政府のワイン振興団体であるワインオーストラリアの基準に合わせています。

今月の銘醸地:ハンター・ヴァレー

シドニーから最も身近なワイン産地といえば、やはり「ハンター・ヴァレー」ですね。アクセスがしやすく、レストランやゴルフ場、ツアーや各種イベントなど、施設も整っているハンター・ヴァレーには、観光地のイメージを持たれている方も多いかと思います。ですが、実はハンター・ヴァレーはオーストラリアで最も歴史の古いワイン産地なのです。

豪州ワインの歴史が紡がれた場所

豪州最古の歴史を持つワイン産地であるハンター・ヴァレー
豪州最古の歴史を持つワイン産地であるハンター・ヴァレー

1831年「オーストラリア・ワインの父」と敬愛されるブドウ栽培家ジェームズ・バズビーが、ヨーロッパを旅し500本以上のブドウの苗木をオーストラリアに持ち帰り、ハンター・ヴァレーに最初のブドウの苗を植えました。その後ウィンダム・エステート(Wyndham Estate)のジョージ・ウィンダム、オードリー・ウィルキンソン(Audrey Wilkinson)、マウント・プレザント(Mount Pleasant)のモーリス・オーシェア、ティレルズ・ワイン(Tyrrell’s)のマレー・ティレル、レイクス・フォリー(Lake’s Folly)のマックス・レイクなど、オーストラリア・ワイン産業の発展に大きく貢献し、伝説となった生産者たちが、この土地でオーストラリア・ワイン産業の基礎を築き上げました。彼らが設立したワイナリーは今も、この地ですばらしいワインを作り続けています。現在ハンター・ヴァレーには150以上のワイナリーがあり、新しいスタイルや技術も取り入れる、若い生産者たちも台頭してきています。

気候条件と品種

ハンター・ヴァレーの気候の特徴としては、夏は暑く湿度も高いことが挙げられ、一見ワイン用のブドウ作りには不向きな気候に思われます。しかし、午後に空を覆う分厚い雲と海から吹く穏やかな風、そしてブドウの成長期に降る雨が、この暑さを和らげてくれます。

また、生産される代表的な品種は、白はシャルドネ、セミヨン、ヴェルデーリョ、赤はシラーズ、カベルネ・ソーヴィニョンなどです。

「オーストラリアから世界への贈り物」

中でもセミヨンは、ハンター・ヴァレーにとって非常に重要な品種です。世界的に有名なワイン評論家であるジャンシス・ロビンソンが「オーストラリアから世界へのユニークな贈り物」とたたえたことでも知られ、世界でも他に例を見ない独特な白ワインが作られています。


若い時には色が淡く、ライムやレモンのような果実味が爽やかで軽やかな白ワインです。一方で、熟成されると、色は徐々に黄金色へ、香りや味わいは蜂蜜、ナッツといったより深みのあるワインへと、まるでサナギが蝶に生まれ変わるような豊かな変化を見せてくれます。

品質の高いものであれば10年、20年の長期熟成が可能です。収穫時の雨を避け、完熟前に早めに収穫することで、ブドウ本来の酸が保たれ、アルコール度数は低めに仕上がります。この酸が、出来立てのワインには若々しさを、更にはその後長期熟成する骨格を与えてくれます。

オーストラリア初のシャルドネ

オーストラリアで最初にシャルドネを生産したのは、実はハンター・ヴァレーのティレルズです。これは1971年にリリースされた「ティレルズ・ヴァット 47シャルドネ」(99年まではピノ・シャルドネという表記)で、現在も同ブランドのフラッグシップであり、すばらしいシャルドネです。

“Earthy”なシラーズ

ハンター・ヴァレーのシラーズには、シラーズ本来の黒い果実味やスパイスのような特徴に加え、土壌のような、あるいは皮革のような、どこか懐かしい野性的な香りがあるものが多くあります。このような特徴は英語ではよく“Earthy”と表現されます。

次回ハンター・ヴァレーを訪れるときには、ぜひこの場所で紡がれたワインの歴史を、ちょっと思い出してみてください。

次回も引き続き、ハンター・ヴァレーについてご紹介します。

ハンター・ヴァレーの歴史ある生産者のワインを飲もう

梅:平日のおうちディナーに

Audrey Wilkinson Shiraz 2014 Hunter Valley/$22
Web: audreywilkinson.com.au
ステーキ、ラム・チョップ、ビーフ・シチューなどと

竹:BYOデートに

Mount Pleasant Elizabeth Semillon 2009 Cellar Aged/$35
Web: mountpleasantwines.com.au
西京焼き、ポーク・チョップ、鶏肉のグリルなどと

松:特別な日の晩餐に

Tyrrell’s Vat 47 Chardonnay 2012 Hunter Valley/$70
Web: www.tyrrells.com.au
生ガキ、ホタテのカルパッチョ、刺身などと


<著者プロフィル>
フロスト結子
◎日本人としての合格者はまだ少ないワインの国際資格WSET® Diploma in Wine & Spirits及び日本酒のAdvanced Certificateを取得。日本でワイン関連商社の貿易業務に携わった後、2009年オーストラリア人の夫との結婚を機にシドニーへ移住。現在はオーストラリア国内大手オークション会社であるGraysOnlineのワイン部門でカテゴリー・スーパーバイザーとして勤務する傍ら、フリーランスとしてライティング、ワイン関連の翻訳、市場調査などで精力的に活動中。ワインのコメントは「とにかくおいしそうに書く」がモットー。Web: auswines.blog.jp

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