幸せワイン・ガイド@オーストラリア「ハンター・ヴァレー その2」

ワインの産地、ブドウ品種名などの表記は、オーストラリア連邦政府のワイン振興団体であるワインオーストラリアの基準に合わせています。

今月の銘醸地:ハンター・ヴァレー その2

今月も引き続き、ハンター・ヴァレーについてご紹介します。


ハンター・ヴァレーの新鋭ワイナリー

オーストラリア最古のワイン産地でもあるハンター・ヴァレーには、歴史ある正統派のワイナリーが幾つも現存するのと同時に、新たな技術やスタイル、ブドウ品種を積極的に取り入れている新世代の生産者も台頭してきています。前回は歴史あるワイナリーを幾つかご紹介しましたので、今回は比較的新しい、小規模生産者たちをご紹介したいと思います。

◆ハーカム・ワイン(Harkham Wine)

ハーカム・ワインは、2005年からワインを造る小さな家族経営のワイナリーです。ハーカム家は元々イスラエルのワイン産地で先駆者となった生産者で、醸造責任者のリッチー・ハーカムの祖母は、電気の通らない、水道も限られた環境の中で自ら農作物を育て、家族のために食事やワインを造っていたそうです。彼女の名前を冠したワイン「アジーザズ(Aziza’s)」は、亜硫酸(保存料)無添加で作られています。アジーザズ・セミヨンは、樽で発酵、無濾過(むろか)で作られ、ハンター・ヴァレーの典型的なクリーンなセミヨンとは対照的なスタイルです。オレンジがかった色、ルビー・グレープフルーツの皮や果肉のようなテクスチャーが特徴で、繊細な日本食ともよく合いそうです。

◆アッシャー・ティンクラー(Usher Tinkler)

こちらは、築100年以上の古い教会を改築したスタイリッシュなセラー・ドアです。明るい日が差し込み、壁には現代アートが並び、テイスティングには小洒落たタンブラー型のグラスを取り入れています。

ハンター・ヴァレーでは珍しいプロセッコと、白黒のスケッチで動物をモチーフにした“Chicken(白ワイン)”、“Pig(ロゼ・ワイン)”、“Cow(赤ワイン)”は、それぞれのワインと食べ物のマッチングを兼ね、分かりやすくかつエッジの効いたデザインです。ヴェルデリョで作った酒精強化ワイン“Mr T’s Rare Batch Fortified”は、コーヒーやマスカットやカカオなど、薫り高い贅沢な食後酒で、ウィスキーのようなスタイルのボトルも印象的です。

◆スモール・フォレスト(Small Forest)

アッパー・ハンターに足を伸ばすと、ラドクリフ敦子さんのワイナリー、スモール・フォレスト(Small Forest)があります。地元アーティストたちのためのギャラリーも兼ねていて、敦子さんのワインとハンター・ヴァレーのコミュニティーへの愛がそのまま体現されたかのような温かな空間です。ワインは4種類、ヴェルデリョ、シャルドネ、ロゼ、シラーズ。食べ物と同じように「テクスチャー」を大事にした、ブドウ本来の特徴がもたらす味わいと特徴を楽しめるワインです。私のお薦めは、アッパー・ハンターのロゼです。色が濃く力強くて極辛口、しっかりとしたお肉料理ともおいしく頂けます。

ハンター・ヴァレーの楽しみ方

ハンター・ヴァレーは新世代の生産者の台頭も著しい
ハンター・ヴァレーは新世代の生産者の台頭も著しい

週末は多くの人びとでにぎわう観光地でもあるハンター・ヴァレー。その人気の背景には、大都市シドニーからのアクセスの良さと、ワイン以外にも楽しめる要素が多いことが考えられます。チョコレートやチーズ、オリーブ・オイルなどの地元グルメ、有名シェフによる本格的なレストランやパティスリーがあり、ゴルフや乗馬などのスポーツが楽しめたり、お祭りやコンサートのイベントなどが充実していたりもします。もちろん宿泊施設も充実し、大人だけの贅沢な週末や、あるいは泊りがけのカンファレンスに使われることもよくあるようです。

セラー・ドアは誰でも気軽に入れる所がほとんどですが、人数が多いと予約が必要な場合もありますのでご注意ください。土日が休み、逆に土日しか開いていないセラー・ドアもあるので、事前に確認しましょう。

無料試飲を提供しているところがほとんどですが、それはあくまでワイナリーのご厚意ですので、節度を守り、飲みすぎないように注意しましょう。ちなみに試飲したからと言って、好きではないワインを無理して買う必要はありません。最後にお礼をしっかりと言えば大丈夫です。

さて、次回はもう1つの歴史的産地、バロッサを訪れてみましょう。

お薦め小規模生産者のワイン

梅:いつもよりちょっと贅沢な夕食のお供に

Small Forest Upper Hunter Rose 2015/$22
Web: smallforest.com.au
ロースト・ビーフ、たたき、赤身の刺身、すしなどと

竹:ワイン会への持ち寄りに

Harkham Aziza’s Semillon 2016/$35
Web: harkhamwine.com.au
魚のあんかけ、ホタテやエビのグリル、コンソメ・スープなどと

松:大切な方への贈り物に

Mr T’s Rare Batch Fortified NV/$45
Web: ushertinklerwines.com
ダーク・チョコレート、イチジク、ブルー・チーズなどと


<著者プロフィル>
フロスト結子
◎日本人としての合格者はまだ少ないワインの国際資格WSET® Diploma in Wine & Spirits及び日本酒のAdvanced Certificateを取得。日本でワイン関連商社の貿易業務に携わった後、2009年オーストラリア人の夫との結婚を機にシドニーへ移住。現在はオーストラリア国内大手オークション会社であるGraysOnlineのワイン部門でカテゴリー・スーパーバイザーとして勤務する傍ら、フリーランスとしてライティング、ワイン関連の翻訳、市場調査などで精力的に活動中。ワインのコメントは「とにかくおいしそうに書く」がモットー。Web: auswines.blog.jp

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