幸せワイン・ガイド@オーストラリア「モーニングトン・ペニンシュラ」

ワインの産地、ブドウ品種名などの表記は、オーストラリア連邦政府のワイン振興団体であるワインオーストラリアの基準に合わせています。

今月の銘醸地:モーニングトン・ペニンシュラ


今、オーストラリアのピノ・ノワールに世界から注目が集まっています。気まぐれで繊細であり、非常に手の掛かるブドウでありながら、すばらしいワインを生み出すことで知られるピノ・ノワールのファンは、ワイン愛好家に特に多いようです。ピノ・ノワールは冷涼な気候を好む品種で、オーストラリアの銘醸地もまた、冷涼な気候の産地に集中しています。その1つが、今月ご紹介したいモーニングトン・ペニンシュラです。

愛しのモーニングトン・ペニンシュラ

モーニングトン・ペニンシュラは、メルボルンから車で南に1時間弱の距離にあり、以前ご紹介したヤラ・ヴァレーよりも実はずっと近距離にあります。高速道路で行くこともできますが、時間に余裕がある時は下道で海岸線に沿ってのドライブがお薦めです。

モーニングトン・ペニンシュラには、ブドウ畑のすぐ向こうに大海原が広がるという、他ではあまり見ることのできない美しい風景が広がっています。ワイン産地としても有名ですが、メルボルンの富裕層に人気の休暇の地でもあります。かと言ってその敷居は決して高くありません。レストランやワイナリーのスタッフを始め、地元の人びとは良くオーストラリア人の言う、とても“laid-back”(リラックスした、気さくな)な雰囲気が漂います。まるでここだけ時間がゆったりと流れているようです。

ワイン産地としてだけでなく、休暇やレジャーにも足を運んでみたいモーニングトン・ペニンシュラ
ワイン産地としてだけでなく、休暇やレジャーにも足を運んでみたいモーニングトン・ペニンシュラ

ワイナリーはもちろんのこと、ピッツェリアやベーカリー、ワイン・リストの充実したレストラン、本格的なコーヒーの楽しめるカフェが多くあり、有機野菜の農場や牧場、リンゴやチェリーなどの果樹園が点在し、新鮮な卵や蜂蜜の路上販売があちこちで見られ、ここが美食の地であることがすぐにうかがい知れます。更にビーチにはサーファーたちが集い、本格的なゴルフ・コースがあり、マウンテン・バイクや乗馬などのアクティビティーも人気です。週末のお出掛けや長期の滞在には大変お薦めしたい場所です。

夏も涼しい冷涼海洋性気候

モーニングトン・ペニンシュラは、西のポート・フィリップ・ベイ、東のウェスタン・ポート、そして南のバス海峡と三方を海に囲まれている三日月型の半島で、その気候は冷涼な海洋性気候です。ブドウの生育期間を通し、海からの澄み切った冷たい風の恩恵を受け、ブドウがゆっくりと熟すことができます。

主力品種はピノ・ノワールとシャルドネ

ここではピノ・ノワールとシャルドネが圧倒的なヒーロー、つまり地元の主力品種として知られています。ピノ・ノワールが全体の約半分を占め、シャルドネはおよそ25%、そして最近人気の出てきたピノ・グリ(グリージョ)、更にシラーズ、ガメイなども生産されています。

モーニングトン・ペニンシュラのピノ・ノワールを飲んでいつも思い浮かぶのは、「フィネス」という言葉です。フィネスとは小難しいワイン用語の1つで、「洗練され、上質さが際立つ」といった意味をひと言で表したものです。色は濃厚なものが多く、ぎゅっと実のつまったラズベリーやクランベリー、プラムのような香り、ラベンダーやスミレのような可憐な土っぽい花の香り、細やかでありながら精密でしっかりとした骨格を持つピノ・ノワールを作ります。

シャルドネもまた秀逸です。冷涼気候らしく重くなりすぎないエレガントでクリーンな、優しく体に染み込んでいくようなシャルドネが多い印象です。

お薦めのワイナリー

モーニングトン・ペニンシュラでのブドウ作りは19世紀後半から始まりましたが、本格的なワイン造りの歴史は比較的浅く1970年代ごろから始まりました。現在では小規模のものを中心に200ほどのワイナリーがあり、そのうちセラー・ドアを持つのは50程度、その多くが本格的なレストランやアート・ギャラリーを併設しています。

お薦めワイナリーはファイブ・ミニッツ・バイ・トラクター(Five Minutes by Tractor)、ムールドック・エステート(Moorooduc Estate)、モンタルト・ワイナリー(Montalto Vineyard & Olive Grove)、オーシャン・エイト(Ocean Eight)、ポート・フィリップ・エステートとクーヨン(Port Phillip Estate/Kooyong)、パリンガ・エステート(Paringa Estate)、デクスター(Dexter)、ヤビー・レイク(Yabby Lake)、エルドリッジ・エステート(Eldridge Estate)、メイン・リッジ(Main Ridge)などです。

ワイン造りに携わる人たちとの出会いは、ワインそのものとの出合いと同じほど楽しく、セラー・ドアを訪れる度にそれを実感することができます。オーストラリアのワイナリーの魅力の1つは、誰もが気軽に訪れることのできる点ではないかと思っています。モーニングトン・ペニンシュラもそんなワイナリーが多くある産地です。ぜひ一度足を運んでみてください。

*今月のお薦めワイン*
土地の個性を最大限に表現するワインたち

BYOデートに

Dexter Mornington Peninsula Chardonnay 2016/$37
Web: www.dexterwines.com.au
上質なてんぷら、ロブスターなどと

贈答、特別な時の1本

Yabby Lake Single Vineyard Pinot Noir/$60
Web: leeuwinestate.com.au
鴨のコンフィ、北京ダックなどと

週末のご褒美に

Moorooduc Estate Pinot Noir 2015/$38
Web: www.moorooducestate.com.au
赤身の刺身、ブリー・チーズなどと


<著者プロフィル>
フロスト結子
◎日本人としての合格者はまだ少ないワインの国際資格WSET® Diploma in Wine & Spirits及び日本酒のAdvanced Certificateを取得。日本でワイン関連商社の貿易業務に携わった後、2009年オーストラリア人の夫との結婚を機にシドニーへ移住。現在はオーストラリア国内大手オークション会社であるGraysOnlineのワイン部門でカテゴリー・スーパーバイザーとして勤務する傍ら、フリーランスとしてライティング、ワイン関連の翻訳、市場調査などで精力的に活動中。ワインのコメントは「とにかくおいしそうに書く」がモットー。Web: auswines.blog.jp

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