幸せワイン・ガイド@オーストラリア「ワイン・メーカーの“クラフト・ジン”」

幸せワイン・ガイド@オーストラリア

今月のテーマ:ワイン・メーカーの“クラフト・ジン”

今月は少し趣向を変えて、「ワイン」ではないお酒を紹介させてください。今、オーストラリアのみならず、世界各地で流行中の「クラフト・ジン」をご存知ですか?

そもそもジンとは何か?

ジンは、ジュニパー・ベリーというボタニカルをベースにした蒸溜酒です。蒸溜酒とは、スピリッツと呼ばれるアルコール度の高いお酒の種類で、ウイスキー、ブランデー、ラム、焼酎、テキーラ、ウォッカなどがこれに当たります。ちなみにワインは醸造酒と呼ばれる部類のお酒で、日本酒、ビール、シードルなどが当てはまります。ジンはニュートラルなスピリッツに、ジュニパー・ベリーを含むボタニカル(ハーブや果皮、スパイスなど)で香り付けをしたお酒です。マティーニやジン&トニックなど、代表的なカクテルのベースとなることから、バーには欠かせないお酒でもあります。

では、クラフト・ジンとは何でしょうか?先月お話した「自然派ワイン」と同様、「クラフト・ジン」のはっきりとした定義は、今のところ定まっていません。大手ブランドである「タンカレー」「ボンベイ・サファイア」「ビフィーター」などの銘柄に対し、少量生産かつ大手ブランドとは異なる独特のスタイルを持つもの、といったところでしょうか。

ジンの面白いところは、ジュニパー・ベリーが必須、ということ以外は原料の縛りがないため、香り付けのレシピで生産者が個性を出しやすいことです。コリアンダー・シード、アンジェリカ、レモン・ピール、スター・アニスなど、昔からジンに使われる王道となるボタニカルの他に、その土地由来のハーブやスパイス、花などを使うことにより、オリジナリティー溢れるジンを作り出すことができます。日本でも最近、緑茶やゆず、桜の花などの風味を付けたジンが、話題となっています。

また、ジンは原則として「熟成なし」のお酒です。ウイスキーやワインのように長時間熟成する必要がないため、作ってすぐに売り出すことができます。そのため生産者にとっては、非常に収益性の高いお酒でもあるのです。

では、オーストラリアのクラフト・ジンにはどんなものがあるのでしょうか。今回は特に、ワイン・メーカーたちの作るクラフト・ジンをピックアップしてみました。

フォー・ピラーズの人気銘柄の1つ、紫色が目にも鮮やかな「ブラッディ・シラーズ」
フォー・ピラーズの人気銘柄の1つ、紫色が目にも鮮やかな「ブラッディ・シラーズ」

フォー・ピラーズ

ヤラ・ヴァレーのヒールズビルを拠点とするワイン・メーカーが作る「フォー・ピラーズ(Four Pillars)」。ボタニカルには、コリアンダー・シードやラベンダー、タスマニア産のマウンテン・ペッパーベリーやレモン・マートルなどの他、オレンジを果皮だけでなく、果実ごと使用しているのが大きな特徴です。また、カクテル「ネグローニ」のためのジン「スパイスド・ネグローニ」には、ブラッド・オレンジが使用されています。シラーズを使った鮮やかな紫のジン「ブラッディ・シラーズ」でも有名です。

オーストラリア原産のボタニカルが多数使用されるアップルウッド・ディストラリー
オーストラリア原産のボタニカルが多数使用されるアップルウッド・ディストラリー

アップルウッド・ディストラリー

「アップルウッド・ディストラリー(Applewood Distillery)」は、アデレード・ヒルズの新鋭ワイン・メーカー「ウニコ・ゼロ(Unico Zelo)」のカーター夫妻が作るクラフト・ジンです。フィンガー・ライム、デザート・ライム、アニス・マートル、マカダミア、ペパーミントガム(ユーカリ)、ワトルシード、ワイルド・タイムなど、オーストラリア原産のものを多数含む25種類のボタニカルが使用されています。

正統派のジンにメルボルンのツイストが融合したメルボルン・ジン・カンパニー
正統派のジンにメルボルンのツイストが融合したメルボルン・ジン・カンパニー

メルボルン・ジン・カンパニー

ヤラ・ヴァレーのワイナリー「ジェムブルック・ヒル(Gembrook Hill)」のアンドリュー・マークスによるクラフト・ジン「メルボルン・ジン・カンパニー(Melbourne Gin Company)」。ワイナリーの敷地内のローズマリーやグレープフルーツの果皮、マカダミア、ハニー・マートル・レモンなどを11種類のボタニカルを使用。スタイルは正統派のジンに「メルボルンのツイスト」を加えたモダンなスタイルです。

ワイン・メーカーらしい個性が溢れるシュッド・ポラリー
ワイン・メーカーらしい個性が溢れるシュッド・ポラリー

シュッド・ポラリー

タスマニアの自然派ワイナリー「ドメイン・シーマ(Domaine Simha)」が作る「南極」という名前の付いたクラフト・ジン。タスマニアのサフランや、ワイン用ブドウの搾り糟(かす)を加えピノ・ノワールの樽で熟成させたもの、シャルドネのフレンチ・オークで熟成したものなどワイン・メーカーらしい個性が溢れます。少量生産、各ボトルにはシリアル・ナンバーが刻まれています。

オーストラリア原産のボタニカルと天然水から生まれたこの土地ならではのクラフト・ジン、ぜひ次のカクテル・パーティーでお試しください。

*今月のお薦めクラフト・ジン*
ワイン・メーカーが手掛ける“ジン”

Four Pillars Rare Dry Gin 700ml/$75
Web: www.fourpillarsgin.com.au
使用ボタニカル:タスマニア産ペッパー・ベリー・リーフ、オレンジ、ラベンダー、カルダモン、レモン・マートルなど

Applewood Distillery Gin 500ml/$69.99
Web: www.applewooddistillery.com.au
使用ボタニカル:フィンガー・ライム、デザート・ライム、ペパーミントガム・リーフなど25種

The Melbourne Gin Company 700ml/$70
Web: melbournegincompany.com
使用ボタニカル:ローズマリー、レモン・マートル、オレンジの果皮、グレープフルーツの果皮、ネーブルオレンジ、マカダミアなど


フロスト結子
日本人としての合格者はまだ少ないワインの国際資格WSET® Diplomain Wine & Spirits及び日本酒のAdvanced Certificateを取得。日本でワイン関連商社の貿易業務に携わった後、2009年オーストラリア人の夫との結婚を機にシドニーへ移住。現在はオーストラリア国内大手オークション会社であるGraysOnlineのワイン部門でアシスタント・バイヤーとして勤務する傍ら、フリーランスとしてライティング、ワイン関連の翻訳、市場調査などで精力的に活動中。ワインのコメントは「とにかくおいしそうに書く」がモットー。
Web: auswines.blog.jp

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