幸せワイン・ガイド@オーストラリア「今月の生産者:ウニコ・ゼロ」

幸せワイン・ガイド@オーストラリア

今月の生産者:ウニコ・ゼロ

日豪プレス読者の皆様、明けましておめでとうございます。これまではオーストラリア・ワインのさまざまな「ブドウ品種」「産地」にフォーカスしてきましたが、これからしばらくは「生産者」にフォーカスしたストーリーを、幾つかお届けしたいと思います。

ウニコ・ゼロ

南オーストラリア州のアデレード・ヒルズにある小さなワイナリー、ウニコ・ゼロ(Web: www.unicozelo.com.au)。まだ20代の若いカップル、ローラとブレンダン・カーター夫妻が、銀行のローンもなし、開業資金わずか5,000ドルで2人で始めたワイナリー兼蒸溜所です。これまでも本コラムの品種やスピリッツの回で何度か登場しました。

彼らのワインとの出合いは4~5年前。スタイリッシュなラベル、イタリア系品種への取り組み、洗練されたワインでありながら当時は基本的に25ドル程度の価格の物ばかり。ナチュラル・ワインを謳(うた)いつつも、奇抜なところはなく、クリーンでピュアな味わい。魅力的だと思える要素が幾つもありました。何だろう、とにかく格好良いこのワインは――。そんな衝撃を受けたのを覚えています。

彼らのビジネスの根底には「真のオーストラリアらしさを体現すること」という哲学があります。ブレンダンに初めて会った時、最初に教えてくれたのがその哲学でした。「10人のオーストラリア人に、『オーストラリアらしさとは』というテーマで文章を書いてもらったら、きっと10人が10人とも全く異なる内容を書くと思うんだ」と語るブレンダン。多民族社会で、立場も文化的背景も異なる人びとが集まって暮らすこの国の多様性や美しい大自然を、環境に優しい、長期継続できる形で体現することを目指す。その多様性とは、例えばオーストラリアに存在する土壌、ネイティブ植物、カンガルー、アボリジニーの哲学、そして多民族社会の中で生きる人びとです。

若くして長期的な視点を持ち、近辺の農家と共に成長していくことを目指すカーター夫妻。50年先まで見通した彼らの経営哲学には、実は日本の無印良品に共感したところもあるそう。「自然と伝統を大事にしながら発展していく日本がとても好きだ」とも語ってくれました。

土地・土壌への敬意を持ち、遠い未来を見据えワイナリーを経営するカーター夫妻
土地・土壌への敬意を持ち、遠い未来を見据えワイナリーを経営するカーター夫妻

土地と土壌への敬意

ウニコ・ゼロは、自分たちのワインを“ナチュラル”だと定義するワイン・メーカーです。ラベルやウェブサイトに具体的な明記がなかったので、「自然というと、オーガニックということ?」と聞くと、「バイオダイナミックとかオーガニック以前の、もっとシンプルな問題なんだ」という回答が返ってきました。

彼らの言うナチュラルとは、まずは「ワインが来る場所」、つまりそこにある「土壌」「土地」を理解し、その場所に本当に合った農業を営むことでした。人は大地を所有することはなく、その場を自然から借りているだけ。だから人間の都合に合わせて無理やり変えようとするのではなく、その土地に合う作物を見つけることが大事。もし育てたい作物に合わないのであれば、合う他の土地を探す。オーガニック云々(うんぬん)以前に、土地に「無理強いをさせないこと」が、「自然」であることへの、彼らの大前提なのです。

「自然ではないこと」とは、例えば商業的な理由でその土地に本来合わない品種を無理に選択すること、そしてその結果、化学物質の使用や膨大な量の水を要する灌漑(かんがい)など、土地やブドウ、突き詰めては環境そのものに負担を掛けること。そういった要素を極力減らし、そこから上質なワインを造るのがウニコ・ゼロです。

現在、2つのワイン・ブランド「ウニコ・ゼロ」と「ハーヴェスト・グローワーズ・コーポレーション」、そしてクラフト・スピリッツ「アップルウッド・ディスティラリー」を展開しています。ウニコ・ゼロは「自分たちの未来を守る」、ハーヴェスト・グローワーズは「地元の農家の未来を守る」、そしてアップルウッド・ディスティラリーは、後者の延長線上に生まれたブランドです。

イタリア品種で展開するウニコ・ゼロ

シャルドネとピノ・ノワールが主力品種として知られるアデレード・ヒルズにおいて、ブレンダンとローラが主に取り組むのは、「僕らにとってのシャルドネとピノ・ノワール」と語る、フィアーノとネロ・ダヴォラというイタリア品種です。単に思い入れのある品種であることに加え、南イタリア発祥のこれらの品種では、温暖な環境の中でも果実由来の酸とそこから来る骨格を無理なく保つことができるという要素が大きく関連しています。これも、彼らの温暖化の進む未来を見据えた選択の1つなのです。フィアーノは青リンゴのような爽やかさのあるアロマティックな白、ネロ・ダヴォラはシチリアを原産とする黒ブドウで、テクスチャーのある柔らかな赤を造ります。

他にネッビオーロ、バルベラ、ドルチェットなどのイタリア品種に加え、ロゼ、最近新たなワインのカテゴリーとして注目されるオレンジ・ワインも手掛けています。

次回は彼らのもう1つのブランドでありプロジェクト、「ハーヴェスト・グローワーズ・シリーズ」についてお話します。

*今月のお薦めワイン*
ウニコ・ゼロのお薦め銘柄

ソフトでジューシー

Unico Zelo The River Nero d’avola/$22.99
生ハム、サラミ、ピザ、アンティパストなどと

アロマティック&心地良いテクスチャー

Unico Zelo River Sand Fiano/$34.99
サラダ、カルパッチョな

深みのあるフィアーノのオレンジ・ワイン

Unico Zelo Dreamer’s Creed Fiano/$49.99
青魚のグリル、寄せ鍋、ひつまぶしといったウナギ料理などと

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