幸せワイン・ガイド@オーストラリア「今月の生産者:ルーク・ランバート」

幸せワイン・ガイド@オーストラリア

今月の生産者:ルーク・ランバート

昨年10月、取材でビクトリア州のヤラ・ヴァレーに行った際、会いたかったワイン・メーカー、ルーク・ランバートの元を訪れました。

今オーストラリアで最も注目されている若手生産者の1人でありながら、ソーシャル・メディアのアカウントを1つも持っていない、とてもリラックスした雰囲気の青年であるルーク。セラー・ドアはなく、一般公開されていません。もしかして近寄り難い人なのかなと思いつつも、取材を申し込むと二つ返事で了承して頂き、「分かりにくいから」とメールに道順まで添付してくれました。

「林の中の舗装されていない小道を進んで2つ目のブドウ畑の角を……」という不思議な指示に沿ってたどり着いたのは、大音量でロック音楽のかかった古いコテージでした。車から降りると迎えてくれたのはボーダー・コリー。「ルークはいる?」と聞くと、くるりと踵(きびす)を返し、スタスタと歩き出すスマッジ(という名前だと後で聞いた)。その後をついてセラー・ドアへ入っていくと、階下からこっちだよ、という声が聞こえました。時間は約束した通り。降りていくと階下で作業をしていたルークがいました。ルークとの最初の出会いはこんな感じでした。

オーストラリアで注目の若手ワイン・メーカーの1人でありながらリラックスした人柄が特徴のルークと彼の愛犬スマッジ
オーストラリアで注目の若手ワイン・メーカーの1人でありながらリラックスした人柄が特徴のルークと彼の愛犬スマッジ

ルークのワインの魅力は、とにかく「ピュアでクリーン」であることです。ルークは不介入主義を取り、醸造過程で人工的な手を加えることを極力避けるワイン造りを行っています。こういった手法を取るワインの中には、濁っていたり、癖のある香りを持つ物があったりと、万人受けしない物もよくありますが、ルークのワインにはそういったいわゆる「クセ」がありません。無濾過(ろか)、無清澄、亜硫酸も無添加。ワインの知識や経験にかかわらず、誰が飲んでも、素直においしいと思えるワインです。

ルークが造るワインはというと、白はシャルドネとスパークリング、ロゼ、赤はネッビオーロとシラーのみ。ヤラ・ヴァレーで大多数のワイナリーが取り組むピノ・ノワールは一切造らないのだと言います。特にネッビオーロは他の多くのブドウに比べ、成長期間が長い上に病気や霜にも弱い、大変気難しいブドウ品種です。彼はそんな手間の掛かるこのイタリア品種をこよなく愛し、なおかつ「究極のチャレンジだ」と語ります。

ネッビオーロ

現在リリース中の2016年のネッビオーロの生産量は、わずか400ケース。取材の前日に開けたというそのボトルは、フレッシュそのものでした。溌剌(はつらつ)とした赤い果実と花のような香り、洗練された細やかな渋みが心地良い、特別な1本です。

ロゼ

新世代オーストラリアのモダンなロゼのベンチマークとも言っていい辛口で淡い色のロゼ。80%シラーと20%ネッビオーロのブレンド、ジューシーで凝縮したブラッド・オレンジやピンク・グレープフルーツのような果実、テクスチャーのある“ジェネラス”なロゼです。

シャルドネ

2017年のシャルドネを「10点満点中10点」だったと語るルーク。香り高く切れのある酸を持ち、「ピュア」という言葉がピッタリ。石のようなミネラル香、凝縮されかつ優しい柑橘の味わいです。

ルークが10代の時に見て憧れた大型の樽が彼のワイナリーには並ぶ
ルークが10代の時に見て憧れた大型の樽が彼のワイナリーには並ぶ

彼がランチをふるまってくれたワイナリーには、ルークが10代の時に両親と共に訪れたシャトー・タビルク(ビクトリア州にある古い歴史あるワイナリー)で見て憧れたという、大型の樽が並びます。強すぎる樽の香りが好きではないというルーク。これら大型の樽はあくまで「入れ物」の役割を果たすだけ、ワインに味わいや特徴を加えるための物ではありません。軽やかで心地良い、アロマティックな彼のワインのスタイルに、とても良く合うのだそうです。ちなみにワインの樽は、大きさは小さいほど、そして新しいものほどワインの味わいへの影響が強くなります。

ドラム・セットの秘密

自身の趣味でもありワイン造りに大きな役割を果たしているというドラム・セット
自身の趣味でもありワイン造りに大きな役割を果たしているというドラム・セット

ルークのワイナリーには、彼が趣味でたたくドラム・セットが置いてあります。実はこのドラム・セットが、彼のワイン造りに一役買っているのだそうです。不介入主義、無濾過・無清澄という醸造方法で起き得るワインへの濁りが、このドラム・セットを持ち込んだ年から改善したのだとか。どうやらドラムをたたく時の振動が関連しているらしいとのこと。はっきりとした科学的根拠はなく、ワイン・スクールや大学の醸造学で教えてくれるようなことではありませんが、これはルークが実践から独自に導き出した、ワインを清澄させるメソッドなのです。

音楽とワインを愛し、洗練されたワインを造るルークは、とても親しみやすいリラックスした人でした。生産量はごく少なく、あまりどこでも買えるワインではありませんが、個人経営のワイン・ショップやワイン・リストにこだわったレストランで楽しむことができます。機会があればぜひお試しください。

*今月のお薦めワイン*
ルーク・ランバートのお薦めワイン
Web: www.lukelambertwines.com.au

モダンなロゼのベンチマーク

Luke Lambert Crudo Rose/$25
タパス、昼下がりにそのままで

ピュアで洗練されたシャルドネ

Luke Lambert Chardonnay/$35
刺し身など繊細なシーフードと

特別な時の1本

Luke Lambert Nebbiolo 2016/$59.99
洗練された鴨料理などと

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