セレブに見る心の病 ”性同一性障害”

セレブに見る心の病
©Hroyer-Hugo Royer

心理カウンセラーのさえみ先生が
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セレブに見る心の病 ケース・ファイル

 

セレブ・ゴシップなどでは目にするものの、直接自分には関係ないとついつい無関心になりがちな心の病のこと。中身をひも解いてみれば、意外と身近な存在である可能性も。心身ともにより快適な毎日を送るため、その症状や対処法を正しく紹介する。

パンク・ロック・バンド「アゲインスト・ミー」のトム・ゲイブルが、性同一性障害であることをカミングアウト。身体と心の不調和に長年苦しんできたトムは、これから女性として生きていくことを表明しています。

Gender Identity Disorder:性同一性障害

間違った身体に閉じ込められているという思い

性には、生物学上の身体的な性と、心理的に感じる性であるジェンダー・アイデンティティーの2つの側面があります。前者は染色体で決まります。後者は脳の発達の過程で2歳半ぐらいまでに決まると考えられています。性同一性障害は、発達の過程で生じる身体的な性と心理的なジェンダー・アイデンティティーのミスマッチと言えます。精神疾患ではないので、今後はジェンダー・ディスフォリア(性別違和感)という呼び方が一般的になるでしょう。

症状の現れ方の例は、男の子のはずなのに、典型的な男の子の服装や遊びを嫌がり、その傾向は思春期を経て大人になっても継続します。間違った身体に閉じ込められているという思いが常にあり、不安や混乱が生じます。一方で、性に関しては社会的・文化的な根強い固定観念が存在し、そこから逸脱した言動は好奇の視線と差別の対象になりがちです。そのために誰にも打ち明けられずにいたり、打ち明けても理解されずに、不当な非難や中傷に苦しんだりすることが多々あります。

心に身体を合わせることで調和を図る

治療の目的は、身体的な性とジェンダー・アイデンティティーのミスマッチを取り除くことです。最近は、心に身体を合わせることで調和を図るようになってきています。最初のステップは、精神科の医師に相談することから始まります。そして心理面のカウンセリングを経て、身体的な治療が適切かどうかの判断をします。それに関連する法律も国ごとに制定されています。

トムは、女性の身体に近づくためにホルモン治療を行い、性別適合手術も考えているようです。トムが一番嬉しかったのは、妻であるヘザーが理解を示してくれたこと。ヘザーとの間に2歳になる娘もいて、今後も夫婦の絆を維持するつもりなのだそうです。


セレブに見る心の病

 
馬場佐英美(ばばさえみ)
Town Hall Clinic

プロフィル◎国際基督教大学教養学部卒。Australian College of Applied Psychologyで心理カウンセラーの資格を取得。NSW州カウンセラー&サイコセラピスト協会臨床会(CAPANSW)、オーストラリア・サイコセラピー&カウンセリング連盟会員(PACFA)。シドニー市内でさまざまな心の悩みの相談に応じている。

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