ウィルスやバクテリアから感染する髄膜炎(脳膜炎)の予防接種

Q 髄膜炎には何種類かの予防接種があるのですか。うちの子どもはC型髄膜炎の予防接種を受けていますが、最近違う種類の予防接種が出ているのでしょうか。
(32歳主婦=女性)

 

A 髄膜炎(脳膜炎)とは脳を包んでいる膜に炎症を起こす病気です。ウィルスやバクテリアの感染から起こります。重症になりやすいのはバクテリアによる感染からで、特に髄膜炎菌(Meningococcus、Neisseria meningitidesともいう)というバクテリアです。このバクテリアには13の菌種があります。オーストラリア国内でこの病気を起こすのはほとんどがB型(50パーセント以上)とC型です。最近まではC型に対する予防接種しかありませんでしたが2014年以降、B型の菌に対する予防接種も販売されています。

Meningococcusの発生率

オーストラリアで起こる髄膜炎菌による髄膜炎の症例は、年間200~250件程度です。子どもや若い人に起こりがちですが、この年齢層に限られているわけではありません。健康な人でも20パーセント程度がこの菌の保菌者といわれます。鼻や喉に菌は常駐していて通常は何も問題を起しませんが、何らかの原因で体の抵抗力が落ちた時には発病してしまいます。伝染性はあまり強くなく、人と人との近い接近でうつります。例えばキス、食器や歯ブラシの共有、近い距離での空気感染(くしゃみや咳)などです。

Meningococcus感染の症状

潜伏期間は2~10日。症状の進展は比較的早く、数時間から1~2日の間で現れてきます。乳幼児の場合あまりはっきりとした症状がなく、サインは高熱、食欲減退、嘔吐、無力感、嗜眠状態などです。子どもや大人の場合高熱、嘔吐、ひどい頭痛、節々の痛み、光に対する不耐性、嗜眠状態、錯乱状態、ひきつけなどがあります。どちらの年齢層でも典型的な発疹が起こることがあります。この発疹が現れると、菌が血液に入り、敗血症が起こっていることを意味します。また、この状態のときは四肢への血行が悪くなり、手足の壊死が起こることもあります。

Meningococcusの治療

感染が強く疑われる場合は至急、救急病院で治療を受けなければなりません。診断を確認するためには腰椎穿刺をして髄液の検査をするか血液の培養検査が必要です。検査結果を待たずに、早めに抗生物質も投与しなければなりません。発病者とコンタクトがあった人は発病していなくても予防のための抗生物質が投与されます。また、学校などの集団の場で発病者が出た場合、全校生に予防接種(Meningococcus C)が提供されます。

Meningococcusの予防接種

従来はC型にたいしての予防接種がありましたが、B型はカバーされていませんでした。14年からB型髄膜炎に対する予防接種が販売されています。ただしオーストラリア政府が推奨する子どもの予防接種スケジュールに含まれるまでには時間がかかりそうです。そのため、現在希望者は自費で予防接種を購入しなければなりません。「Bexsero」という商品名で販売されています。料金は注射液1本が約150ドルで、医師の処方箋が必要です。

Bexsero の接種スケジュール
 年齢層 初期接種回数 接種間隔 ブースター
 生後2~5カ月 3回接種 1カ月  12~23カ月後に1回
 生後6~11カ月 2回接種 2カ月  12~23カ月後に1回
 12カ月~10歳 2回接種 2カ月  ブースターの必要性不明
 11歳以上 2回接種 1カ月  ブースターの必要性不明

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鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・ファミリー・クリニック

 

メルボルン大学医学部卒。日本人在住者の多いシドニー北部ノースブリッジで一般開業医を始めて29年。穏やかな語り口が印象的な優しい先生として知られる

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