リウマチ性多発性筋痛(Polymyalgia Rheumatic)とは?

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Q リウマチ性多発性筋痛(Polymyalgia Rheumatic)と先日診断されました。これはどのような病気なのでしょうか。
(54歳主婦=女性)

A 主に50歳以上の男女(比率は男1対女2)に起こりがちな慢性炎症性疾患です。体の両側の下肢帯と上肢帯の部分に急に起こる痛みと早朝のこわばり感が特徴です。血液検査で炎症マーカーが上昇していることも診断に役立ちますが、リウマチ性関節炎(rheumatoid arthritis)との区別が難しいこともあります。

病因はまだ分かっていませんが、遺伝的な要素と何らかの環境変化の影響が絡み合って起こるものだと思われています。軽度の滑膜炎(滑膜、特に関節の滑膜の炎症。一般的かつ厳密に言わない場合は関節炎と同じ)の他に、関節周辺の筋肉や滑液包(滑膜で包まれた盲嚢で、中に滑液が溜まっている。例えば、骨の露出部または突出部、腱が骨の上を通る部分など摩擦されやすい部位に生じる)にも炎症が起こります。

症状

両側の上肢帯(肩の周辺)に痛みが一番よく見られる症状です(70〜95パーセント)。早朝のこわばり感が45分以上続くことも典型的な症状です。首や下肢帯に痛みが起こることもあります(50〜70パーセント)が、肩周辺の痛みほど頻繁ではありません。微熱、倦怠感を伴うこともあります。肩や股関節を動かすと痛みが増しますが、関節炎の時のように関節が腫れたりすることはありません。また、筋肉痛はあっても、筋力の低下はありません。

リウマチ性多発性筋痛で末梢部の関節(手の指の関節や手首)に炎症が起こることもあり、リウマチ性関節炎との区別が困難な時もあります。側頭動脈炎との関連も深いので、頭痛、こめかみ(側頭部)の圧痛、視力低下などがあればすぐに側頭動脈の生検を行い、副腎皮質ホルモンの至急投与が必要です(側頭動脈炎を放置しておくと失明する可能性もあります)。

検査

血液検査で血沈(erythrocyte sedimentation rate, ESR)とCRP(C-reactive protein)という炎症マーカーを調べれば数値が上昇しているはずです。リウマチ性関節炎では通常陽性と出るリウマチ因子やACPAという検査は陰性と出るはずです。

その他には赤血球、白血球数、血色素や甲状腺機能、カルシウム、CK(creatine kinase)などの検査を、筋炎や甲状腺機能低下症、がんなどの似たような症状を起こす疾患を除外するために行います。

治療

ステロイド(副腎皮質ホルモン)が主となる治療法です。Prednisoloneを1日15ミリグラムから始めて3〜4カ月かけて徐々に減らしていきます。人によって治療効果は違い、約1年で治る人もいれば、ステロイドの投与量を減らすとまた症状が出てくる人もいます。2年ほどで自然治癒していることもあれば、もっと長期間の治療が必要な人もいます。副腎皮質ホルモンで反応が悪く、症状が改善しないような場合は、リウマチ性関節炎で使われるような、病気の進行を抑えるような薬(disease modifying antirheumatic drug, DMARD)が試されることもあります。

また、ステロイドの長期服用が必要な場合、骨粗鬆症が起こりやすくなりますので、定期的に骨密度の検査をすることが大切です。場合によってはカルシウムとビタミンDの補給もしなければなりません。


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鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・ファミリー・クリニック

 

メルボルン大学医学部卒。日本人在住者の多いシドニー北部ノースブリッジで一般開業医を始めて29年。穏やかな語り口が印象的な優しい先生として知られる

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