ジカ・ウイルス(Zika virus)について教えてください

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Q ジカ・ウイルス(Zika virus)のニュースをよく見ますが、現在妊娠しているので心配です。オーストラリアで感染が広がる危険はあるのでしょうか。
(28歳無職=女性)

A 2013年頃から太平洋のポリネシアやミクロネシア諸島でアウトブレーク(大規模感染)が起こり、2015年からは中南米でも大規模感染が発生しました。同時にその地域での先天性疾患(小頭症)やギラン·バレー(Guillan-Barre)症候群の発症率が急激に上がり、このウイルスが原因ではないかと疑われています。ただし、まだその因果関係が確認されたわけではありません。

伝染法

ジカ・ウイルスは、Aedes(ヤブカ属)の蚊から人間に伝染します。ネッタイ・シマカやヒトスジ・シマカなどの蚊が媒介となります。日本やオーストラリア(特に北部)にはヤブカが生息していますので、海外からの感染者がこの媒介蚊に刺されれば他人に感染する可能性はあります。この種の蚊がいない所では感染が広がる危険はまずありません。この蚊は熱帯、亜熱帯地方に多く存在します。輸血や性行為による感染、あるいは母体から胎児、母乳から新生児への感染も可能性はありますが、ごくまれです。

症状

*無症状のことも多い
*発熱
*関節、筋肉痛
*発疹
*頭痛(目の奥)
*結膜炎

症状が軽く、ジカ熱と診断されなかったり、他のウイルス感染、例えばデング熱と間違えられたりすることもあります。

診断

体液のサンプルからポリメラーゼ連鎖反応、PCRの検査で診断したり、血液の抗体反応を見て診断することもあります。PCR検査はウイルスがまだ体内に存在する時期(発症から1週間以内)にしないとウイルスを検知できません。血液の抗体反応で見る場合はジカ・ウイルス以外のフラビ・ウイルスでも反応が見られることがあるので結果の解釈には注意を要します。上記のような症状を呈していて、最近感染地域から帰国した人は疑われます。

治療

このウイルスを抑える抗ウイルス薬はまだありません。解熱剤、鎮痛剤、水分補給などの対処療法しか今のところありません。予防接種もまだ開発されていません。

予防法

感染地域に行く場合は蚊に刺されないことが最も大事な点です。次のような点に気を付けてください。

① なるべく長袖を着る

② エアコンディションがあり、窓やドアに虫よけスクリーンがついているような施設に泊まる

③ もしそのような設備がなければ蚊帳を使用する

④ 外出の時は虫よけの薬を使用する(生後2カ月未満の乳児には使用しない)

⑤ 日焼け止めも使用する場合はサン·スクリーンを先につけてから虫よけを塗るようにする

⑥ 虫よけ薬は子どもの目、口の周り、それに手には塗らないように注意。子どもの顔に塗る場合は虫よけを大人の手に付けてから塗るようにする

⑦ 赤ちゃんの乳母車やストローラーには虫よけネットを装着する

⑧ ジカ・ウイルスの感染が確認されている人は、しばらくの間はその人自身が蚊に刺されないように注意する(感染者を刺した蚊が媒介となって他の人を感染させるから)

この病気は届出疾患(ヒトや動物の健康への影響が大きいため、発見された場合に公衆衛生当局へ届け出ることが法令で定められている疾病)です。できれば、特に妊娠している人は、感染地域への旅行を見合わせるほうが賢明です。


日豪プレス何でも相談

 

鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・ファミリー・クリニック

 

メルボルン大学医学部卒。日本人在住者の多いシドニー北部ノースブリッジで一般開業医を始めて29年。穏やかな語り口が印象的な優しい先生として知られる

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。

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