重度の妊娠中毒症で入院が必要。出産は大丈夫?

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Q 妊娠中毒症で重症のため、入院が必要と言われました。しばらく入院して改善すれば退院できるのでしょうか、それとも出産まで入院していなければならないのでしょうか。
(35歳主婦=女性)

A 妊娠中毒症は、子かん(癇)前症とも言います。人間だけに起こる疾患で、胎盤の病気のため、妊娠中の人にしか起こりません。根治するには出産するしかありませんが、胎児が十分に発育するまで待たないと、胎児の生存率が低くなることもあります。

中毒症状を観察しながら、胎児が十分に育ち、安全に出産できるタイミングを見極めることが大切です。通常、妊娠20週を過ぎてから発症します。初期の症状は血圧上昇、タンパク尿、むくみですが、妊婦が気づかないことがほとんどなので、妊娠中の検診をきちんと定期的に受け、血圧、尿のチェック、体重、体のむくみなどを診ておくことが重要です。

症状

【初期症状】高血圧(140/90以上)、タンパク尿、体のむくみ(通常の妊娠でも多少のむくみが起こることがありますが、ほとんどの場合は下半身に起こります。もし、顔や手にもむくみがあれば、妊娠中毒症の可能性が高くなります)

【後期症状】ひどい頭痛、目のかすみ、閃光、腹部の痛み、吐きけ、嘔吐、息切れ(肺水腫のため)

治療しなかった場合の合併症

子癇(けいれん)、ヘルプ症候群(Hellp Syndrome)-溶血、肝機能上昇、血小板減少、脳卒中

胎児への影響

胎盤の血流が悪くなるので、胎内発育遅延が起こりやすくなります。

検査

*血液検査:肝機能、腎機能、血液学検査-血小板数低下、肝機能低下などが起こっているかを診ます。

*尿検査:24時間以内に採取された尿での淡白の排泄量を診ます。

*胎児:超音波検査で発育状態を調べます。超音波検査で胎児が動いたときの心拍数が正常に変動するかを診る検査(Biophysical Profile)が必要な時もあります。

治療

*降圧剤:血圧が高すぎる場合、妊娠中でも安全な降圧剤が使われます。

*副腎皮質ホルモン:ひどい妊娠中毒症やヘルプ症候群を起こしていれば、ステロイドが使われます。これは一時的に肝機能と血小板数を向上させる効果があるとともに、胎児の肺の成熟にも役立ちます。

*症状安静:以前は推奨されていましたが、この治療に関する効果は認められず、血栓がかえってできやすくなるということもあり、最近では勧められていません。

*入院観察:重症の場合は入院して頻繁に母胎と胎児の状態を観察する必要があります。もし、症状がひどいようでしたら出産しなければなりません。自然分娩を待っている余裕があるか、誘発剤を使って誘導分娩になるか、あるいは帝王切開が必要かは、その時の状況によって主治医が判断しなければなりません。また、けいれんの危険性が高い場合は抗痙攣薬(硫酸マグネシウム)が使用されることもあります。


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鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・メディカル・プラクティス

 

メルボルン大学医学部卒。Northbridge Family Clinicを6月18日で閉院し、Northbridge Medical Practiceで6月27日より診療中

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