眼球にゴミが付着、眼科で受診するも経過観察と言われました

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Q 右の眼球にゴミが付いているように見えたので眼科で受診したところ、様子を見て、経過を観察するだけでいいと言われました。このまま処置をせずに放って置いて良いのでしょうか。
(45歳会社員=男性)

A 眼球の中は、レンズから網膜までのスペースの大部分を硝子体が占めています。これは無職透明なゼリー状の組織ですが、年齢と共に一部が液体となり硝子体自体が収縮することで、眼球の後部の硝子体と網膜の間に隙間ができます。これを「後部硝子体剥離」と言います。また、この時、硝子体と網膜が強く癒着していると網膜が引っ張られると同時に一部分引き裂かれ、「網膜裂孔」が起こります。この網膜の裂け目から網膜の裏側に水分が流れ込み、網膜が剥離した状態を「裂孔原生網膜剥離」と言います。

ほとんどの網膜剥離はこのメカニズムから起こりますが、糖尿病、眼球内の腫瘍や網膜の炎症からの合併症として起こることもあります。

網膜剥離の危険因子

●高齢―40~80歳の年齢層
●強度の近視―強い近視の人は眼球が長いため
●外傷―直接眼球に打撃を受けた場合など
●家族歴―血縁者が過去にかかったことがある、または現在かかっている場合など
●白内障手術―レンズを摘出すると、硝子体が眼球の前方に移動するため

主な症状

●飛蚊症(Floaters)
 眼球を動かした時に、年齢と共に起きる硝子体の中の繊維性の混濁が動くことで、視界の中にゴミがちらついていたり、クモや蚊が飛んでいるように見える現象です。後部硝子体剥離や、網膜裂孔、網膜剥離が起こることで症状は増悪しますが、飛蚊症という症状だけでは生理的なものかどうか判断はつきません。

●光視症(Flashing lights)
 視界に閃光が走る現象です。後部硝子体剥離が原因で、網膜が引っ張られる時に起こりますが、網膜裂孔や網膜剥離が引き金となることもあります。飛蚊症に加えて光視症の症状がある場合、網膜剥離の可能性が高いので、眼科での受診の緊急度は増すでしょう。

●視力低下
 網膜剥離が進むと、視力が低下してきます。視野の周辺部から影ができ、視力と共に視野が落ちてきます。特に、網膜の黄斑(macula)の部分も剥離が起こっていると、視力低下は著しくなります。

治療方法

症状により、治療方法は異なります。まず、前述したように後部硝子体剥離だけで軽い飛蚊症の場合、治療の必要はありませんが、網膜裂孔がある場合はレーザーや冷凍凝固で裂孔の周辺を塞ぎ、網膜剥離へと進行しないようにします。

網膜剥離が既に起きている場合は、それ以上進行しないようにレーザーなどで塞げる部分は塞ぎ、同時に色素上皮から剥がれた網膜を再度、色素上皮に押し当てる方法を採ります。眼球の外からシリコンのスポンジを縫い付けて押す方法や、眼球内にガスを注入して網膜に圧迫を掛ける方法などがあります。また、裂孔原生網膜剥離の場合、硝子体を吸飲して取り除くこともあります。


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鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・メディカル・プラクティス

メルボルン大学医学部卒業。Northbridge Family Clinicを昨年閉院し、現在Northbridge Medical Practiceで診療中

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