妊娠性高血圧について教えてください

日豪プレス何でも相談

医療

Q

現在妊娠32週なのですが、検診で血圧が高いと指摘されました。これまで血圧が高かったことはありませんでした。今後どのようなことに注意すれば良いのでしょうか。(37歳女性=主婦)

A

妊娠中の高血圧

妊娠中に起こる高血圧には、以下のように幾つかのタイプがあります。

慢性高血圧

妊娠する以前からの慢性の高血圧。本態性高血圧の場合と腎臓疾患やその他の疾患から起こる高血圧があります。また、妊娠中毒症が慢性高血圧と重なって起こることもあります。慢性高血圧を持っていること自体が妊娠中毒症になる1つの危険因子です。

妊娠性高血圧(Gestational Hypertension)

妊娠20週以降に起こる血圧の上昇。ほとんどの場合、出産後に妊娠前の通常の血圧に戻ります。妊娠中毒症とは違い、タンパク尿やむくみはありません。

妊娠中毒症

高血圧、尿タンパク、体のむくみが起こる。胎児も母体も危険な状態に陥ることがあります。

妊娠性高血圧について

妊娠20週以降に血圧が140/90以上になり、尿タンパクやむくみがない場合、妊娠性高血圧と言います。このうち約25%は妊娠中毒症へと進みます。もし妊娠30週を過ぎて血圧が上がった場合、妊娠中毒症になる確率は約50%です。

妊娠性高血圧になりやすい条件として以下が挙げられます。

  • 初めての妊娠
  • 肥満体
  • 年齢20歳未満、あるいは40歳以上
  • 妊娠性高血圧や妊娠中毒の既往歴、あるいは家族歴
  • 多胎妊娠
  • 慢性腎疾患や糖尿病

妊娠性高血圧の合併症は胎内発育遅延、早産、胎盤剥離、死産などです。ほとんどの場合は軽症で、しかも37週を過ぎてから発症します。通常の妊娠と比べて誘導分娩か帝王切開になる恐れが高まりますが、胎児への影響はまずありません。

更に重症になれば、胎児への影響も大きくなるので、妊娠中に高血圧が認められれば24時間の尿のタンパク排泄量を調べたり、超音波検査で胎児の発育具合を診たりしておく必要があります。また、血圧も頻繁にチェックし、血圧が上昇気味だったり、妊娠中毒症になっていたり、胎児の発育が悪くなってきたりした場合は、何らかの手段を施すことが必要となります。高リスク妊娠の専門医に掛かることが多くなります。降圧剤の服用(血圧140~160/90~100以上)や、もし早産(34週以前)になる恐れが高くなれば、副腎皮質ホルモンの投与も考慮されます。これは、胎児の肺の発達を促す効果があります。

未熟児の場合、界面活性物質(肺胞表面上の単分子層を形成する表面活性物質)がまだ生産されておらず、呼吸困難に陥る危険があるからです。出産後にはほとんどの場合、血圧は正常に戻ります。ただし、出産後まもなく血圧が更に上昇したり妊娠中毒症になるケースもまれにあるので、出産後も経過を観察することが重要です。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・メディカル・プラクティス

メルボルン大学医学部卒業。Northbridge Family Clinicを昨年閉院し、現在Northbridge Medical Practiceで診療中

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る