リューマチ性関節炎で治療をしています

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Q:  リューマチ性関節炎で治療をしていま すが、経過があまり良くなく、専門医か ら「TNF inhibitor」という比較的新しい 薬を試してみてはとのアドバイスを受け ました。新薬ということで多少不安もあ りますので、この薬について教えてくだ さい。
(35歳女性=主婦)

A: 
TNF 抑制薬(TNF inhibitor):
最近開発された生物学的(Biological) DMARD*(疾患修飾抗リウマチ薬)で、 「Methotrexate」のような第一線薬であ まり良い効果が得られなかった場合に使 われます。新しく開発された薬なので比 較的高価です。
*DMARD−disease-modifying antirheumatic drug

現在オーストラリアで使用されているTNF 抑制剤:

名称 投薬ルート 投薬頻度
Infliximab 系静脈注入 始めは0、2、6週、その後8週ごと
Infliximab 系静脈注入 始めは0、2、6週、その後8週ごと
Etanercept 皮下注射 1・2週に1度
Adalimumab 皮下注射 2週ごと
Golimumab 皮下注射 4週ごと
Certolizumab pegol 皮下注射 2週ごと3回、その後 4週ごと

 TNFとは「Tumour necrosis factor (腫瘍壊死因子)」の略です。リュー マチではTNFαという炎症を起こすサ イトカイン*が放出され、あらゆる連 鎖反応を起こしながら軟骨を分解し たり、骨を浸食したりします。これに よって関節の組織に徐々に損傷が起こ ります。

 TNF抑制薬はTNFαの活性化を遮 断する効果があり、滑膜*や軟骨、骨の炎症を抑えることができます。 Methotrexate と併用するとより効果が あるようです。

 TNF抑制薬を投与された患者さんの 3分の2は何らかの臨床面での向上が見 られます。その内3分の1の患者さんは 効果が見られないことがありますが、 TNF 抑制薬の種類を変えることによって反応が見られる場合もあります。

*サイトカイン−種々の細胞から分泌されるおびただし い数のホルモン様低分子蛋白の総称
*滑膜−関節腔の内面に沿って存在する結合組織膜で、 滑液を生産する。骨の関節軟骨の部分を除く全内面を 覆っている

TNF抑制薬の副作用:
*注射部の赤み、腫れ
 ほとんどは自然に治まります。
*注入後の反応
 24時間以内に頭痛、吐き気、めま い、動悸などが起こることがあります。 24時間から2週間、筋肉痛、関節痛、倦 怠感、発疹などの副作用が起こることも あります。治まらないようでしたら副腎 皮質ホルモンの投与かTNF 抑制剤の投与 を中止しなければなりません。
*感染症
 皮膚や軟組織の感染症が起こりやす くなるようです。
*癌
  皮膚癌、あるいはリンパ腫のリスクが わずかに高まるかもしれませんが、確実 なデータはまだ得られていません。

TNF抑制剤と予防接種:
 水疱瘡、経口ポリオ、風疹、おたふ く、麻疹、黄熱などの生ワクチンはTNF 抑制剤を投与している間は使えません。

TNF抑制剤の処方に関する制限:
 この薬はリューマチ専門医、あ るいは臨床免疫学の専門医でない と処方できません。従来のDMARD (Methotrexate やsulfasalazine)で最 低6カ月の治療を試みて効果がなかっ た場合に初めて処方できます。ただ し、TNF抑制剤は初期リューマチによ く効き、慢性化したリューマチ症状に はあまり効果は期待できません。よっ てリューマチの診断がはっきりすれば 関節に回復不能の変化が起こる以前に なるべく早めにDMARDの治療を試し てみることが大切です。そうすれば DMARDが失敗した場合にTNF抑制剤を 使う時間的余裕ができます。


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鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・ファミリー・クリニック

 メルボルン大学医学部卒。日本人在住者の多いシドニー北部ノースブリッジで一般開業医を始めて19年。穏やかな語り口が印象的な優しい先生として知られる

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