
Q:
22歳ごろから顔のにきびで悩まされています。10代にはなかったのですが、この年齢になってもにきびはできるのですか ?
(25歳女性=会社員)
A:
にきびは通常ティーンエイジャーの時期に起こる自己限定性の疾患ですが、女性の場合、20歳以降、大人になっても継続することもあります。また、青春期ににきびが起こらなくても、20歳以降に初めて起こるケースもあります。症状は軽いものから瘢痕が残ってしまうようなものまであります。青春期後のにきびの典型的な分布は頬の下部、下顎から首にかけてです。
女性が大人になってもにきびがある場合、内分泌ホルモンの異常が潜んでいることもあります。
にきびが起こるメカニズム
にきびはいくつかの要因が複雑に作用して起こる皮膚疾患です。
*毛包皮脂腺孔の異常な角質化により皮脂腺が塞がってしまう。
*皮脂腺による皮脂の分泌が多くなる。
*皮脂腺の瘢痕プロピオンバクテリウムというバクテリアによる感染。
*炎症反応
皮脂腺は体中にありますが、一番数が多く密集しているのは顔です。ですから、にきびが最も多く起こるのは顔です。皮脂の分泌は男性ホルモンの刺激によって起こります。女性の体内の男性ホルモンは50%が卵巣で作られ、あとの50%は副腎で生産されます。多嚢胞卵巣や卵巣腫瘍によって男性ホルモンの分泌が増えることもあります。また、先天性副腎皮質過形成症(Congenital adrenal hyperplasia)や精神的ストレスで、副腎からの男性ホルモンの分泌が増加することもあります。
検査
ほとんどの人は検査は必要ありませんが、青春期後のにきびがひどかったり、生理不順があったり、男性型多毛症のような男性ホルモンの増加を現すような症状がある時は、内分泌ホルモンの検査が必要です。
治療
一般的な考慮として、強い抗菌性のある石けんで顔を何度も洗う必要はありません。あまり肌に刺激を与えるとかえって炎症がひどくなります。無油性のクレンザーや泡沫状のクレンザーで緩やかに洗うことが大切です。
化粧品や日焼け止めもやはり無油性のものを使うようにしてください。どの治療法を選択したとしても、治療の効果が現れるまでには6〜8週間はかかります。
*塗布薬:症状が軽ければ塗布薬だけでも治まるかもしれません。角質を溶解する作用の薬(Keratolyitc: Salicylic acid、Beonzoyl peroxideなど)、抗生物質(Clindamycin、Erythromycin)、それにビタミンA類似化合物(Tretinoin、Isotretinoinなど)があります。
*経口薬:塗布薬で治まらないようなケースは経口抗生物質(Doxycycline、あるいはMinocycline)か経口Isotretinoinを使います。抗生物質の使用期間は3カ月までで、継続して使う場合は1〜2週間空けてから使うべきです。
*ホルモン治療:男性化の徴候があったり多嚢胞卵巣の人、それに重症のにきびの場合に避妊ピルが使われますが、特にDesogestrel、Gestodene、あるいはCyproteroneという成分が含まれるピルはニキビに対して効果があります。

鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・ファミリー・クリニック
メルボルン大学医学部卒。日本人在住者の多いシドニー北部ノースブリッジで一般開業医を始めて19年。穏やかな語り口が印象的な優しい先生として知られる
