時差ボケの注意点

Q 海外への出張が多いのですが、時差の大きい地域への出張の際、時差ぼけで困っています。どのような点に注意すればいいのでしょうか。
(40歳会社員=男性)

 

A

時差ぼけの症状

 時差ぼけの具体的な症状には以下のようなものがあります。
・日中の疲労感
・不眠症
・不安感、怒りっぽさ
・ 集中力がなくなり物事を決断することが困難になる
・小欲減退、吐き気
・便秘
・頭痛
・気分がすぐれない

時差ぼけの原因

体内のリズムは脳の中にある松果体(Pineal gland)という部分でコントロールされています。この臓器は昼間の光と夜の闇に反応してメラトニン(Melatonin)というホルモンを分泌します。メラトニンは夜間の暗い時に分泌され、昼間の明るい時には分泌が止まります。このホルモンの分泌のサイクルに合わせて体の毎日のリズムが成立します。
 時間帯をまたいだ時にはこの光と暗闇のサイクルが狂うのでメラトニンの分泌パターンも崩れ、体のリズムも狂っていきます。またぐ時間帯の数が多ければ多いほど時差ぼけはひどくなります。具体的には東方向に旅する方がより調整が必要ということになります。時間帯を1つ越えれば回復するのに約1日かかるというのが基本原則です。

時差ぼけの対処法

 時差ぼけの対処法としては以下のようなものがあります。

 

・なるべく目的地に夜間に到着するようにフライトのブッキングをしてください。
・長時間の飛行でしたらできれば途中でストップ・オーバーできるようにしてください。
・飛行中にアルコールを飲まないようにしてください。アルコールには利尿作用があり、そのために体が脱水気味になります。脱水状態になると時差ぼけはひどくなりがちです。水分を全くとらないと深部静脈血栓症が起こりやすくなりますのでアルコールの代わりに水やジュースを飲むようにしてください。
・カフェインも脱水状態を起こしやすく、興奮や不安を招くこともあるのでやはり避けるようにしてください。
・できるかぎり到着地の時間帯に合わせて行動するようにしてください。例えば現地時間で午後12時に到着すれば、たとえ出発地の時刻が午前6時であっても朝食を取るのではなく、昼食を取るようにしてください。
・到着地では昼間の間は外に出て光にあたるようにしてください。
・到着地では昼寝はしないようにしてください。昼寝をしてしまうと新しい時間帯への調整が遅れます。
・もし常用している薬があれば到着地での薬の飲み方を医師と相談しておいてください。薬によっては出発地の時間帯のまま飲み続けた方がいい場合と到着地の時間帯に徐々に合わせた方がいい場合もあります。

 飛行中に眠れるように睡眠薬を使うこともあります。また、到着地で夜眠れなければ3日間睡眠薬を続けてみても構いません。睡眠薬の長期服用は薦められません。メラトニンが含まれる薬もありますが、時差ぼけに関しての効果はあまり認められていません。むしろ高齢者の不眠症に使われる薬です。


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鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・ファミリー・クリニック

 

メルボルン大学医学部卒。日本人在住者の多いシドニー北部ノースブリッジで一般開業医を始めて29年。穏やかな語り口が印象的な優しい先生として知られる

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