簡単な血液検査でわかる胎児の染色体異常(NIPT検査)とは

Q 赤ちゃんの染色体異常をみる新しい検査法があると聞きましたが、これについて教えてください。
(31歳主婦=女性)

 

A 日本語に略すと大袈裟な名前ですが、Non-Invasive Prenatal Testing(NIPT)という検査で、簡単に血液検査で胎児の遺伝的な異常があるかを確認する検査です。これまでは超音波と血液検査の結果を見てリスクを計算するスクリーニング・テスト(Nuchal Translucency、NT Plus)か、もっと確実な診断をするためには羊水検査(Amniocentesis)、あるいは絨毛膜絨毛採取法(Chorionic Villus Sampling, CVS)しかありませんでした。

羊水検査も絨毛膜絨毛採取法も母体に針を入れてサンプルを採取する侵襲性(Invasive)の検査で、低いですが流産のリスクを伴います(リスクは0.3〜1パーセント)。

 

※Nuchal Translucency(後頸部透明帯)Test…超音波診断で、胎児頸部後方に隔壁をもたない単一の無エコー域を認める所見。妊娠11〜14週に測定されるものをいう。同部の厚さの増大は染色体数異常および非染色体異常性疾患のリスクが高いことを示す

NIPTとは

母体の血流には胎児の細胞に含まれる胎児のDNAと細胞なしで循環している胎児のDNA(Free-DNA)があります。

胎児の細胞は数年も母体の血流に残っていますが、free-DNAは出産後数時間で母体から消えていきます。NIPTはこの母体の血流に循環している自由DNAを分析して遺伝子の支障があるかを見る検査です。

母体に循環しているfree-DNAはほとんどが母体からのもので、胎児からのものは全体の10〜15パーセント程度です。この比率が低いと(胎児のFree-DNAが4パーセント以下)正確な分析ができません。母親が肥満であったり、妊娠10週以前の場合はやはり胎児のfree-DNAの比率は下がります。

NIPTでわかる異常は主に異数性(異常な数の染色体をもつ状態)の染色体の疾患です。代表的なものはダウン症(Trisomy 21、トリソミー21症候群)です。そのほかにはトリソミー13、18などがあり、また性別も判断できます。この中でもトリソミー21に関しての分析が一番正確です。異数性の染色体の異常以外にはまだ細かい染色体の異常は正確に探知できませんが、技術の向上とともに探知できる染色体異常の数は増えていくと考えられています。

現在、オーストラリアでは5社がNIPT検査を提供しています。それぞれに多少染色体の分析方法が異なりますが、いずれにしろ採取したサンプルはすべてアメリカに送られ、結果が出るまでには1〜2週間かかります。費用は500〜00ドル程度で、メディケアの対象とはならないので個人負担となります。

費用はこの検査の普及とともにもっと下がってくると思われています。妊娠10〜22週の間にできます。

NIPTの検査結果について

現時点ではNIPTはまだスクリーニング・テストとして行われていて確定診断とはなりません。もし結果が陽性と出た場合は羊水検査(Amniocentesis)か絨毛膜絨毛採取検査(CVS)のどちらかをして確実な診断をしなければなりません。


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鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・ファミリー・クリニック

 

メルボルン大学医学部卒。日本人在住者の多いシドニー北部ノースブリッジで一般開業医を始めて29年。穏やかな語り口が印象的な優しい先生として知られる

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