ティック(マダニ)のアレルギー反応

Q ティック(マダニ)に刺されるとアレルギー反応が起こることがある、と聞きましたがどのような反応があるのでしょうか。
(50歳会社員=男性)

 

A ティックによるアレルギーには主に次の3種類の症状があります。

1)ティックに刺された部分に起こるアレルギー反応
2)ティックに対するアナフィラキシス
3)哺乳類の肉、あるいは肉製品に対するアレルギー(アナフィラキシスも含む)

※アナフィラキシス(anaphylaxis)とは重度のアレルギー反応で、かゆみ、紅斑、じんましん、血管性浮腫がみられます。喉頭の閉塞や気管支痙縮によって心臓にも影響し、不整脈、低血圧、ショックがみられ、死に至ることもあります。

ティックによるアナフィラキシス

50パーセント以上の症例は50歳以上で、男女の比率は3:2です。これは男性のほうが屋外活動が多いからかもしれません。調査によると、ティックを取り除くテクニックとアナフィラキシスの発症率とに深い関連があるようです。アレルギー協会が推奨する除去法で取り除いた場合はアナフィラキシスは起こらず、アナフィラキシスが起こった症例では、間違った方法でティックを取り除いたことが明らかとなっています。

また、一度ティックに刺されてアナフィラキシスが起こったケースでも次に刺された時に正しい方法で取り除いた場合、アナフィラキシスは見られなかったようです。


図1

ティックが皮膚に刺さっている状態でティックを刺激すると唾液腺からアレルギー抗原を分泌させてアレルギー反応を引き起こします。また、ティックを取り除く時に胴体の部分を強く押してしまうと同じようにティックの唾液腺からアレルギー抗原が押し出されます。ですから、もし自分でティックを取る場合、図1のように先が細いピンセットで首のあたりを摘み、ゆっくりと滑らかに引き抜くようにしてください。

哺乳類の肉、あるいは肉製品に対するアレルギー

このアレルギーのメカニズムは最近発見されました。アレルギー抗原はアルファガラクトシダーゼ(alphagal)という炭水化物で、人間や猿以外の哺乳類の体内に存在します。ティックがこの抗原を所有する哺乳類に着いて血液を吸収し、次に人間に付着した時にこの抗原を人体に侵入させ、アレルギー抗原として人体が認識します。そしてこの人が哺乳類の肉を食べた時に同じアレルギー抗原が腸から吸収されて血液に循環した時にアレルギー反応が引き起こされ、アナフィラキシスを起します。ただし人がこのようなアレルギー反応を起こすのはティックに刺されてから数カ月経ってからの場合が多いようです。そして肉を食べてからその抗原が血液の循環まで到達するのには数時間かかりますので、食べてすぐには反応は起こらないようです。このような哺乳類の肉に対するアレルギー反応は、以前にティックとの接触があった人にしか起こらないようです。


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鳥居 泰宏(とりい やすひろ)
ノースブリッジ・ファミリー・クリニック

 

メルボルン大学医学部卒。日本人在住者の多いシドニー北部ノースブリッジで一般開業医を始めて29年。穏やかな語り口が印象的な優しい先生として知られる

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