【医療特集2016②】基本からわかる オーストラリアの医療制度

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知っておきたい医療事情

■歯科

1本の虫歯を治療するだけで何百ドルも支払うという話をよく聞くほど、オーストラリアでは歯の治療費は高額だ。そして、メディケアや一般的な留学生保険では歯の治療費はカバーされない。そのためオーストラリア人や永住権保持者でも、歯の治療のために民間医療保険に別途加入している人は多い。

歯の治療のために保険に加入する場合、注意しなければならないのはウェイティング・ピリオド(非適用期間)の存在。保険が有効になるのは保険加入日から数カ月後となっており、その前に歯科医に行っても治療費はカバーされない。

歯科では、初診時にレントゲン撮影などで症状を診断し、治療にかかる期間と費用について医師から説明を受ける。患者には選択肢が与えられ、選ぶ権利がある。注意したいのは妊娠中の人。胎児への影響から、治療で使用できる麻酔薬が限られるので、診察時には必ず妊娠中であることを伝えておこう。

■眼科

眼科医(Ophthalmologist)を訪ねる場合はGPの紹介状が必要。しかし検眼医(Optometrist)はコンタクト・レンズや眼鏡の販売店を兼ねていることが多く、直接予約をして訪れることができる。

■妊娠・出産

オーストラリアで妊娠した可能性がある時は、まずGPで妊娠検査を受けよう。出産にあたり公立病院・産科専門医を選ぶ時には、GPが紹介状を書いてくれる。定期検診は公立病院と専門医のどちらでも行っているが、出産は公立病院、私立病院、自宅のいずれかになる。

市民・永住者が、公立病院で医師を指定せずに一般患者として診察・出産する場合、費用が全額メディケアでカバーされる。一方、医師を指定する場合や私立病院では、個人患者として差額を負担する必要があるので注意しよう。民間保険ではこの差額をサポートするものがあるが、加入時に妊娠していないことが条件となるので、確認しておくのが無難。

■心のケア

慣れない海外生活ではストレスが溜まり、心も疲れてしまうことは少なくない。心の不調を感じたら、すぐ専門家に相談するのが早期解決への一歩となる。カウンセラーを訪ねる際、GPの紹介状があれば保険が適用される場合があるので、カウンセラーにまず電話で問い合わせてみよう。

また、緊急で心理的なサポートが必要な場合には、毎日24時間の対応の、訓練されたボランティア・カウンセラーによる電話カウンセリング・サービス「ライフライン」(Tel: 13-11-14、Web: www.lifeline.org.au)を利用できる。

■救急車事情

15年時点、NSW州では、救急車両サービスとして救急車、医療用航空機、ヘリコプターの3種類を用意している。

日本では救急車の利用は無料だが、オーストラリアでは基本的に有料でメディケアでもカバーされていない。さらに、救急車は、緊急とさほど緊急でない場合、またNSW州では居住者と非居住者の場合で金額の設定も異なる。QLD州では居住者の条件を満たしていれば救急車を呼ぶのには費用がかからないなど、州による違いもある。

例えば救急車を緊急で利用する居住者の場合は、基本料金が357ドル、走行距離1キロにつき3ドル22セントが加算され、最高で5,851ドルかかる。非居住者の場合は、基本料金が700ドル、走行距離1キロにつき6ドル31セントだ。ちなみにメディケアでは救急車は適用外だが、留学生用健康保険では通常カバーされている。

緊急車両の使用料金や条件は州によって異なるので、万が一に備えて、自分が暮らす州で救急車の利用にいくらかかるか、また自分の加入している保険が救急車の費用をカバーしているかどうか、確認しておこう。

日本語診療・通訳サービス

主要都市では、日本語で診療が受けられるGPが少なくない。また、英語を話せない市民・永住者のために政府が無料で提供している翻訳・通訳サービス「TIS(Translating & Interpreting Service)」(Tel: 131-450)も利用可能だ。電話による通訳サービスは年中無休で24時間対応。通話は医師と患者、通訳者の3間者で行い、問診し必要があれば応急処置を聞くことができる。

オーストラリアの医療事情を駆け足で紹介してきた。しかし心身ともに健やかな日々を送るために大切なのは、普段の生活において健康に注意すること。病気になってからではなく、定期検診を怠らず、病気の予防に努めることも重要だ。

お医者さんに聞きました検診・予防医療のススメ


車と同様、体も点検

GP(一般開業医) ケビン・ペデモント先生(ペック・シティ・クリニック)

スクリーニング検査や病気予防プログラムは、健康で快適な生活をもたらすとともに、病気の早期発見や治療により社会的な経費節減にもつながります。一般的な健康診断では、病歴の確認、身体検査、多くのスクリーニング検査をし、健康を保つための個人的な対策を知ることができます。自動車を定期的に検査に出して故障や事故を防ぐことと同様、“好調を保つ”ために定期的な検査を誰もが受けるべきなのです。

GPは生活に身近な存在

GP(一般開業医) セリーナ・ラパポート先生(日本語診察クリニック)

オーストラリアでは、必ずしも体調を崩した時だけGPで受診するのではなく、普段から健康や食事に関する助言や健康診断を受けるなど、GPはより生活に密着した存在です。例えば、各種測定とともに生活習慣や運動について相談。子宮頸がん、乳がん、大腸がん、前立腺などの検査もお勧めします。 病気になって治療するより、日頃から食事や健康に気配りし、病気を予防する方が断然“健康的”です。

深刻になる前に対処する

GP(一般開業医) ナーマル・グレウォル先生(オブザーベトリー・タワー・メディカル・センター)

健康診断の第一の目的は、病気が大きな問題に進行する前にそれを発見することです。はっきりした症状が出てから医師を訪れても、もし病気が進行している場合には、治療に時間がかかったり、治療が困難になってしまったりすることもあり得ます。ですので、定期的な健康診断は非常に重要です。毎年1回、健康診断を受け、病気の早期発見に努めましょう。病気を予防することは、病気を治療するよりも断然良いことです。

健康への第一歩は足から

Podiatrist(足治療師) 鈴木勇也先生(フィート・ファースト・ポダイアトリー)

オーストラリアではポダイアトリストという足専門の治療師がいます。糖尿病などの方の足を診察し、血流や神経性障害などの検診を年に1度行い、足病変予防をします。また、巻爪、タコ・魚の目、外反母趾などに対する治療や、足の装具(インソール)の提供もしています。足をケガしたり、遺伝性または先天性疾患があると、体のさまざまな部分に影響が出てきます。足は私たちの健康を維持する土台なのです。

虫歯は小さなうちにケア

Dentist(歯科医) ノックス・キム先生(シティ ワールドタワー歯科)

最近日本の歯科医から、アメリカやオーストラリアから帰国した患者さんに虫歯が見つかることが多いと聞きます。歯の異状は、初期ならば詰め物で済んだのに、放置したために神経治療が必要になるケースが少なくありません。最悪の場合、抜歯に至ることもあります。最近ではとても小さな虫歯を見つけられる顕微鏡(一般の20倍)を使用しているクリニックもあります。定期的に検診を受けて早めに対処しましょう。

瞑想のススメ

Counsellor(心理カウンセラー) さとうかおる先生(イーストサイド・カウンセリング)

多くの病気の原因と言われるストレス。ストレスがたまると脳内のセロトニンが落ち、不眠、ウツなどの原因にもなります。そこでセロトニンを上げるために日々の生活に瞑想を取り入れませんか? 静かなスペースで座り、目を閉じ、軽く息を吸って(3秒)、ゆっくり細長く吐く(6〜9秒)、という呼吸法を2、3分続けてみてください。コツは、息を吐く時に体全体の力を抜くこと。リラックスと気分転換に効果大!

経験談Y.K.さん 学生(53歳)、滞在歴1年

英語での予約にひと苦労

左の耳に老廃物がたまりやすく、日本では数年に1度、耳鼻科に行っていました。専用の機械であっと間に掃除してくれ、治療費も初診料を除けば数百円で済んでいました。オーストラリアに住んで1年が過ぎたある日この症状が。まずは何でもGPと聞いていたので、インターネットで自宅の近所のGPを探し、自分が入っている学生医療保険が利くのを確認。予約しようと電話をしました。やはり英語でのやりとりが難しい。「保険の種類は何か」「このクリニックは初めてか」「家族に受診している人はいるか」などを聞かれ、何度も聞き直したりして、ようやく次の日の予約を取ることができました。

GPを訪れ、「日本では機械であっという間に治ったので耳鼻科に行けばいいと思う」と言った(つもり)のですが、そう簡単には専門医には紹介しないようで、耳の中を覗いて「この薬を薬局で買いなさい」を言われたのみ。治療費は無料で、薬局で買った薬は10ドル程度でした。

でも予想通り、薬を使っても治りません。1週間後再度予約を取り、同じGPへ(この時は、電話した当日にクリニックに行くことができました)。今度は別の医師で、太い注射器を使い、耳の中を温湯で掃除してくれました。すると治ったではありませんか。ただし今回は治療費として12ドルかかりました。「最初からやってくれれば薬代がかからなかったのになあ」などと思う一方で、耳鼻科でなければ無理だろうと思っていたのが治ったので、「GPって何でもできるんだなあ」と妙に感心したりもしました。

でも病気の症状に関して英語でのやりとりはやはり難しい。最近追加加入した歯の治療にも有効な医療保険の2カ月の待機期間が過ぎたので、今度は日本語の通じる歯科医を訪れていろいろと相談してみようかと考えているところです。


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