【医療特集2018】生活習慣を見直そう「検査と予防」に注目!

生活習慣を見直そう「検査と予防」に注目!

生活習慣病で悩まされる人の数が増大していると言われる現代、病気になったら治療する医療だけでなく、健康でいられるようにする予防医療も注目されている。生活習慣の改善などで予防できる、一般的によく見られる病気の種類や、どのような検査を受ければ良いか、万が一患ってしまった場合には、どのような治療法があるのかなどについて、各分野の専門家が解説する。日々のセルフ・ケアや受診の目安としてぜひ役立てて欲しい。また、日本人が安心して診療や検査で頼れる医療・健康機関やサービスを紹介。いざという時のためにチェックしておこう。

GP

性行為感染症

コンドームの使用が基本的な予防措置

性行為感染症は性別、国籍を問わず主に性活動の活発な10代、20代の間で広まっていると言われている。

特に多いのはクラミジアと性器ヘルペス。性行為によってクラミジア・トラコマチス菌に感染することで発症するクラミジアは排尿時の違和感や痛み、おりもの、ペニスからの排膿などの症状があるが、自覚症状がなく、感染していることに気づかない人も非常に多い。自然治癒することはなく、放っておくと男女共、将来的に不妊の原因となり得る。

単純ヘルペス・ウイルス(1型、2型)に感染することで起きる性器ヘルペスも自覚症状のあまりない性行為感染症の1つだが、発症すると激しい痛みを伴う水泡が性器に現れ、一度感染すると完治することはできない、終生の感染症だ。

クラミジアは抗生物質の服用で簡単に治療ができるが、服用終了2週間後に再検査を行い、完全に治療できたかどうかの確認が大切だ。クラミジアは薬で治療することができるが、再度感染する可能性もある。性器ヘルペスは一度感染するとウイルスを体から除去し、完治させることはできずウイルスのキャリア(保持者)となる。発症後72時間以内に抗ウイルス薬を服用することでウイルスの増殖を抑えると症状の早期緩和と再発予防に効果があると言われている。再発の頻度は人によって違うが、頻回に繰り返す人では予防的に約6カ月から1年、抗ウイルス薬の定期的な服用を勧められることがある。

いかなる性行為感染症においても、まずコンドームの正しい使用が後悔しないためにできる基本的な予防措置だ。ただしコンドームは覆われている部分しか感染を防ぐことができないため、クラミジアや性器ヘルペスはオーラル・セックスによって口唇や咽頭と性器の両方へ感染することもある。

自覚症状が現れている場合には性行為を避ける、スクリーニング検査を受ける、性行為は必ずコンドームを使用する、パートナーと率直に性行為感染症ついて話し合うなど対策を取る必要がある。検査や治療は決して恥ずかしいことではないので、気になることがあればすぐにでも医師に相談しよう。

協力=ポーラ・バーリー先生(日本語医療センター・パース)
プロフィル◎オーストラリア、パース出身。西オーストラリア州立大学で医学を学び、一般開業医(GP)として日本語医療センター・パースで勤務中

虫歯や歯周病

歯根管治療や抜歯を防ぐためにも定期的検診を


虫歯は、糖分の摂取や不適切な口腔ケア、唾液の減少やフッ素の不足によって発症してしまう細菌による歯の感染症だ。ゆっくりと進行し、症状が出るまでに時間が掛かるのが特徴。最終的には歯に穴ができ、神経を傷つけてしまう恐れもある。

また、歯肉や歯槽骨、あごの骨に発症する歯周病は、歯垢や硬い沈殿物、細菌の蓄積が原因となり、歯肉に腫れや出血という炎症反応が起き、歯が動く、口臭がひどくなるなどの症状の他に、悪化すると歯や骨を失う場合もあると言われている病気だ。

虫歯も歯周病も6カ月ごとの定期的な歯科検診とレントゲンでチェックすることができるので、症状がなくても積極的に歯科医院を訪れよう。

虫歯を予防するためには、糖分の多い食事と飲み物を減らし、水分の摂取を増やす、間食の頻度を減らし、歯にくっつきやすい糖分の多い物(キャラメルやミンティ、トフィーなど)を避けるなどの方法がある。1日に2回は歯磨きをし、定期的に歯科で歯のクリーニングをするなど、口腔衛生状態を保つことの心掛けも大切だ。フッ素の入った歯磨き粉を使用するだけでなく、シドニーの水はフッ素を含んでいるため、水道水を飲むことも効果的だと言われている。

そして歯周病を防ぐためには、6カ月ごとの歯科検診とクリーニングが重要だ。歯科医院で口内全ての骨の状態をチェックしてもらい、もしこれまでに口腔レントゲンや歯周病検査をしたことがなければ医師に相談してみよう。

もし虫歯や歯周病になってしまったら、具体的な治療法として、まず口腔や歯の健康問題を解決する適切な治療計画が担当医と話し合われ、スケジュールが組まれる。さまざまな要因により異なるが、通常、治療の最初は非外科的なディープ・クリーニングを行う。日頃から、歯間ブラシやフロス、歯ブラシを使って自らしっかりと歯のクリーニングを行い、口腔衛生状態を保つ習慣を付けよう。

協力=マシュー・リー先生(ワールドシティ日本語医療・歯科センター)
プロフィル◎シドニー大学歯学部卒。同大学臨床講師。豪歯科学会評議員の経験者。日本歯科医師会や東京医科歯科大学の研修会で講師を歴任。上記歯科医との強力な連携が日本中どの都市でも引継歯科の紹介可。写真からも伝わる穏やかで楽しい人柄も人気

偏頭痛や緊張性頭痛

正しい姿勢を意識して慢性の症状を改善

天候の変化、ホルモンの変動、ストレス状況により左右される、慢性的または断続的に起こる頭痛は、偏頭痛、緊張性頭痛など診断名は症状に応じて300種以上あると言われている。これらの原因は日常の姿勢や過去の事故によるむち打ちなど、上部頸椎の機能障害により過敏になった脳神経細胞によるものだ。上部頸椎を治療し、リハビリをすれば、薬の対処療法から根本的な改善が望まれる。しかし、放っておくとアイスピックで刺されているように感じると比喩されるほどの「アイスピック頭痛」にまで悪化しかねない。

まずは、GPやフィジオセラピーでの問診に正しく答えられるように、発症する箇所、頻度、痛みの度合いなど自分の頭痛のパターンを把握しよう。フィジオセラピーを受診し、普段発症する頭痛の再現と解消が診察中にできれば治療可能な頭痛である。月に15日以上頭痛がある、もしくは、頭痛薬を月に10日以上服用している、以前は効いた頭痛薬が効かなくなってきている人は薬剤の使用過多により更に頭痛が助長されている可能性もあるので、受診はなるべく早くしよう。

慢性的な症状は普段の生活で自然に行っていることの中に原因が多いと言われている。例えばデスク・ワークをしている人は、正しい姿勢を意識すること、常にスクリーンを見るのではなく、左右を見渡したり立ち上がったりといったちょっとした動きを頻繁に取り入れることが重要だ。本来、人間の体は一定の状態を維持するようにはできていないので、デスク・ワーカーも毎日10時間近く継続して競技を行うアスリートだという意識を持ち、積極的かつ頻繁に体を動かすように心掛けることが大切だ。

特に自覚症状がなくても、年齢や日々の運動量に応じて筋力や筋肉と関節の柔軟性は変化するので、年に1回は筋骨格系の人間ドックだと思ってフィジオセラピストに診察してもらうことをお薦めする。早期発見・治療が早期解決の糸口だ。薬でだましだまし押さえておくのではなく、なぜ症状が出るのか専門家による的確な診断を受け、メカニズムを理解すれば、自ら症状を管理できるようになる。

協力=奥谷匡弘先生(メトロ・フィジオセラピー・アンド・インジュリー・クリニック)
プロフィル◎総合病院での勤務を経てシドニーでフィジオセラピー・クリニックを開院。主に筋肉や関節など、筋骨格系の疾患を治療。顎関節症に関しては豪州と日本で理学療法士に対して講習を行う

うつ病、パニック障害や適応障害

定期的な運動習慣の心掛けも効果的な改善法

うつ病やパニック障害は、生まれ持った体質が関係している場合もあれば、ストレスに対する反応である適応障害の症状の1つとしてそれらが現れている場合もある。ある程度の自覚はあっても、それを精神科的な問題とまでは思っていないことが多く、本人または周囲が悩むようになって、初めて受診につながるケースが多いという。

例えばうつ病は、気分の落ち込み、やる気のなさや無気力、集中力・判断力の低下などを症状とする気分の障害で、不眠や食欲の低下による体重の減少が起こることもある。気分の変調や、やる気のなさが一定期間続いていると感じたら、まずGPの診察を受けよう。

検査の方法としては、GPまたはサイコロジストを訪れ、そこでうつや不安についてのアンケートを行い、数値を診てもらう。また症状とその深刻さや期間を話し、アセスメントと診断を受ける。気分を測る質問紙でよく使われるのはDASS-21(D項目)やBDI-IIなどがある。インターネットでこれらを検索し、自分でやってみるのも1つの参考になる。

具体的な治療法については、抗うつ剤などの投薬。投薬はGPまたは精神科医で処方箋を書いてもらい、サイコロジストでの心理教育や、カウンセリング・心理療法、認知行動療法などでスキルを獲得したり、グリーフ・カウンセリングでグリーフ・プロセスを進めたりする。

まずは定期的な運動習慣(週2~3回、45~60分)で、気分ややる気の問題をかなり改善できる。それから客観的な現実にできるだけ基づいて、証拠のないことにはくよくよしないように認知を改善していくことも大切だ。人の意見にも耳を貸すけれど、基本的には自分で考え判断する自己の感覚を育てていくことも重要。メンタルが落ちにくいように生活をデザインする(運動や楽しみ、家族や友人との関わりを適度に散りばめる、十分な睡眠を取るなど)。心の中の出来事ばかりに耽溺せず、より現実を見るマインドフルネスのスキルを身に付けることなどが予防法として効果的だ。

協力=やのしおり先生(シドニーこころクリニック)
プロフィル◎日本の臨床心理士とオーストラリアのサイコロジストの資格を持ち、両国でのカウンセリング経験が25年あるベテラン。正確なアセスメントと、効果が実感できる心理療法のスキルに定評がある


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