姿勢と呼吸が変われば体が変わる!美姿勢を作るストレッチ

©freepik
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2月初旬、ストレッチ・トレーナー、姿勢教育・研究家として活躍し、日本でも数多くのメディアで取り上げられている兼子ただしさんの姿勢セミナーがゴールドコーストで行われた。ストレッチや姿勢に対する関心度は高く、予約開始から2週間で参加者は定員数の60人に達し、キャンセル待ちも取れなくなる程の人気ぶり。本特集では、兼子さんに正しい姿勢とより深い呼吸をするためのストレッチ方法について伺った。(取材・文:上野瞳)

日本人に猫背が多い理由

 肩凝り、腰痛、何となく体が重いなど、体の不調を抱えている人は多いだろう。こうした原因に大きく影響しているのが普段の姿勢と呼吸だ。姿勢が悪くなると連動して呼吸も浅くなり、更なる不調を引き起こすことがあるという。また驚くことに日本人を含む東洋人は特に姿勢が悪くなりやすいそうだ。その理由は、はるか昔、東洋人が農耕民族だった時代にまでさかのぼる。鍬(くわ)を使って畑を耕すなど、習慣的な動作の中で体を曲げて行う作業が多く、加えて日本人特有の、包丁を使う、のこぎりやかんなの使い方など、前かがみの状態のまま「引く」動作が多いため、肩が前に入ってしまう猫背の姿勢のくせが付きやすくなっている。また、息を吐きながら行いやすい動作が「引く」動作となり、息を吸うことよりも吐くことに意識が向きやすい。このような昔からの習慣から日本人は吸う力が弱まりやすく、その影響で関連する筋肉(呼吸筋)が弱まり、姿勢が悪くなるだけでなく、お腹も出やすくなるそうだ。

呼吸と姿勢の関係

満員のセミナー風景。姿勢を正すストレッチを教わる受講者
満員のセミナー風景。姿勢を正すストレッチを教わる受講者

 姿勢と呼吸には相関関係があり、正しい姿勢を作るためにも深い呼吸が必要となる。姿勢が悪いと呼吸が浅くなり、呼吸筋が凝ってしまい、更に姿勢が悪くなるなど悪循環に陥る。また、呼吸は毛細血管を通って脳へ血液を運ぶ働きもしている。正しい姿勢の働きを10とした場合、不良姿勢の場合、この働きが約4割にまで下がってしまう。こうした酸素不足の状態は、うつ、疲れが取れない、頭痛、痩せにくいなど不調の原因になってしまう。理想的な深い呼吸は鼻から吸い、口から吐く動作が各5秒と言われ、特に吸う時は多くの筋肉が使われるため、姿勢が重要になる。しかし、呼吸筋の力が弱い日本人は意識をしても各5秒の呼吸をすることは難しい。そこで大切なのが呼吸筋のストレッチだ。

 呼吸筋の中でもメインの筋肉となる、横隔膜は呼吸時に使用する重要なインナー・マッスルであり、運動不足や姿勢の悪さで呼吸が浅くなると最初に硬くなる筋肉。更に体の固さにも連動しており、横隔膜をほぐし、筋力を高めることで呼吸がスムーズになる。そしてもう1つが、首の骨と肋骨をつないでいる筋肉「斜角筋」だ。パソコンや携帯電話を見る姿勢など首を曲げた悪い姿勢をとっている現代人は首が凝り、この斜角筋も硬くなりがちだ。これらの呼吸筋をほぐし、鍛えることで正しい姿勢を導け、深い呼吸が可能になる。この2つの筋肉が変わると体の柔軟性も伸びるそうだ。

ストレッチで「絶好調な体」へ

 人間の生活力を上げるためにストレッチで正しい姿勢を身に付けることがとても有効だと話す兼子さん。

 「健康でいるということは幸せに生きていく上で重要です。健康とはただ、病気をしないで生きているという意味ではなく、自分にとって心も体も絶好調な状態をキープできることだと思います。一番良い状態をキープするためにも、バイタル・サインと呼ばれる血圧、体温、呼吸の深さなど生活に必要な力を上げることが大切です」

 だからこそ、体の不調が起きてからではなく、健康的な生活を送れるよう何か起きる前に、普段からストレッチを取り入れることが大切だそうだ。

 年代、性別、職業問わず正しい姿勢へ導くストレッチ。兼子さんは約15年ストレッチの効果を科学的に研究し、幅広い年代に姿勢教育を広めるために小学校など日本各地のさまざまな教育機関でも講演を行っている。今回紹介する基本のストレッチを日常生活に取り込んで、正しい姿勢でベストな体を作ってみよう。

姿勢チェック!

 呼吸が浅いため姿勢が悪く、頭が前に出てしまっている不良姿勢は、斜角筋などの呼吸筋が凝ってしまい、ストレート・ネックと呼ばれる、本来あるべき自然な首の湾曲がなくなった、首と頭が真っすぐ突き出した状態に。姿勢が悪いと吸息がうまくできず、体のあらゆる所に負担が掛かるため疲れやすかったり、体の痛みやゆがみの原因などにもなる。更に腸が前に出てしまい、ぽっこりお腹の原因にもなる。
 正しい姿勢は背中が奇麗なS字を描き、胸部が自然と上向きに。この状態では連動する筋肉が動き、深い呼吸ができる良い循環が生まれる。

SSS広報部の横山さん。見事なスタイルは毎日のストレッチの賜物

呼吸筋=インナー・マッスル!
ストレッチで得られる効果

 深い呼吸をすることで鍛えられるインナー・マッスル。横隔膜など呼吸で使用する筋肉は内臓周りに集中しているため、意識して鍛えることで内臓が正しい位置に戻り、体の芯が整えられていく。メリハリのある、スタイルを美しくしたい人にもお薦めだ。

SSS広報部の横山さん。見事なスタイルは毎日のストレッチの賜物 ▶▶▶

お薦め美姿勢ストレッチ

毎日の積み重ねで変わってくるストレッチ。朝昼晩、食事前や気付いた時に行ってみよう。

首を正しい位置に戻して自然な体のアーチに

①手を腰に当て、あごは軽く引いて真っすぐ立つ。

②腰の手はそのままで首を前に突き出す。

③首を前に突き出した状態から顎を上へ持ち上げるように首を上げ、体を軽く反らす。

④両耳の下あたり、首の支点位置に人差し指を当てる。

⑤両側に当てた人差し指が真っすぐな棒でつながっているいようなイメージを持ちながら、ゆっくり顎を引く。

⑥手を元の位置に戻し気を付けの状態に戻す。前に出てしまいがちな首を正しい位置に戻すことができる。

斜角筋をほぐし、吸う力を高める

①顔を前に向け顎を少し上に上げる。のどぼとけの少し下、両脇にあるくぼみを人差し指で軽くを押し、口をとがらせた状態で口から息を吸う。

②へそ下をへこますようにしながら、人差し指をくぼみから外して口から息を吐ききる。①②を何回か繰り返し行う。

呼吸力UP!横隔膜の筋肉を強化

①足を肩幅程度開き、真っすぐ立つ。肋骨とお腹の境目を手で軽く押しながら口から息をふーっと吐く。

②お腹から手を放し、息を鼻から吸い込む。①②を何回か繰り返し行う。

立ち仕事にお薦め!

①足を肩幅程度開いて立ち、手を首上の位置で組んで、鼻から息を吸う。

②お腹をへこませながら、口から息をはく。

デスク・ワークにお薦め!

①スタート前、PCなどの作業中、背中が曲がり、姿勢が崩れている状態。

②脇を内側に閉めながら手の平を上に向ける。

③静かに手の平を元のポジションに戻す。


兼子ただし(かねこただし)
ストレッチ・トレーナー、姿勢教育・研究家、日本ストレッチ・トレーナー学院学長、SSS(スリーエス)代表取締役。日本初のストレッチ専門店を開業し、プロ・アマチュアスポーツ選手、モデル、一般の人までさまざまなクライアントに指導。早稲田大学大学院スポーツ科学修士号取得し、姿勢について国士館大学大学院と共同で研究も行っている。雑誌、テレビなど数々のメディアに出演

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