快眠のための健康Q&A

医療特集

2009年度医療と健康大特集
眠ってヘルシー
快眠のための健康Q&A

 現代社会は、とかく忙しく、疲労とストレスが付き物。しかも24時間営業や深夜番組などの影響で現代人は、昔に比べ睡眠時間がどんどん短くなってきていると言われている。睡眠は健康維持に直接結びつき、人体の活動の中でも最も重要なものといっても過言ではない。本特集では、医療特集(P28)に登場する先生方から睡眠の大切さとよく眠るためのアドバイスをもらった。これを読めば、今日から快眠生活を送れること請け合い。でも、途中で寝ないでね!


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■睡眠のメカニズム
 睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠とに分かれていることをご存知の読者も多いことだろう。睡眠は脳と体が交互に休んでいると考えると分かりやすい。眠りが浅く、体は休息状態だが、脳は覚醒状態に近いレム睡眠と、脳と体がともに深い休息状態のノンレム睡眠とが、約90分周期で交互に繰り返されている。
 また、体内時計は1日が25時間となっていることも覚えておきたい。体内時計のリズムは、起床し朝の日光を浴びることで時差1時間がリセットされる。この体内時計が狂うと、睡眠障害の原因になるとされているため、規則正しい生活をすることが薦められている。
●レム睡眠
 眼球やまぶたなどが急速に動く状態(Rapid Eye Movement)の頭文字をとってREM睡眠といわれる。眠りは浅く、体は眠っているが、脳は起きている状態に近い。夢を見ているのは主に、脳が活動しているレム睡眠の時とされている。起床時間に近付くに連れレム睡眠の割合が増える。レム睡眠時に起きるようにすると寝起きが良くなるとされている。
●ノンレム睡眠
 レム睡眠の後に訪れる深い睡眠状態。脳のほとんどの活動が休息状態となり、物音がしても目覚めないのはこのため。心拍、呼吸が緩やかとなり体温が若干下がる。
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■睡眠の役割
 睡眠には、身体のあらゆる機能を調整する以外にもさまざまな役割を担っている。例えば、不快な記憶を忘れるのも睡眠の役割だ。また、学習したことなどは「寝たら忘れる」のではなく、睡眠によって記憶が固定されることも分かってきている。ここでは、健康に絞って睡眠の役割について取り上げる。
●睡眠の役割①−心身を休める
 睡眠の最も基本的な役割が休息だ。人間は活動時には体温が高く、脳もまた温かい血流のおかげで活発に動いている。睡眠中は心拍や呼吸などが穏やかになり、体温が若干下がるため、脳も冷やされる。これによって、脳が休養を取れる。つまり、脳の過熱を防ぐことが睡眠による休息の大きな目的となる。また、睡眠を取ることで、エネルギーの発散を抑え、エネルギーを作り出し、保存する役割も持っている。
 それだけに、睡眠が不足すると脳の疲労が取れないため、全身がだるくなったり、心のコントロールができなくなるなどの障害を引き起こしやすくなる。
●睡眠の役割②−成長ホルモンの分泌
 睡眠中には、覚醒時よりも多くの成長ホルモンが分泌される。成長ホルモンというと、子どもの成長を促すために必要なホルモンとして知られているが、実は大人も成長ホルモンが必要だ。
 脳下垂体前葉から分泌される成長ホルモンは、骨と筋肉の成長を助ける。「寝る子は育つ」という話をよく聞くが、これは成長ホルモンのことを指す。
 大人の場合は、代謝の促進や血糖値の持続などの作用があり、特に肌の新陳代謝を促進させるため美容にも睡眠は良いとされている。また、傷の回復などを助けるのも成長ホルモンの作用によると考えられている。
 成長ホルモンが不足すると、老廃物が溜まりやすくなり、血流の流れが悪くなるなどさまざまな弊害がある。
●睡眠の役割③−免疫力の向上
 病気になるとなぜ十分な睡眠が必要となるのか。その答えは、睡眠時に免疫力が高まることと密接に関係しているようだ。また、免疫力が高まることで自然治癒力も高まり、病気を克服することができるとされている。肉体的な免疫力はもちろんストレスも睡眠によって克服できるのは、眠りによって神経細胞の機能が回復され、ノルアドレナリンなどの脳内ホルモンのバランスが保たれるためとされている。
■適切な睡眠とは?
 適度な睡眠時間は一般的に、6〜8時間といわれているが、必ずしも最低で6時間は睡眠しなければいけないということはない。適切な睡眠時間には個人差があり、年齢、職業、環境によっても異なってくる。そこで、適切な睡眠のヒントになりそうなのが、レム睡眠。90分周期で訪れるレム睡眠時に合わせて起床時間を決める(例えば90分の倍数に起床時間を設定=6時間睡眠など)と目覚めがすっきりとするようだ。適切な睡眠環境を整えるには、室内を28〜13℃、湿度は夏でも50〜60%に保つのが理想的で、緩やかな風が抜けるようにするのが良い。
■睡眠不足が引き起こす障害
 睡眠不足による障害は、健康における障害のすべてに関わるといっていいだろう。脳・循環器・免疫機能などが低下し、病気にかかりやすい体になってしまうからだ。睡眠不足(不眠症や睡眠障害)からは、心臓疾患や精神疾患との関連が確認されているため気を付けたい。

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監修:鳥居泰宏先生 (ノース・ブリッジ・ファミリー・クリニック)

【気を付けたい ! 睡眠不足でリスクが高まる病気】
・心不全
・高血圧症
・脳卒中
※これらの病気は、あくまで統計上リスクが高いとされる病気

「歯の健康と睡眠」 についてイアン・マラトス歯科医師にうかがいました。

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イアン・マラトス歯科医師

Q睡眠と歯の健康はどんな関係がありますか?
A 睡眠中に歯の健康を害するものとしては、まず歯軋りが挙げられます。歯軋りは、家族やほかの人に指摘されるまで本人は気付かないことが多いようです。歯軋りは睡眠を妨げるばかりではなく、歯、顎に大きなダメージを与えるほか、頭痛、顎関節の痛みを引き起こしたり、そのまま放置しておくと、睡眠障害などさまざまな二次障害を引き起こすこともあります。
 二次障害の中で特に注意を要するのは、睡眠時無呼吸症候群との関わりが指摘されていることでしょう。詳しいことはまだ解明されてはいませんが、歯軋りの直後に、睡眠時無呼吸症候群の症状が現れることがあるといわれています。
Q睡眠中のいびきや歯軋りは、睡眠や健康にどんな影響がありますか ? またその改善方は ?
医療特集
A いびきで悩むのは本人ではなく、一緒に寝ている家族ではないでしょうか。しかしいびきがひどくなると、睡眠時に一時的に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群を引き起こすことがあり、この場合、心血管系をはじめとするさまざまな健康障害を伴うことがあります。さらに重症になると、死に至ることもあります。
 比較的軽度のいびきの場合は、枕を低くする、アルコールを控える、ダイエットをするなどの日常生活の改善で治癒することもあります。そのほか効果の高い治療方法はマウスピースで、歯科医のもとで作成することができます。装着すると気道が開かれ空気が良く通るようになり、いびきや無呼吸を防止するようになります。
 歯軋りも睡眠を妨げるほか、頭痛、顎関節の痛みなどの症状を伴います。そのほかの症状としては、歯が痛く冷たいものがしみる、顔面の痛みを伴う、顎関節の辺りにしこりのような痛みを覚える、首に痛みを感じる、歯が磨り減る、欠ける、ぐらぐらする、治療したはずの歯が損傷するなどが挙げられます。
 治療方法は、ストレスを少なくするような生活を心掛けるほか、歯科医師が作成するスプリントと呼ばれるいびき防止装置を毎晩装着するようになります。これは硬質プラスチックのマウスガードに似たもので、筋肉を休める働きをするとともに、歯の磨耗、損傷を防ぎます。
Q睡眠時無呼吸症候群には歯科的な改善方法はありますか?
A 睡眠時無呼吸症候群は気道が塞がって呼吸が止まる状態が長く続くことを言います。その結果十分な睡眠をとることが困難となり、日中の眠気、集中力の低下、活力の欠乏、などの悪影響を引き起こします。また眠っている間に呼吸が数十回、または数百回など止まるようになると、体内の酸素が不足し循環機能に負担がかかり、さまざまな病気を引き起こすこととなります。
 まず専門医師の治療を受けることをお薦めしますが、歯科医師のもとでは、マウスピースを作成することができます。このマウスピースは体に負担をかけず、気道を開いて空気を通りやすくし、有効率はかなり高いと言われています。
「目の健康と睡眠」 について 興梠繭先生に うかがいました。

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興梠繭先生

Q睡眠と目の健康はどんな関係がありますか?
A 十分な睡眠は目の機能にとって非常に大切です。睡眠不足や体調の不調から一時的な視力低下(目のかすみ、ぼやけ)が起きるケースをよく見ます。また睡眠不足は、まぶたの裏側や白目の表面にある結膜の不調も起こしやすく、目の充血や異物感、目やになどの症状を起こすことも皆さん経験があるかと思います。そのほか、睡眠中に繰り返し呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群(特に働き盛りの男性に多く見られ、大きないびきが特徴とされる病気)は眼圧が変化し、視神経の血流の異常を起こして、緑内障になる危険性もあると考えられています。
Q睡眠中の目の動きと眠りの深さは関係しているのですか?
A 睡眠中、目は特徴的な動きをとり、Rapid Eye Movement(REM)と呼ばれる、すばやい左右の動きを定期的に見せます。この動きを特徴とする「レム睡眠」は浅い眠りで、目覚めている時と似た程度の脳波の活動を示し、学びの機能に関連されると言われます。そのためか、幼児の場合、睡眠時間の8割もがレム睡眠で支配されると言われます。反対に、「ノンレム睡眠」は熟睡にあたる深い眠りであり、この時に体の機能の回復や細胞の修復などが行われると言われています。
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Q十分な睡眠をとるための目に関するアドバイスをお願いします。
A 抗菌効果のため、目は睡眠中に多少水分を少なくし、ねっとりとした涙の質を保ちます。通常は特に不快には感じませんが、ドライアイの人や、お酒を飲んだ後には異常に乾燥し、睡眠中に不快のため目が覚めたりすることもあります。このような場合、寝る直前に保湿用の防腐剤抜きの人工涙液などを使用するといいでしょう。
 さらに、活動や眠りを調整する「体内時計」のリズムが妨げられることが寝つきの悪さに関連することが多いです。この体内時計は、脳の視床下部の「視交叉上核」にある仕組みで、目の奥の視神経を通って、目から入る“太陽の光”でセットされ、約10〜13時間は体が活動に適した状態に、その後は眠りを誘うホルモンの「メラトニン」を分泌させるなどして眠気が起こるようにしてくれます。このように、眠くなる時間は朝起きて太陽の光に浴びた時に決まるため、寝つきをよくしたい人は、朝きちんと決まった時間に起きるのが大切です。
「心の健康と睡眠」 について 馬場佐英美先生に うかがいました。

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馬場佐英美先生

Q心の健康と睡眠はどんな関係がありますか?
A 睡眠は身体にとってはもちろんですが、脳にとってもたいへん重要です。脳は睡眠(特にレム睡眠)中に、皆さんが起きている間に体験した記憶を整理してくれます。ですから十分な睡眠は心にもスッキリ感をもたらし、睡眠不足は重い疲労感につながります。
Q不眠は心の病気とも言われますが、気分の落ち込みや、イライラ、不安などと関係しているのですか?
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A 不眠の原因は身体・環境・心理的要因などがあります。心理的には大きなイベントの前の夜や旅行中によく眠れないという場合や、慢性的なイライラや不安が原因になることもあります。不眠のせいで朝起きられない日が続く、集中力が目立って低下するなど、普段の生活に支障が出るようであれば要注意です。
Q不眠を改善し、より良い睡眠をとるために心理的に効果があることを教えてください。
A 不眠の原因をまず把握してそれを取り除くようにします。また、眠れない時は自分にプレッシャーをかけないことです。眠らなくてはと思わずに、身体を休めるだけでもいいという風に考えましょう。また「ベッド=眠る場所」という関連付けをすることも大事です。眠れない時はベッド以外の場所でストレッチをしたり、音楽を聴くなどしてリラックスし、疲れを覚えたらベッドに戻って横になるようにします。 

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