筋肉は貯蓄できる!

”フィジオセラピストに聞こう!体の痛み改善法”

▶▶▶フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!


第53回 筋肉は貯蓄できる!

運動不足で霜降り化 !?

30歳を過ぎる頃から、ヒトは毎年1%ずつ筋肉量が減少していくと言われています。それに加え、普段からの運動不足、不摂生な生活を送っていると、40〜50代を迎えた頃には筋肉量や筋肉の稼働効率が非常に低下してしまいます。なにより、筋肉繊維のすき間に脂肪分が入り込み、筋肉が霜降り状態になってしまうのです。そうなると、肉離れや腱の破損・断絶など、ケガをしやすい体になってしまいます。現時点でのスポーツ医療や運動療法では、いったん体の筋肉が霜降り状態になると、それを元に戻す方法は確立されていません。

筋肉はたんぱく質で形成されていますが、運動不足が続くと筋肉繊維がやせて細くなります。そこに血液の中を流れている脂肪細胞が、とても素早く浸潤していきます。皮下脂肪も少なく、ぱっと見の外見は若い時とそれほど変わらなくとも、筋肉中への脂肪浸潤が進行し、霜降り牛肉のような状態になっているケースがとても多く見受けられます。残念ながら、外見が太っているようには見えないため、自覚することはとても難しいのです。もちろん、既にこの様な状態になった場合でも、運動することで筋肉の強化は可能です。そこで、20〜30代の方は事前の予防が最も大切になり、40歳以降の方は筋肉繊維を太らせて、これ以上脂肪細胞の侵入を増やさないようにすることが肝心です。

心拍数を目安に運動しよう

筋肉細胞に負荷をかけ太くするためには、それなりの負担を体にかけることが必要になります。そこで目安になるのが心拍数です。

<最大心拍数=220−年齢>

例えば40歳の方であれば220−40=180が最大心拍数となります。最大心拍数の60〜80%での運動を、週4日以上1回30分以上することが推奨されています。運動時に感じる負荷を、最大心拍数の60%程度を“ややきつい”、80%程度を“きつい”と表現されることが研究で証明されています。これをウオーキングで行うには、上り坂を早く歩いたりと、かなり一生懸命に運動する必要があります。まずはジムでエアロ・バイクやクロス・トレーナー、ローイングなどで心拍数を測りながら体で負荷を覚えていくと、ケガのリスクを低くしながら、安全に運動することができるでしょう。

筋肉の質の劣化は自覚症状が現れるよりも何十年も前に始まっています。今日運動した分は確実に筋肉となって体に貯金されていきます。将来寝たきりにならないためにも、今、運動に取り組みましょう!


奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)

シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au

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