フィジオセラピストに聞こう!/睡眠時無呼吸と顎関節症

”フィジオセラピストに聞こう!体の痛み改善法”

▶▶▶フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!


第54回 睡眠時無呼吸

睡眠時無呼吸とは、読んで字のごとく、睡眠中に無呼吸(10秒以上口・鼻の呼吸が停止)もしくは低呼吸(10秒以上換気量が50パーセント以下に低下)になる状態を指します。私はベッドと枕を替える前はよく、睡眠中の呼吸が途中で止まる、と妻に指摘されていました。特に働き盛りの男性に多いといわれるこの症状ですが、1人暮らしであればなかなか気付きにくいですよね。

その他に、
 ・いびき
 ・朝起きても疲労感が取れない
 ・日中の強烈な睡魔
 などを感じるようであれば、睡眠時無呼吸の疑いがあるでしょう。

当院に顎(あご)関節の治療にいらっしゃる患者さんの多くが、いびきや歯ぎしりなど、睡眠時に何らかの異状行動を取っており、ほとんどの場合、それらを自覚されています。

口呼吸が原因?

いびきをかく人のほとんどが、就寝中は口を開けたままの口呼吸を行っています。口呼吸の場合、本来上の前歯の後ろに位置するべき舌が下に落ちてしまい、気道を狭めてしまいます。そして、無意識に下あごを軽く前に突き出すことで気道を確保しようとします。

しかし、この姿勢は呼吸はしやすくなりますが、顎関節や首周りの筋肉を緊張させ、大きな負担をかけることになります。下あごを突き出した状態では顎関節の位置が前方に移動するため、頬の筋肉は緊張を高めてあごの突き出しに抵抗しようとします。本来咀嚼(そしゃく)時以外は上下の歯は噛み合わさっていないのですが、頬の筋肉が常時緊張状態にあると食い縛りが強くなります。この際、最大で前歯で25キログラム、奥歯で125キログラムの力がかかると言われています。その結果、顎関節内の圧力も極度に上昇し、関節円板がずれやすくなります。こうなると、口の開閉時や、食べ物を噛んでいる時に“カキ”というクリック音や“ポン”とはぜるような関節音がするようになります。

就寝中の口呼吸が常習化すると、首や肩の痛み、頭痛、吐き気を感じるようになり、悪化すると頸椎狭窄症、そして顎関節症を発症します。これらの症状にはすでに効果的な治療方法も確立されていますが、事前の予防が最善であることは疑いようがありません。軽いいびきなどでも軽視せず、早めに医療機関にて相談し、対策を取ったり、治療を開始することで2次的な症状の発症予防につながります。


奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)

シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au

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