フィジオセラピストに聞こう!/握力計は水晶球!?

”フィジオセラピストに聞こう!体の痛み改善法”

▶▶▶フィジオセラピストは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専門家で、必要に応じてMRIや専門医を紹介し、包括的な治療を行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう!


第59回 握力計は水晶玉?!

握力は全身の筋力の指標になる、ということは機会がある度にお伝えしてきました。特に高齢者はペットボトルのふたを開けられなくなると、全身の筋力の低下が懸念されるため注意が必要です。

このように握力は、全身の筋力を至って簡単な方法で把握できる便利な指標となります。そしてこの握力の数値によって「今後4年以内に死亡する可能性を予想できる」とする研究結果が昨年発表されました。

今後4年間の生存率を予想

世界17カ国に住む老若男女計20万人の被験者に対して、4年間継続して追跡調査をした結果が、カナダから発表されました。研究結果によると、握力が平均より5キロ低下するごとに心臓疾患や、肺炎、転倒などのけがにより死亡する確率が約17パーセント上昇するというものでした。日本文部科学省が発表している男女・年代別の握力平均は表の通りです。

年齢 男性握力(kg) 女性握力(kg)
30~34 48.00 28.61
35~39 47.86 29.37
40~44 47.31 29.47
45~49 47.12 29.31
50~54 46.57 28.06
55~59 45.18 27.10
60~64 42.67 26.17
65~69 39.73 24.77
70~74 37.67 23.75
75~79 35.07 22.27

この研究結果が示す最も大切なメッセージは、握力の低下が死亡する確率を直接的に上昇させているというよりも、日頃の生活習慣を含む総合的な健康への意識が個人の握力に反映されている点です。

この結果は専門家でなくても容易に理解できる、ある意味常識の範囲内の研究結果です。しかし、世界中の20万人を研究して得た学術結果であり、これにより科学的にも全身の筋力が健康維持にどれだけ大切なのかが立証されたことになります。握力と健康の相関関係はこれまでにもさまざまな国で研究されており、心臓疾患だけでなく骨折、歩行障害、認知症、脳卒中などの発症リスクとの関連性も指摘されています。

握力測定はその他の測定方法と比べてもけがをするリスクが低く、簡単に行える筋力測定法です。まずは自身の大体の筋力を把握してから、体力向上のための目標設定をしてはいかがでしょうか。フィジオセラピーのクリニックやスポーツ・ジムでは握力計を設置しているところもあるので、機会があればぜひ測定してみてください。


奥谷匡弘(おくたに・ただひろ)

シドニー大学理学療法学科卒業後、西オーストラリア大学で理学療法修士号取得。ダーリングハーストのセント・ヴィンセント病院で5年間勤務し、プライベート・クリニックでは財界の著名人などの治療に多く携わる。オーストラリア・フィジオセラピー協会公認筋骨格系理学療法士。
Web: www.metrophysiotherapy.com.au

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